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2018/07/10

「一朝・一之輔親子会」(2018/7/9)

第五回「一朝・一之輔親子会」
日時:2018年7月09日(月)19時
会場:横浜にぎわい座 芸能ホール
<  番組  >
前座・春風亭一猿『鮑のし』
春風亭一朝『芝居の喧嘩』
春風亭一之輔『百川』
~仲入り~
春風亭一之輔『猫久』
春風亭一朝『大山詣り』

西日本で大雨により罹災された方々には申し訳ないような青空だ。
私たちの住む日本列島というのは、地震、台風、津波、噴火、洪水などの自然災害に常に見舞われ続けている。我らが祖先はえらい所に居住を定めたもんだ。
しかし、他所へ引っ越すわけにもいかないのだから、備えは行政の中心的課題に据えて災害に備えねばなるまい。
いつ飛んで来るか分からないミサイルとは異なり、自然災害は目の前に迫る国難なのだ。

横浜にぎわい座での「一朝・一之輔親子会」、人気の番組で今回も前売り完売。師匠には悪いが、一之輔目当ての客が多かったようだ。

一朝『芝居の喧嘩』
落語にはオチがあるが、講談にはない。その代り、「これからが面白くなってくるが、この続きはまた明日に」と言って下がる。
昔の芝居は桟敷で、客のしく座布団が半券代りだった。座布団をしいてないのは無銭入場ということになり、これを「伝法」と呼んだ。
折しも、小屋の人間が伝法を一人見つけ出て行くように言うと、そこへ女の子が座布団と飲み物を運んできたから客はおさまらない。
これが町奴の幡随院長兵衛の子分、雷重五郎だと判ってひと騒動。そこへたまたま見物に来ていた旗本奴の水野十郎左衛門の白鞘組の連中が喧嘩に加わり、大喧嘩に発展して、もう大変!
「これからが面白い処ですが、この続きはまた明日」
威勢のいい啖呵の切りあいでも、片や町奴、片や旗本奴なので、言葉遣いが違う。この辺りが一朝の腕の見せどころだ。
この日はクスグリを随所に入れて面白く仕上げていた。
なお、この喧嘩の結末は歌舞伎の『極付幡随長兵衛』によれば、幡随院長兵衛が水野十郎左衛門の奸計にあって殺されてしまう。

一之輔『百川』
つい先日聴いたばかりだが、もう中身を少し変えていた。こういう所が、一之輔の人気の理由なのだろう。
内容だけでなく、この日は気合いが入っていた。
一之輔の独特のクスグリである、
・二度目に百兵衛が河岸の若い衆の部屋に上がった時に、今度はそこにあるサザエの壺焼きを飲み込んでやると意気込むと、若い衆たちがよってたかって止める。
・百兵衛が長谷川町三光新道でかの字のつく名高い人を尋ねる際に、訊かれた方が百兵衛を外国人と間違えて頓珍漢な会話になる。
といった場面も、この日の方がより鮮明に演じていた。
通常のサゲの後に、もう一つサゲを付ける演じ方も気が利いている。

一之輔『猫久』
後から上がった師匠が、「猫久って噺、あんなに面白かったっけ」と言っていたが、一之輔の手にかかると何でも面白くしてしまう。
特に面白いクスグリを入れているわけではない。
他の演者とどこが違うのかと一口に言えば、それはこの人の独特のエロキューションだ。真似をして出来るものではなく、持っている才能ということになろう。
それと会話における微妙な外し方だ。こう言ってこう答えると想定していると、その通りにならない。
このネタでも一之輔の特長がふんだんに発揮されていた。

一朝『大山詣り』
このネタだと、どうしても志ん朝の高座が思い出される。
前にも書いたことだが、熊が長屋のお上さんを前に船が遭難して自分一人だけは助かったというのを物語る時、もうちょっと切実感が欲しい。
志ん朝の高座ではお上さんたちが熊の話を固唾を呑んで聞く様子が頭に浮かんだが、一朝の高座ではその点が薄い。
その点にだけ不満が残る。

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