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2018/06/29

池袋演芸場6月下席(2018/6/28)

池袋演芸場6月下席・8日目

前座・金原亭駒六『道具屋』
<  番組  >
古今亭志ん松『真田小僧』
柳亭左龍『家見舞い』
柳家三三『三人旅』
ジキジキ『音曲漫才』
古今亭菊生『新寿限無』
柳亭市馬『天災』
─仲入り─
三遊亭天どん『粗忽長屋』
柳家小袁治『長短』
翁家社中『太神楽』
古今亭文菊『船徳』

都内4軒の定席の中でも、池袋演芸場の下席だけは変則的な番組になっている。通常の寄席形式は昼の部だけで、夜の部は「落語協会特選会」として独演会などの落語会に充てられている。
昼の部は午後2時に開演、5時に終演。この3時間という公演時間が昼下がりにのんびりと寄席で過ごすのに丁度いい時間なのだ。
この日は平日にも拘わらず客席は一杯の入り。顔づけが良かったせいだろう。

志ん松『真田小僧』
有望な若手が顔を揃える志ん橋門下の末弟。愛嬌があって良い。噺家にとって話芸を磨くことも大事だが、愛嬌や色気、華のあるなしも重要な要素だ。

左龍『家見舞い』
都会では汲み取り式の便所がすっかり姿を消してしまったので、肥甕がピンと来ない人が多いかも知れない。
前半をカットした短縮版だったが、出された冷奴を旨い旨いと食べいると、隣の男が変な顔をしている。「なに? この冷奴をどの水で冷やしたかって? そういうことは先に言えよ」といったヤリトリを、左龍は例の眼力で示していた。
浅い出番でもガッチリと客席を掴んでいた。

三三『三人旅』
長い旅の物語の中の、小田原で馬の乗る場面で、3人の江戸っ子と馬子との掛け合いを中心に演じた。近ごろあまり高座に掛からないのは、演者が儲かるネタではないせいだろうか。
短い時間だったが、三三は快適なテンポで面白く聴かせていた。

ジキジキ『音曲漫才』
楽器を使った漫才というのを近ごろ見なくなったが、楽器を持った夫婦漫才となると、東西を通してこの人たちだけではなかろうか。しゃべくり漫才も良いが、寄席ではこうした演奏や唄が入る漫才というのも華やかで良い。
この日の様に古典落語が続く中での色物としてはピッタリだ。

菊生『新寿限無』
もしかして初見。お馴染みの寿限無を三遊亭円丈が改作したものを演じた。「酸素酸素 クーロンのすりきれ ・・・」ってな調子。
古典を聴いてみないとこの人の実力は分からない。

市馬『天災』
久々だった。相変わらず手堅い高座だったが、エキサイティングじゃないね。

天どん『粗忽長屋』
この人の古典は初かも。意外にまともな演じ方だったが、人物の演じ分けがないせいか、平板に流れるという印象だった。

小袁治『長短』
久々だった。このネタを演じるには時間が短すぎた感もあるが、ベテランらしく要領よくまとめていた。

文菊『船徳』
通常は船宿から徳さんの船に乗り込むのは男の二人連れだが、これを文菊は夫婦に変えていた。観音様へのお参りの道筋で、女房の方が歩き疲れたので船に乗ることにしたという設定になっていた。
この演り方には無理があるように思う。
①船が石垣に着いた時に、亭主が女房の日傘を借りて石垣を突くのだが、それなら以前の道路を歩いている際に女房が日傘をさしていなかったのは不自然だ。
②途中で女房が煙草を吸いたくなり煙管を取り出し、亭主が煙草盆を差し出すという場面だが、当時の夫婦関係からこういう事は想像し難い。逆でしょう。
道楽者の若旦那が船頭になるという風情は良く出ていただけに、この改変は疑問が残る。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

古典落語選、とでもいうようですね。
三三は噺を選ばず、自己の可能性を広げることに集中している感じです。
市馬評に見られる「手堅い」と「エキサイティングじゃない」との乖離、
このあたりが落語の難しいところでしょうか。

福様
このネタを得意にしていた師匠の先代小さんだと、乱暴者の男が心学の先生によって次第に洗脳されてゆく過程が手に取るように分かるのですが、市馬の高座はそうした点が不足しています。

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