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2018/08/31

寄席で上げて(2018/8/30)

「寄席で上げて Special」夜の部
日時:2018年8月30日(木)18時
会場:三越劇場
<  番組  >
柳家喬太郎『お菊の皿(皿屋敷)』
ペテカン『コント』
東京03『コント』
柳家喬太郎『ハンバーグができるまで』

「寄席であげて」という企画は、演劇集団である「ペテカン」がメインとなって、多様なジャンルの人を集めてエンターテイメントを披露するというもの。
お目当ては東京03で、映像では見ているがライブで一度観たかった。ご存知ない方もいるかもしれないが男性3人のコント集団で、日常的なものをテーマにして様々な人間模様を描くのだが、これが実に面白いのだ。コントの世界ではサンドウイッチマンと双璧かな。

開幕すると前座という紹介で喬太郎が登場。ネタは『お菊の皿』で、青山鉄山がお菊を責める場面が他の演者に比べ長めなのが特徴。まるで伊藤晴雨の責め絵の世界だ。もしかして喬太郎はソノケがあるのかと思わせる。
ただ喬太郎の体型だと前半のお菊に哀れさがない。その反面、後半の恰幅の良くなった愛嬌のあるお菊にはピッタリだったが。

コントはペテカンがメインで、間に東京03が二つのネタを演じた。いずれも小さなテーブルの周りに3脚の椅子を配しただけの舞台装置で、スーツ姿の3人が座っておしゃべりするというもの。
最初のネタは3人のサラリーマンで、一人の男が接待ゴルフの最中に客先の社長をカートではねてしまい、大事な顧客を失うという大失敗を犯したというもの。すっかり落ち込んだその男を他の二人が励ましているうちに、実はその男は落ち込んではおらず、その振りをしていただけという事が分かってくる。
失敗し落ち込んだポーズだけをするという人はまま見かけるわけで、当然反省もしない。そういう点に着目したものだ。
もう一つは、社長と部下二人いう設定。偉い人たちが集まった会合から戻ってきた社長が、とにかく自慢話が多くて閉口したと語る。そして自分は人に自慢話を決してしないと部下に同意を求める。一人の部下はその通りと賛意を示すが、別の部下は「社長は決して自慢しないと言ってるそのこと自体が自慢なのでは」を突っ込みを入れる。
思わぬ反論に戸惑う社長は、その部下にお前こそ何事にも一言もの申す若手という立場を誇示していると反論し、3人が言い争いを始める。
たしかに俺は決して自慢話はしないと他人に語ることは自慢の一つだと言える。
二つのネタともこう書いても、読む人に面白さは伝わらないだろう。
3人の息の合った会話、間、表情やトーンの変化、突然の話題の転換、それらが総合されて観ている我々を楽しませるのだ。
以前にもトリオでコントを演じるグループはあったが、主役(リーダー格)がいて、脇の二人が絡むという形が多かった。この東京03の様に3人が完全に平等で演じるという形は珍しいのではなかろうか。
とにかく期待通りの面白さだった。

ペテカンのコントは、私にはどこが面白いのか分からなかった。
一つには、コントは大人数でやるものではないということ。
楽器を使ったコントがあったが、ああいうのは楽器が使える人たちが演じるから面白いのだ(例えばクレージーキャッツ)。
女性たちの演じたものは特につまらなかった。

トリは喬太郎の『ハンバーグができるまで』。鉄板ネタでもう10回は超えているだろう。良くできた新作だが、こう度々だと飽きる。
終わってみたら、このネタを劇化してペテカンが来春に舞台で演じるとのこと。番宣を兼ねていたんだ。

2018/08/30

PCの引越し

今までのPCは座卓の上で使っていたが、床に座るのが辛くなりデスクと椅子に変えた。
これを機会にPCをデスクトップからノート型にした。ついでにネットの接続を有線からWi-Fiに変えた。
一連の作業の中でとりわけPCの引越しが大変で、旧PCのソフトやデータを外付けのハードデスクに移し、それを新しいPCにつなげてインポートさせるのだが、意外に手間取り疲れてしまった。マニュアルを見ながら作業したが、マニュアル通りには行かないことも多かったのだ。
そんな訳でここ数日ブログを休んでいました。

2018/08/26

四代目桂春團治襲名披露公演(2018/8/25)

上方落語会「四代目桂春團治襲名披露公演」
日時:2018年8月25日(土)13時
会場:国立演芸場
<  番組  >
笑福亭べ瓶『時うどん』
桂三若『宿題』
桂きん枝『悋気の独楽』
―仲入り―
『口上』下手より司会の桂三若、桂きん枝、桂春團治、三笑亭夢太朗 
三笑亭夢太朗『目黒のさんま』
春之輔改メ
四代目桂春團治『親子茶屋』

8月の国立演芸場の特別企画、上方演芸会は「四代目桂春團治襲名披露公演」。上方の大名跡襲名とあって出向いた次第。

べ瓶『時うどん』
2度目だがこの人は上手い。翌日にアホが一人でうどんを食いに行く場面での、うどん屋のリアクションが良い、二人の会話の「間」のとり方も良い。下手な人が演じるとどうしても不自然な感じになるが、両者がチグハグなのに自然体なのだ。
久々にこのネタで笑えた。

三若『宿題』
初見、華のある落語家だ。拠点を東京にしているそうだが、東京の落語ファンにも受け容れられる雰囲気を持っている。
師匠の文枝作のお馴染みのネタで、父親が会社の新入社員から問題の解き方を教わるという部分はカットしていたが、面白さは十分伝わって来た。話のリズムが良いせいだろう。

きん枝『悋気の独楽』
来年の小文枝襲名を控えていて、後の「口上」で司会者から「襲名を控えただいま心を入れ替えている所です」といじられていた。
このネタは東京の寄席でもお馴染みだが、元々は上方のネタを東京に移したもの。筋はほぼ同じだが、本妻が定吉に饅頭を食わせた時に、嘘をつくと血を吐いて死ぬと脅して妾の居所を吐かせる所と、この場面に女中のお竹が同席している点が東京と異なる。
疑問に思ったのは、定吉が妾からいつ悋気の独楽を貰ったのかがはっきりしなかったこと。定吉が本妻から言われていきなり懐から取り出し、使い方を解説し始めるのは唐突の感があった。もしかして、妾から定吉に独楽を渡す場面を忘れたのだろうか。あるいは上方の演じ方がこうなんだろうか。

『口上』
通常は襲名の口上を受ける側は黙って座ってるだけだが、この日は自分に都合が悪いことを言われると、春団治は相手に訂正させていた。そんな訳で口上の大半が春団治ときん枝の掛け合いに費やされていた。
最後の手締めが東京と異なり、2-2-3(手拍子はチョチョンのチョン)拍子だった。

夢太朗『目黒のさんま』
昨年、日本演芸家連合に就任。
季節を早取りしたネタで、今年も秋になると寄席で何べんも聴かされることになるだろう。

春團治『親子茶屋』
先代の十八番だったネタを。
数ある上方落語の中でも最も上方落語らしいネタだと言えよう。東京落語には廓噺というジャンルがあるが、対する上方は茶屋噺だ。
この噺では、前半は父親が道楽息子を説教するが、若旦那の方はいっこうに堪えず、却って父親を馬鹿にして怒らせてしまう。番頭の機転で父親は仏事を理由に外出するが、実はこの父親も大変な遊び人。向かう先は新地の茶屋で、芸妓を上げての茶屋遊び。
後半は、父親がいなくなったのを幸いに新地に向かった若旦那。茶屋の2階でこの父親と息子がバッタリ出会うという筋になっている。
先代の春団治や米朝のように、このネタは演者に粋さが求められる。そこの所に行くには未だ距離があるなという印象だ。
新たな春団治像が描かれることを期待したい。

2018/08/25

月例三三独演(2018/8/24)

「月例三三独演」
日時:2018年8月24日(金)19時
会場:イイノホール
<  番組  >
柳家三三『猫の皿』
柳家三三『突き落し』
桂三四郎『二転三転』
~仲入り~
柳家三三『妾馬』

三三の独演会には何度か足を運んだことがあるが、「月例三三独演」は初。
前座無しで(これはイイ)2席、ゲスト(正しくはスケかな)が1席、仲入り後に長講を1席と言う構成だった。満席のようだった。

三三『猫の皿』
地方を回って掘り出しものを安く買いたたいて、東京へ持ってって高く売りさばこうという端師(はしし)、当てが外れて手ぶら。今夜は熊谷泊りかとガッカリしながら、通りかかった茶店に腰を下ろし周囲の景色を眺める。
このネタの本題自体は短いので、前半部分に時間を割いて後半を浮き立たせるというのが常法。
仲入り前に2席演じる関係からか、前半の端師の独白がやや短めに感じた。

三三『突き落し』
『付き馬』と似たストーリーだが、こちらは客が大勢で、しかもウマをお歯黒ドブに突き落として逃げて来るっていうんだからタチが悪い。後味が悪いってってんでこのネタを嫌う人もいるくらいだ。でも、所詮は落語の世界。
三三の高座は、町内の若い者にさほど悪気を感じさせない。若気の至りのちょっとしたイタズラといった所。

三四郎『二転三転』
名前は知っていたが、初見。爽やかな印象で、声も滑舌も良いし、特に女性には人気があるのだろう。
ストーリーはサラリーマン家族の転勤を扱ったもので、中身は主に東京と大阪の言葉や習慣の違いがテーマ。
上方の落語家が東京で公演する際に、マクラで喋るような内容を1席にまとめたという印象だ。
客席はけっこう受けていたが、私は面白味を感じなかった。

三三『妾馬』
通常は殿様の命を受けた侍が長屋に入ると八五郎が井戸替えしている所に出会い、そのあと大家を訪ねて長屋の”つる”を屋敷に奉公に上げるようにと伝える。後は大家が母親と兄に承諾を得るといことで侍は帰って行く。
三三の演じ方は少し変えていて、八五郎は町内の悪ガキが釣瓶を井戸の中に落としてしまったので、その回収作業をしている所に侍が通りかかるとしていた。侍が大家を訪れた際に、大家がつるの母親を呼び承諾を求めるというのも初めて観た。
どうやら長屋の悪ガキである豆腐屋の倅のイタズラを強調するためにこうした演出にしたようだが、本筋と無関係な所でゴチャゴチャした感がある。
大家が八五郎を呼んで殿様の招きで屋敷に行くように勧める所で、行けば金が貰えると言った時に、八五郎が「いくら貰える?」と金額を訊くのをカットしていたが、ここは八にとって最大の関心事だった筈で外せないのでは。
殿の御前で八五郎はすっかり酒に酔い、お酌してくれるご老女に「綺麗だね」などと言って愛嬌を見せるのは新しい工夫だ。
この後、通常は八五郎が都々逸を披露するのだが、三三の高座では無かった。
ラストは、のちに八五郎の母親がつるの子と対面が出来たということで終えていた。
こうした三三のいくつかの改変は、評価が分かれるところだろう。

2018/08/22

人形町らくだ亭(2018/8/21)

第79回「人形町らくだ亭」
日時:2018年8月21日(火)18時50分
会場:日本橋劇場                        
<  番組  >
柳家小満ん『湯屋番』
露の新治『雪の戸田川』
~仲入り~
柳家さん喬『福禄寿』

仲入りを挟んで珍しいネタが並ぶ「らくだ亭」へ。会場の日本橋劇場は我が家からエスカレーターやエレベーターを使って階段なしで行けるのでラクダ。

何とかいうアメリカ人女性が小咄を一席。
何とかいう前座が『元犬』を。

小満ん『湯屋番』
このネタに登場する若旦那は、さんざん道楽をした挙句勘当となり、出入りの職人の家に居候していた。湯屋に奉公する目的も、主人が若死にしたら後家さんの婿におさまり・・・というとんでもない遊び人だ。だから、この若旦那には遊び人風情が求められる。そこが、同じ様な年増との濡れ場を夢想する『浮世床(夢の逢瀬)』や『夢の酒』とは大きな違いがある。
こうした人物像を描くとなると、小満んが当代では第一人者だろう。
湯屋の主に煙突掃除をと言われと、「さてその次は・・・」と歌舞伎の弁天小僧のセリフで混ぜっ返す。
風呂場で褌を洗ってる男を見つけると、「やだね、源氏の白旗だ。ここは平家で、燃える様な長襦袢といきたいね」。
こういうセリフが似合うのも、小満んならではだ。

新治『雪の戸田川』
先代正蔵から教わった怪談噺『戸田の河原』を、露の五郎兵衛が上方落語に直したもの。但し地名はそのままにしている。
【あらすじ】
干鰯(ほしか)商売が当り、今では佐野のお大尽とまで言われる治郎吉。商用で江戸に投宿していたが、国の女房が産気づいたとの知らせで、急ぎ佐野に向かう。途中、戸田の渡しに差し掛かると、河原の粗末な小屋から一人の女乞食が物乞いに寄ってくる。気の毒に思った治郎吉が金を恵むと、その女乞食が「こんな金は要らんわい、よぉも見忘れはしょまいがなぁ~、治郎吉ッ!」と言って金を叩きつける。
面相がすっかり変わってしまってはいるが、治郎吉が若い頃に所帯を持っていた女房お紺だった。病気になったお紺を見捨てて去ってしまった恨み辛みをぶつけるお紺に治郎吉は経緯を説明する。
お紺が江戸で病に臥せってる間に、伊勢松阪まで金策に向かった治郎吉は、旅先でひと月余り寝こんでしまう。ようやく江戸に戻るがお紺の姿は見当たらず、方々訪ね歩くがとうとうお紺は行方知れず。
やむなく故郷の佐野に帰り、商売も繁盛し一家を構える身となった。
よりを戻せと迫るお紺に治郎吉は、それなら一緒に佐野に行こうと言う。ただお紺の身なりが余りに汚いので、せめて川の水で顔と髪だけでも洗うことを勧める。身を乗り出して顔を洗うお紺。このまま佐野に連れ帰ることは出来ないと悟った治郎吉は背後からお紺を川に突き落とす。
治郎吉は渡し場に行き、船頭の漕ぐ渡し船に乗るが、川の中ほどに来るとお紺の幽霊が現れる。おのれ、血迷ったかと村正で斬りかかる治郎吉だったが、お紺に川底に引き込まれ、後は船の上に白い雪がハラハラと落ちるだけ。

新治の怪談噺は初めて聴いたが、ハメモノを使った芝居仕立てのセリフもつぼに嵌って良い出来だった。
新治の語りの確かさが活きた一席。

さん喬『福禄寿』
三遊亭圓朝の作。
圓生の高座を聴いていい噺だと思い、以前に落語研究会で演じたことがあったが不満足なもので、もう一度チャレンジしてみようと思い立ったとのこと。
【あらすじ】
深川万年町の福徳屋万右衛門、実子が7人に加え脇腹からの6人の子を引き取り、16名の子を育てた。それぞれ順調に育ったが、惣領の禄太郎だけは派手なことが好きな道楽者で、大きな事業に手を出しては失敗し、大金を騙し取られたりして店を倒産させる始末。
分家した次男の福次郎は地道な商売一筋で店を繁盛させて両親に孝行している。
暮れの28日の雪の日、万右衛門一家は暮の祝いを催して親類一同が集まったが、敷居が高いのか長男の禄太郎だけは姿を見せない。宴席は続いていたが、母親は一足先に離れの隠居部屋に先に引きあげて炬燵に入っていた。そこに雪の中を禄太郎が訪ねてきて、母親の口利きで福次郎から300円借りてくれとせがむ。
度々の無心を断る母親との押し問答をしていると、福次郎がやって来たので母親は禄太郎を炬燵の中に隠す。福次郎は何かの時の入用にと300百円入った財布と酒を置いて、商売仲間の忘年会に行かねばならないとそのまま出て行ってしまう。
しめしめとばかり禄太郎は300円を懐にして、母親がとめるのも聞かず茶碗酒を重ね雪の中をふらつきながら出て行ったが、庭を出たところで滑って転んでしまう。
一方、福次郎は忘年会から戻ってきて、庭のそばでさっき母親に渡した財布を見つける。中には300円が入ったままだった。福次郎母親の部屋に入って金を見せて、「人にはみな分限というものがあって、一升袋には一升以上は入らない。無理に入れようとしても袋が破れてしまう。兄さんは小さい袋なのに大きな事ばかりしようとしているから、身代限りを続けているのでしょうね」と言う。
戸をどんどんと叩く音がする。開けるとすっかり酔いもさめて青ざめた禄太郎が立っていた。部屋に入って禄太郎は今の福太郎の話を立ち聞きし、自分の誤りに気付く。300円を差し出す福次郎に、禄太郎はそのうち10円だけ貸しておくれと頼む。
すっかり心を入れ替えた禄太郎は10円を持って福島の荒れ地を開墾して、それを元手に北海道に渡って亀田村を開拓したという。

圓生は晩年になってネタ下ろししていて、市販されているCDを聴いた限りでは随分と暗いという印象を受けていた。この日のさん喬の高座を聴いて、最後に救いがあり、なかなか良く出来た噺だと改めて思った。
このネタは演者に力量が求められ、長講の割には儲からない噺だと思う。演じ手が少ないはそうした理由からだろう。
さん喬、渾身の一席。

2018/08/21

鈴本8月中席夜の部・楽日(2018/8/20)

鈴本演芸場8月中席夜の部・楽日
<  番組  >
柳家東三楼『初天神』
鏡味仙三郎社中『太神楽曲芸』  
五街道雲助『ざる屋』
春風亭一之輔『堀の内』
柳亭市馬『天災』
ホンキートンク『漫才』
柳家喬太郎『同棲したい』
露の新治『紙入れ』
~仲入り~
柳家小菊『粋曲』
柳家さん喬『寝床』            
林家正楽『紙切り』
柳家権太楼『唐茄子屋政談』           

約ひと月ぶりの外出だ。
この間、有難いことにお見舞いや励ましのコメントを頂き、改めて御礼申し上げます。
アルコールもやはりひと月断っていて、入院中はあれほど焦がれていた酒も、今は平気になってきた。慣れというのは恐ろしい。

さて、鈴本の8月中席はお盆興行になっていて、特に夜の部は、さん喬と権太楼が全てネタ出しで交互にトリを取るという企画になっている。
今年で29年目を迎えたそうだ。
かつては、浅草演芸ホールの昼の部で志ん朝のトリと住吉踊りを観てから上野広小路に移動して鈴本の夜の部に、というのが慣わしだった。もちろん、指定も前売りもない時代で、開演少し前に鈴本に着いても最前列に座ることが出来た。今から思えばいい時代だった。

顔づけは落語協会オールスターキャストといった按配で、普段の寄席と違ってサラクチから目一杯演じているという印象だ。
例によって短い感想をいくつか。

東三楼『初天神』
本格古典でいい感じだったが、後ろの顔ぶれに呑み込まれてしまったようだ。

雲助『ざる屋』
師匠譲りの得意ネタとはいえ、程よく笑わせる手際は大したものだ。寄席の浅い出番ではこの「程の良さ」が難しのだ。

一之輔『堀の内』
爆笑につぐ爆笑、これでもかと思うほど笑わせる。粗忽を治そうとする男だが、お祖師さまに願をかける際に「世界平和を」と言ってしまう。後で倅を風呂に連れて行くときに名前を「ジョン」と呼んでしまい、倅から「やっぱりおとっつあんは世界平和をを望んでるんだね」と言われる。例えば、こういう細かな仕掛けがこの人の凄さだ。

市馬『天災』
一之輔の後というのは誰しもやりにくいだろう。市馬らしい落ち着いた語りなのだが、聴いてる方はテンションが下がったように思えてしまう。

喬太郎『同棲したい』
マクラで「今日は弟子ですから気楽なもんです」って言ってたけど、あれは師匠には結構プレッシャーかも。
タイトルはかつてコミックや映画で話題になった「同棲時代」をもじったもの。熟年夫婦が、若い頃憧れた同棲生活を再現しようというもの。
古典が続いたこの日のネタで唯一の新作。「キョンさま~」と言っていた隣席のご婦人は大喜びだった。

新治『紙入れ』
同じネタでも東京に比べ上方版は全体にネットリとしている。あの年増の手練手管にあってしまっては、大概の男はコロッといくだろう。
このネタは今回で3度目だが、相変わらず上手いもんだ。

小菊『粋曲』
~~❤

さん喬『寝床』
数年前に聴いた時は、上方の桂枝雀の影響を強く感じたが、この日は演じ方をだいぶ変えていた。
一つには、主人が喉試しで義太夫のサワリの部分を聴かせる場面に時間を割いていた。後半の長屋の連中が主人の義太夫を聴かせられる所はアッサリとしていたが、サゲは良く工夫されていた。
さん喬ほどのキャリアになっても、こうした試行錯誤を繰り返しながら仕上げてるんだなと、改めて感心した。

正楽『紙切り』
お題は、夏祭り、さん喬と権太楼、猫の親子、
だった。

権太楼『唐茄子屋政談』
権太楼のこのネタは初。
このネタは登場人物の演じ分けが肝要だ。
勘当されて辛い目に遭いながらどこか甘さが抜けない若旦那、厳しいが人情味のある叔父さん、侠気の江戸っ子の男、貧しい浪人の妻、業突く張りの大家。
権太楼の高座は、それぞれの人物を的確に描いていて、間然とすることなく長講を演じきった。

お盆興行の楽日に相応しい熱演が続き、ひと月ぶりの高座に満足。

2018/08/13

お知らせ

当初はほんの1週間ほど休むつもりでしたが、
点滴サービス付き別荘で静養する羽目になりました。

かなり回復はしてきていますが、
外出するまでには未だ少々時間が要るようです。
その他諸々の事情もこれあり、
何とか8月下旬にはブログを再開する予定ですので、
もうしばらくお待ち下さい。

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