鈴本9月下席・昼(2018/9/26)
鈴本演芸場9月下席昼の部・6日目
前座・柳亭市朗『堀の内』
< 番組 >
春風一刀『子ほめ』
ダーク広和『奇術』
春風亭勢朝『大師の杵』
三遊亭歌武蔵『漫談』
ロケット団『漫才』
桂藤兵衛『三人無筆』
春風亭三朝『やかんなめ』
林家楽一『紙切り』
春風亭一朝『短命』
─仲入り─
三増紋之助『曲独楽』
橘家圓太郎『桃太郎』
古今亭文菊『権助提灯』
柳家小菊『粋曲』
春風亭一之輔『竹の水仙』
団体客も入っていたが、会場はほぼ満席。やはりトリを始めとして顔づけが良いせいだろう。
一刀『子ほめ』
名前は「はるかぜいっとう」と読む。一朝門下で唯一人亭号が異なる。喋りも滑舌も良い。
ダーク広和『奇術』
何より手品が大好きという思い入れは伝わる。ただプロだから見せ方にはもっと工夫が要るだろう。
勢朝『大師の杵』
久々だ。いつもの様に軽い小咄を並べて本題へ。このネタも久しぶりだった。4代目柳亭痴楽が十八番としていて、布団に残された杵を見た娘が「思い杵との辻占かしら? それとも後から搗(付)いてこい搗(付)いてこい」と言って大師の後を追う、と演じていたのを思い出す。
川崎大師由来の一席で、3代目金馬によればここで「女除(よ)け」のお守りを売り出したが全く売れなかったと言っていた。ただ「女除(よ)け」の御利益はあるから、川崎大師に参詣される男性はご注意を。
歌武蔵『漫談』
いつも相撲漫談で沸かす。貴乃花騒動でまた新しい飯の種ができた。
ロケット団『漫才』
時事ネタを織り込んでこの日も舌好調! 落語協会の漫才師としては、ホームランと2枚看板だね。
藤兵衛『三人無筆』
近頃では無筆の人がいなくなったせいか、このネタが演じられなくなった。
葬儀の参列者の帳付けを頼まれた二人、共に無筆だったので大弱り。知恵を絞って「仏の遺言」でめいめいに自分で名前を書いて貰うことにした。運良く字が達者な参列者がいて替わりに皆んな書いてくれた。助かったと思ったら後から遅れて来たのがまた無筆。
仕方がないので、「そうだ。おまえさんが弔いに来なかったことにしとこう」
「そんなことをしたら旦那に申し訳がねえ」
「いや、かまいません。ホトケの遺言にしときます」
でサゲ。
この人らしい明解な語り口で聴かせていた。
三朝『やかんなめ』
二ツ目時代から注目していたが、やや足踏みの感があった。
この日は面白かった。こういうネタはニンだ。
楽一『紙切り』
珍しく体を揺らさない紙切り。腕は確かなようだが、芸人らしい愛想が欲しい。
一朝『短命』
この日も一朝懸命。ただ葬儀の悔やみ繋がりで、藤兵衛『三人無筆』とネタがツイテしまったのでは。
紋之助『曲独楽』
暫く見なかったが病気でもしていたのだろうか。それともタマタマかな。
圓太郎『桃太郎』
この人が演じると、小生意気な子も可愛く見えてくる。
文菊『権助提灯』
文菊の演じる女性っていうのは、病的に色っぽい。権助の造形が良かった。
小菊『粋曲』
大好きな小菊姐さんだが、この日はちょいと喉の調子が良くなかった。お大事にね。
一之輔『竹の水仙』
一之輔のこのネタは初めてだが、相変わらず何を演らしても上手い。持ちネタの数が多いだけでなく、その幅が広いのに感心する。難しいと思われた『鼠穴』や『富久』も難なくこなしてしまう。
この日も宿の亭主と甚五郎、亭主と女房、細川公と家来をそれぞれ対照的に描き分け、その手腕を発揮していた。
質量ともに満足の鈴本9月下席だった。
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今月の鈴本は顔付けが良いので、特に下席に行こうと思いましたが、急な仕事で・・・(>_<)
都内にお住まいの方は、羨ましいです。
投稿: 蚤とり侍 | 2018/09/29 13:48
蚤とり侍
平日の昼間から寄席見物で、現役で仕事されている方には申し訳ない気がします。と言いながら楽しんでいるのですが。
投稿: ほめ・く | 2018/09/29 18:31