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2018/09/23

「出囃子」あれこれ(1)

落語家の出囃子は、落語家自身の雰囲気や芸風にあわせて下座が決めるのが通例とされているが、最近では二つ目に昇進した際に落語家自身がリクエストする例もあるようだ。
出囃子の原曲としては、
①歌舞伎や文楽の中で演奏される長唄や浄瑠璃
②小唄、端唄など俗曲
③出身地に因む民謡
④ジャズ、歌謡曲、アニメソング、自身のテーマ曲、など
が使われている。

ここで、8代目文楽の「野崎」。圓生の「正札附」、志ん生の「一丁入り」について原曲を推察してみたい。
(1)「野崎」
この出所は明白で、文楽や歌舞伎の演目である「新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)」上の段の後半部分、通称「野崎村」の山場で演奏されている。
上方では代々の桂春団治の出囃子として有名で、東京では8代目桂文楽の代名詞ともなっているが、同時代には9代目桂文治も使っていた。
(2)「正札附」
新春を寿ぐ目出度い歌舞伎狂言の中で使われている長唄「正札附根元草摺引(しようふだつきこんげんくさずりびき)」、通称「正札附」が原曲と思われる。東京では三遊亭圓生、その亡き後は弟子の三遊亭圓弥が出囃子としていた。
(3)「一丁入り」
これは出所が不明だ。
但し圓生が監修した「寄席囃子」ではこの曲を「江戸のっと」としている。「のっと」とは「祝詞」の事で、能・狂言の祈祷で使われる囃子を長唄に移したものを指す。圓生が正しければ、この辺りに原曲があると思われる。
古今亭志ん生の出囃子として有名で、その後は息子の先代馬生が晩年の一時期使っていたが、今や永久欠番の扱いになっているようだ。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

出囃子はそれぞれ程よく原曲がアレンジされている、と楽しんで聞いています。
落語会や出前寄席など録音音源を持参する場合があるそうですが、定席の魅力は囃子(出囃子、間囃子)が“ライヴ”、高座とのやり取り(とくに奇術)乗り具合が聞こえてくることがその一つだと思います(前座さんたち、太鼓や笛の修行にも励んでくださいよ)。
それにしてもあの「一丁入り」のオリジナルは何でしょうか?

投稿: Yackle | 2018/09/26 00:09

原曲がまた豊富で勉強になります。ありがとうございます。
以前、スマホの待ち受けを『一丁入り』にしたいなどと考えていたくらいです。

投稿: 福 | 2018/09/26 06:38

Yackle様
少人数の会で出囃子をテープにするのはやむを得ないですが、100人以上集まる様な会ではナマで演奏して欲しいものです。
即興で演奏する下座の人たちの腕まえには感心します。

投稿: ほめ・く | 2018/09/26 21:07

福様
「一丁入り」は出所は不明ですが、圓生の言う「江戸のっと」の方が納得がいく気がします。
4代目小さんの出囃子が「上方のっと」ですし、現在も馬風の出囃子が「本調子のっと」なので、
「のっと」が一般的に寄席の出囃子に使われていたものと思われます。

投稿: ほめ・く | 2018/09/26 21:21

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