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2018/09/16

ワザオギ落語会(2018/9/15)

第16回「ワザオギ落語会」
日時:2018年9月15日(土)18:30
会場:国立演芸場
<  番組  >
柳亭小痴楽『一目上り』
三遊亭萬橘『紀州』
春風亭一朝『抜け雀』
~仲入り~
笑福亭たま『ちしゃ医者』
柳家権太楼『短命』

「ワザオギ落語会」はDVDに収録して販売するという、一度で二度美味しい(主催者にとっては)会だ。もっともチラシを見ると2014年発売が最後になっている。4572円という価格が高すぎるせいで売れていないのか。
今回の出演者はベテラン二人に若手三人という構成。

小痴楽『一目上り』
いつもの学歴コンプレックスのマクラから入る。
試しに教科書を開いてみればわかるが、中学の学力が身についていれば、よほどの専門職を別にして、通常の仕事をするには必要かつ充分だ。
開口一番ということで前座噺を演じたようだが、やはりこのクラスの人が演じると面白い。八五郎の造形が可愛らしかった。
以前は七福神でサゲるのが一般的だったが、近ごろは芭蕉の句でサゲるケースが多い。

萬橘『紀州』
プログラムにも書いてあったが、この人の特長は「フラ」だ。そこに存在するだけで可笑しい。噺家にとっては最高の武器で、これさえあれば一生食うに困らないとさえ思う。又これだけは努力ではどうにもならない、天性なのだ。
だから、どこが面白いのか説明が難しい。ナマで聴いて貰うしかない、そういう噺家だ。

一朝『抜け雀』
以前に、他の一門の若手が予め知っていれば一朝さんの所へ弟子入りしたんだけどと言っていた。それだけ人柄が良いということだろう。
その人柄が芸に表れていて、どういうネタを掛けても人物を温かく描いている。この噺に登場する宿の主など、直ぐにでも友達になりたくなる愛すべき人物だ。宿賃を踏み倒していく絵師でさえ憎めない。
淀みないリズム感のある語りもこの人の魅力だ。

たま『ちしゃ医者』
東京に比べ上方の噺家の方が個性的で変わった人が多いようだ。たまは、マクラでそういう人たちをとりあげる。この日は桂文福の爆笑エピソードで会場を盛り上げた。
深夜、大店の番頭が藪医者の赤壁周庵のもとへ急患だから来てくれとやってくる。口の悪い下男の久助は「うちの先生に診てもうたらかえって命危ないで。」と断るが、とにかく急いで往診してくれということで、番頭と久助が医者を駕籠に乗せて店に向かう。
処が、途中で患者が死んだことが分かり、番頭は二人を置いて帰ってしまう。これでは駕籠が担げないと困っていると、そこへ下肥汲みの百姓が通りかかり、自分が替わりに担ぐと申し出る。その代わりにと肥の入った桶を医者が抱えることになる。駕籠が揺れるたびに桶の中身が跳ねるので医者は閉口する。
百姓が手水を汲むために立ち寄った家の婆さんに、手水汲むお礼に何をくれるのかと訊かれ、今日は何もない、駕籠に医者がおるだけと返事する。
その婆さん、「医者」と「ちしゃ」と聞き間違え、駕籠の中の肥桶に手を突っ込むやら、かき回して医者の顔に塗りたくるやらで大騒動。怒った医者が婆さんを蹴り倒すと、悲鳴を聞いた息子が駆け付け医者に殴りかかる。
「これ、何さらす、痛いがな」と医者。
「おのれこそ何さらす!母じゃ人に足かけくさって!」と息子が怒るのを、
久助が「足でよかった。手にかかったら、命がないで」
でサゲ。
全編スカトロジーのばっちい噺だが、それを汚いと感じさせないのが腕の見せ所だ。
このネタは他の演者でも聴いたことがあるが、たまの高座が断然面白い。

権太楼『短命』
前方が大受けだったので、マクラ抜きでやや抑え気味にネタに入る。
美人を妻に持つと亭主は短命になるのを一生懸命に謎かけする隠居と、それがサッパリ理解できない八五郎との珍妙なヤリトリが実に可笑しい。
何を演じても権太楼の世界に客席を引きずりこんでしまう。

それぞれの持ち味が生きた楽しい会だった。

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コメント

たまは権太楼に負けまいと張り切ったのですね。

佐平次様
たまは、いわゆる膝の位置でしたので東京の噺家ならトリに気を使うでしょうが。権太楼もちょっとやりにくそうな感じでした。

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