「睾丸」(2018/7/6)
ナイロン100℃ 46th SESSION「睾丸」・初日
日時:2018年7月6日(金)18時30分
会場:東京芸術劇場 シアターウエスト
脚本:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
< キャスト >
三宅弘城:赤本建三
坂井真紀:妻・赤本亜子
根本宗子:娘・赤本桃子
赤堀雅秋:光吉(亜子の弟)
廣川三憲:霧島作郎(亜子の恋人)
新谷真弓:浩子(光吉の元妻)
みのすけ:立石伸高
長田奈麻:妻・立石静
森田甘路:息子・立石伸也
菊池明明:歌田愛美
大石将弘:江戸一(愛美の恋人)
吉増裕士:歌田(愛美の父)
喜安浩平:多田厚夫(巡査)
安井順平:七ツ森豊(赤本や立石の先輩)
ほか
夫「昨日さ、『睾丸』って芝居見てきたよ」
妻「ヘエー、それ、前から見たいと思ってたの?」
夫「いや、タマタマさ」
こう見えても私だって子どもの頃は、「コウガン可憐な美少年」だったのさ。
次は実話。
私の母が玄関に出ていたら、お向かいの家の主人が家人に向かって「金玉持って来い!」と叫んでいた。母が驚いて見ていたら、家人が奥から持参したのは国旗の竿のてっぺんに乗せる金色の玉だったそうだ。あれって、そういう名前なんですかね。
中学の教科書に、北原白秋の「からたちの花」が載っていた。
これを国語の教師が、必ず女子生徒に朗読させていた。
「からたちも秋はみのるよ。まろいまろい金のたまだよ。」と女子生徒が読み上げると、男子どもは大喜び。
今なら、この教師はセクハラで処分だね。
劇中にも下ネタが沢山出てくるので、ちょいとマクラを振ってみた。
この戯曲はナイロン100℃創立25周年を記念してKERAさんが書き下ろしたもので、舞台は今から25年前、つまり1993年の出来事だ。バブルがはじけて何となく暗い雰囲気が漂い出した頃の話。
旅行代理店を営む赤本の家、何やら不穏な空気が流れている。妻の亜子が別の男と暮らすので家を出て行こうとしているのだ。
同居している亜子の弟の光吉は妻と離婚しているが、その妻はこの家に訪れては光吉とセックスに励む。
そこへ学生運動の仲間だった立石と妻が、家が全焼したからとこの家に転がりこんでくる。
おりしも、彼らの学生運動のリーダーだった七ツ森の訃報が届く。事故で25年間植物人間だったのが死亡したというのだ。
そうした事を契機に、彼らの25年前、つまり1968年の時代に遡る。1968年といえば大学紛争、学生運動が最高潮に達していた時期であり、赤本夫妻や立石らも七ツ森をリーダーにしたセクトで、激しい闘争を展開していた。
舞台は、この1993年と1968年の二つの年を行きつ戻りつしながら進行し、彼らの過去と現在の抱えている闇が炙り出されてゆく。
こう書くと、かなり深刻な芝居のようだが、そこはほらKERAさんのこと、面白さもタップリ詰まっている。
怖くて面白い芝居は、休憩を除き3時間があっという間に過ぎてしまう。
学生運動の描き方があまりに類型的だという不満はあるが、本筋とは無関係だ。
公演は29日まで。
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