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2018/05/31

新宿末廣亭5月下席・昼(2018/5/30)

「新宿末廣亭5月下席昼の部・楽日」

前座・立川幸太『子ほめ』
<  番組  >
春雨や風子『?』
新山真理『漫談』
春風亭昇市『桃太郎』
三笑亭可龍『たらちね』
山上兄弟『奇術』
笑福亭べ瓶『読書の時間』
立川談幸『寄合酒』
宮田章司『江戸売り声』
三遊亭栄馬『茄子娘』
三笑亭茶楽『厩火事』
ボンボンブラザース『太神楽曲芸』
三遊亭圓輔『長短』
~仲入り~
神田松之丞『谷風人情相撲』
東京太・ゆめ子『漫才』
山遊亭金太郎『看板のピン』
三笑亭夢太朗『転宅』
やなぎ南玉『曲独楽』
春雨や雷蔵『青菜』

新宿末廣亭5月下席は芸協の芝居。その楽日へ。
芸協の魅力は落語以外にもいろいろな芸を楽しめることだ。

この日でいえば、新山真理『漫談』。「漫談」という芸は私が幼い頃には大変人気があった。山野一郎、牧野周一といった人たちが寄席やラジオ放送で活躍していた。今でも三味線やギターなど楽器を使う漫談家はいるが、素のトークだけの寄席芸人は少ない。和服で座布団に座って演じるのは新山真理だけではなかろうか。この日も楽屋に戻れば介護士などと毒舌をはきながら笑わせていた。

寄席の奇術といえば、たいがいは年配の人が出てきて怪しい手品を見せるのだが、山上兄弟『奇術』は数少ない若手だ。この日は定番のマジックだったが、国立演芸場ではイリュージョンを披露することもある。

宮田章司『江戸売り声』、この芸だけはこの人の専売特許だ。貴重な文化遺産だが、後継者がいないようだ。

ボンボンブラザース『太神楽曲芸』、誰か日本一の曲芸師と言っていたが、その通りだろう。この日も鏡味繁二郎のとぼけた芸で客席を沸かしていた。特に見学に来ていた愛知の中学生たちは大喜びしていた。ここ最近、相方の勇二郎がよく物を落とすのが気になる。

神田松之丞『谷風人情相撲』、流行ってる人というのは勢いがある。講釈師としては読みに臭さを感じてしまうのだが、そんなものは吹っ飛ばしている。

東京太・ゆめ子『漫才』、ボケ役の京太のボケがどこまで芸なのか、どこまで本物なのか判然としない所が魅力か。

やなぎ南玉『曲独楽』、高座の奥の方で独楽を回す独特のスタイル。本人も言ってたように客席から見えにくいと思うのだが、こういう芸風なのだ。

色物で長くなったので、落語は印象に残ったいくつかを紹介する。

笑福亭べ瓶『読書の時間』、桂文枝作のネタで、東京でも演じられているが、やはり上方落語の方が断然面白い。べ瓶は初見だったが、テンポも歯切れもよく達者な印象だった。

談幸『寄合酒』、出番の直前に中学生の団体が入りざわついた雰囲気だったが、マクラで一気に客席を引き込んだ手腕は見事。ネタも短縮版だったが、ツボはおさえていた。芸協もこの人の加入で厚みを増した。

三遊亭栄馬『茄子娘』、渋い。でもこのネタには渋さが似合う。

茶楽『厩火事』、仲人から亭主と別れなさいと言われた時のお崎さんの目が良い。「昼間は優しくしてくれんですよ、でも夜になると荒々しく・・・」なんてお崎さんのノロケも色っぽい。

三遊亭圓輔『長短』、二人の煙草を吸う時の表情がいい。それと短七が煙草を吸いながら長さんの姿を窺う時に、オヤッという思い入れから相手の袂の辺りを見て、それから徐々に見上げる仕草をしていた。これは後半のサゲへの仕込みと思われ、工夫を感じた。

最後は季節感溢れる、春雨や雷蔵『青菜』でお開き。

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コメント

色物では芸協が一枚上ですかね。
早逝した小蝠師が、ボンボン先生がヒザでトリを取るのが夢でした・・・と末廣亭での披露興行でマクラで話したのを思い出しました。

この顔付けで、鯉昇師・遊雀師・小柳枝師(復帰願っています)が出演したら最強なのでは。

投稿: 蚤とり侍 | 2018/05/31 20:18

「東京かわら版」4月号巻頭エセーに杉良太郎氏の志ん駒追悼の文章が掲載されています。二ツ目グランプリ大会なる企画があり、雷門助三(現春雨や雷蔵)が優勝し、100万円の賞金を獲ったとか。当時からうまかったんだな・・・『青菜』には風が通るような情景と人物の描き分けが求められますが、けっこうな一席だったようですね。

投稿: 福 | 2018/06/01 06:29

蚤とり侍様
短冊状の細長い髪を鼻に乗せて高座の端から端まで動き回り、そのまま客席におりて、さらに末廣亭の桟敷席に上がり、逆の順で高座に戻る。階段は一切使わない。その間、一度も手で紙に触れることがない。
ボンボン先生には人間国宝を差し上げたい気分です。

投稿: ほめ・く | 2018/06/01 06:54

福様
『青菜』は季節感と同時に、屋敷と長屋の涼と暑、静と騒の対比を見せる所がキモですが、雷蔵は丁寧に描いていました。

投稿: ほめ・く | 2018/06/01 07:00

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