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2018/06/13

五街道雲助一門会(2018/6/12)

「五街道雲助一門会」
日時:2018年6月12日(火)19時
会場:横浜にぎわい座 芸能ホール
<  番組  >
前座・桃月庵ひしもち『出来心』
五街道雲助『お菊の皿』
桃月庵白酒『鰻の幇間』
~仲入り~
蜃気楼龍玉『駒長』
隅田川馬石『井戸の茶碗』

「大山鳴動して鼠一匹」、昨日の米朝「トラ・キン会談」の共同声明への感想だ。
鉦や太鼓の大騒ぎの割には、共同声明に盛り込まれた中身は過去の6か国協議での合意と大差ない。
会見で記者からその点をつかれたトランプは、以前とは大統領が違うと見栄を切っていたが、果たしてどうか。
肝心の拉致問題についても、トランプの反応は「ああ、言っといたよ」程度だった。
気になったのは、会見に金正恩が出てこなかったことだ。あれでは肝心の北朝鮮の意思が全く伝わってこないし、どこまで信用がおけるかも判断できない。
トランプが、非核化の費用は日本と韓国が負ってくれるだろうと明言していたことだけが印象に残った。
ヤレヤレ。

数ある一門の中で、いま最も充実している一門といえば、雲助一門だろう。師匠以下4人はいずれも芸達者で、かつ個性的だ。
この日も2階席までよく入っていた。

雲助『お菊の皿』
いきなりの師匠登場で会場がざわめく。ここの一門会では師匠がトリを取るのがむしろ稀だ。
幽霊のお菊が、客の数が数名から100名程度、最後は興行師が入っての大入りになるにつれて、芸風がどんどん変化していゆく様を描いていた。痩せて青白かった顔も次第に血色が良くなり、仕草も大仰になり芝居が臭くなってゆく。落語でいえば地域寄席からホール落語へ、といった所か。
そうした変化を雲助はいかにも楽しそうに演じていた。

白酒『鰻の幇間』
いくつか独自の工夫がなされていた。幇間がいきなり街頭で「丘釣り」するのではなく、馴染みの店を挨拶しに回るが空振りに終わり、仕方なく街中で客を拾うことになる。
連れていかれた店は「趣き」というとよりは「傾き」。2階に上がって窓を開けようとしたら、窓は絵だった。
久々に客をつかまえて浮きだっていたのが、逃げられたと知ってからの怒りと落胆、その落差を描くのがポイントだ。
幇間が女中に、うな重の中身は鰻かと訊いてもはっきりした返事がない。酒は近くの学校の理科室からって、そりゃエチルアルコールだろう。
香香がざあさいで、徳利の模様が西遊記。きけば5年前までは中華料理屋だった、
階段を降りようとしたら途中に腰かけているのがいる。どけよと言ったら、その人日本語が通じません!
白酒は、まさに踏んだり蹴ったりの幇間の悲哀を増幅して描いていた。

龍玉『駒長』
あらすじは。
借金だらけの長兵衛とお駒夫婦、借金の取り立てに来る上方者の損料屋の丈八を美人局で脅しておどして金を巻き上げようと算段する。
どうやら丈八がお駒に惚れているの様なので、お駒に丈八への恋文を書かせる。その手紙をお駒が落としのを長兵衛が拾い、丈八が損料を取り立てに来るのを見計らって嘘の夫婦喧嘩を始める。丈八が来たら、てめえお駒の間男だったなと証拠の手紙を見せ脅して、金品を巻き上げる計略だ。
いやがるお駒を相手に稽古を始める。長兵衛が「このアマ、太ぇアマだ。男のツラに泥を塗りぁがって」とお駒を殴ると、「お前さん、ごめんなさい」とお駒が謝る、といった調子だ。
そうとは知らぬ丈八がやって来て。長兵衛がお駒を殴っているのを見て止めに入るが、自分も長兵衛に殴られる
驚く丈八に証拠のニセ手紙を見せ、これから仲人の親分の所へ行って事の顛末を話し、二人を重ねて四つに斬ると息巻いて、二人を置いて長兵衛は家を飛び出して行く。
丈八はみすぼらしい着物で亭主に殴られているお駒に同情し、優しい言葉をかける。お駒も又本当は長兵衛となんか別れて、丈八の様な親切な人と一緒になりたいと打ち明ける。
元より丈八も前からお駒に惚れていたので、二人で上方に逃げようと話がまとまる。丈八はお駒に損物の着物、帯、羽織を着させ、お駒は長兵衛宛に置手紙をして、二人で上方へ旅立つ。
一方の長兵衛は、友達の家で一杯やって時間をつなぐつもりが飲み過ぎ明け方まで寝過ごしてしまう。
長兵衛はあわてて家へ帰るが二人の姿は見えず、お駒からの置手紙が残されていた。
お駒の手紙には、「丈八さんと手に手を取り、長の道中変わらぬ夫婦と相成り候・・・・・・あらあら目出度きかしこ」
手紙を読んだ長兵衛は出刃包丁を持って表へ飛び出すが、向うの屋根のカラスが長兵衛の顔を見て「アホウ、アホウ」でサゲ。
筋は『包丁』と似た所もある。
長兵衛が凄む場面では、龍玉の青白い長い顔が黒い着物の上に浮かび上がり、迫力満点。声も低くてドスが効いている。
龍玉は滑稽噺で固すぎると思うこともあるが、こういうネタはピッタリだ。

馬石『井戸の茶碗』
通常と異なる点がいくつかあった。
先ず、時代設定を田沼意次が権勢をふるっていた時代としていた。武士社会に賄賂が罷り通っていた時代だからこそ、正直で誠実な武士の姿が映えるのだ。
屑屋の清兵衛が浪人の千代田卜斎とは以前からのお得意さんで、家庭の事情も重々承知している。だからこそ、卜斎の申し出を受けて100文で仏像を買うことを承諾する。清兵衛が儲けは折半という約束をしないのも馬石の特長だ。
細川家の家来である高木佐太夫が清兵衛から仏像を買う時も、佐太夫が600文という買値を決めている。ここで清兵衛は500文儲かったのだ。正当な利益である。だから、この中では正直清兵衛という言い方は出てこない。
馬石のこの改変の方がストーリーとしては自然に思える。
仏像から出た50両の金をめぐって、清兵衛が卜斎と佐太夫の間を行ったり来たりするのを見かねた卜斎の長屋の大家が二人の仲裁に入るというのも納得のいく展開だ。
屋敷下を通る屑屋を佐太夫が片っ端から面あらためする場面や、それはきっと闇討ちにあった父親の仇を探しているんだと勝手な想像をした仲間の屑屋が仕方話しをする場面などで、馬石らしい滑稽な味も出ていて、良い出来だった。

さすがは雲助一門、4席いずれも結構でした。

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コメント

初めまして、ブログいつも読まして頂いています。
私も昨日雲助一門会に行ったのですが、
前座さんはひしもちさんともう一人はだれかご存知でしょうか。
教えて頂けると幸いです。

ノザキ様
ようこそ。
せっかくのお尋ねですが、私も分からなかったです。もしかしたら見習いの桃月庵あられでしょうか。

白酒の後半の改編は読んでいるだけで笑いがこみ上げてきます。
やはり、センスがいいですね。このセンスというのは喬太郎にもあるんですが、センスとしか言いようのないもので、談志の言い回しだと「状況判断と処理」ということになります。

福様
鰻屋が以前は中華料理屋だったという設定には、
意表をつかれました。
白酒ならではです。

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