寄席で上げて(2018/8/30)
「寄席で上げて Special」夜の部
日時:2018年8月30日(木)18時
会場:三越劇場
< 番組 >
柳家喬太郎『お菊の皿(皿屋敷)』
ペテカン『コント』
東京03『コント』
柳家喬太郎『ハンバーグができるまで』
「寄席であげて」という企画は、演劇集団である「ペテカン」がメインとなって、多様なジャンルの人を集めてエンターテイメントを披露するというもの。
お目当ては東京03で、映像では見ているがライブで一度観たかった。ご存知ない方もいるかもしれないが男性3人のコント集団で、日常的なものをテーマにして様々な人間模様を描くのだが、これが実に面白いのだ。コントの世界ではサンドウイッチマンと双璧かな。
開幕すると前座という紹介で喬太郎が登場。ネタは『お菊の皿』で、青山鉄山がお菊を責める場面が他の演者に比べ長めなのが特徴。まるで伊藤晴雨の責め絵の世界だ。もしかして喬太郎はソノケがあるのかと思わせる。
ただ喬太郎の体型だと前半のお菊に哀れさがない。その反面、後半の恰幅の良くなった愛嬌のあるお菊にはピッタリだったが。
コントはペテカンがメインで、間に東京03が二つのネタを演じた。いずれも小さなテーブルの周りに3脚の椅子を配しただけの舞台装置で、スーツ姿の3人が座っておしゃべりするというもの。
最初のネタは3人のサラリーマンで、一人の男が接待ゴルフの最中に客先の社長をカートではねてしまい、大事な顧客を失うという大失敗を犯したというもの。すっかり落ち込んだその男を他の二人が励ましているうちに、実はその男は落ち込んではおらず、その振りをしていただけという事が分かってくる。
失敗し落ち込んだポーズだけをするという人はまま見かけるわけで、当然反省もしない。そういう点に着目したものだ。
もう一つは、社長と部下二人いう設定。偉い人たちが集まった会合から戻ってきた社長が、とにかく自慢話が多くて閉口したと語る。そして自分は人に自慢話を決してしないと部下に同意を求める。一人の部下はその通りと賛意を示すが、別の部下は「社長は決して自慢しないと言ってるそのこと自体が自慢なのでは」を突っ込みを入れる。
思わぬ反論に戸惑う社長は、その部下にお前こそ何事にも一言もの申す若手という立場を誇示していると反論し、3人が言い争いを始める。
たしかに俺は決して自慢話はしないと他人に語ることは自慢の一つだと言える。
二つのネタともこう書いても、読む人に面白さは伝わらないだろう。
3人の息の合った会話、間、表情やトーンの変化、突然の話題の転換、それらが総合されて観ている我々を楽しませるのだ。
以前にもトリオでコントを演じるグループはあったが、主役(リーダー格)がいて、脇の二人が絡むという形が多かった。この東京03の様に3人が完全に平等で演じるという形は珍しいのではなかろうか。
とにかく期待通りの面白さだった。
ペテカンのコントは、私にはどこが面白いのか分からなかった。
一つには、コントは大人数でやるものではないということ。
楽器を使ったコントがあったが、ああいうのは楽器が使える人たちが演じるから面白いのだ(例えばクレージーキャッツ)。
女性たちの演じたものは特につまらなかった。
トリは喬太郎の『ハンバーグができるまで』。鉄板ネタでもう10回は超えているだろう。良くできた新作だが、こう度々だと飽きる。
終わってみたら、このネタを劇化してペテカンが来春に舞台で演じるとのこと。番宣を兼ねていたんだ。
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