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2018/10/26

笑福亭たま深川独演会(2018/10/25)

「笑福亭たま深川独演会」
日時:2018年10月25日(木)19時
会場:深川江戸資料館

前座・瀧川どっと鯉『犬の目』
<  番組  >
瀧川鯉舟『幇間腹』
笑福亭たま『永遠に美しく』
笑福亭たま『寝床』
~仲入り~
笑福亭仁智『スタディ・ベースボール』
笑福亭たま『最新ショート落語』
笑福亭たま『死神』

当ブログを始めたころ、つまり13年前に熱心な落語フアンのブロガーがいた。東京在住の女性だった。その人の記事で笑福亭たまの名を初めて知った。未だ入門して7年という、しかも上方の落語家に着目していたわけで、慧眼恐るべしである。裏返せば、たまはその当時から見るべき才能があったという証左でもある。
今まで隔月で開かれてきたこの「笑福亭たま深川独演会」は今月から月例になったそうだ。それだけ東京にも固定フアンが増えてということだろう。

鯉舟『幇間腹』
まだ喋りが落語家の喋りになっていない。

たま『永遠に美しく』
マクラで、6代目松鶴の生誕100周年記念の落語会が繁盛亭で開かれ、初めて笑福亭一門全員が集まったと。1週間で全員が高座に上がったそうで、これは他の一門では実現できないことらしい。その理由を縷々述べていたが、上方落語界の裏話にもなっていた。たまが会計報告書を作成したが、収入と支出が完全に一致していた(当たり前)ことに他の師匠たちが驚いていたそうだ。
ネタはたまの新作で、かなりエッチな中身だ。
女性とナニしたい男に、博士が紹介したのは98歳の老婆。でも博士が開発した皇潤の注射で80歳も若返り18歳の娘になる。喜んだ男は早速コトに及ぶが、薬の効き目が短時間で、相手の女性は98歳と18歳の間をは激しく揺れ動くというストーリー。この動きをセリフだけで表現して笑いを取っていた。
放送は出来ないからライブでしか聴けないネタ。

たま『寝床』
元々は『寝床浄瑠璃』という上方ネタだが、8代目文楽の名演以来、むしろ東京が本家の様になってしまった感がある。戦後、上方四天王と言われが4人が誰も高座に掛けなかったというのも理由の一つだろう。
上方落語の『寝床』というと、桂枝雀が演じたものが頭に浮かぶ。それが原型であるかの様に、枝雀のくすぐりは東京の落語家も多く採り入れている。
理由をつけて浄瑠璃の会に行けないという長屋の住人は3人だけ、後は死人が出たので葬礼で行けないという設定。奉公人たちの病気の言い訳もカット。
怒った旦那を諫めるのは番頭でなく娘だ。
ストーリーは浚っているのだが、いかんせん中身が薄い。
それとセリフと地の語りの間に緩みが見られ、不満の残る高座となった。

仁智『スタディ・ベースボール』
初見。上方落語協会の新会長に就任したのは御存じの通り。他の副会長たちの事情で、いわば消去法で会長に選ばれたといったエピソードを面白可笑しく語る。
ネタは、野球選手も教養が必要だというわけで、ヒットを打った選手に審判が問題を出し 解答を間違えるとヒットが取り消されるというもの。
出題と珍回答で笑わせる。
上方落語協会会長は二代続いて新作を演じる人になったわけだ。

たま『ショート落語』では、AIが発達すると人間の仕事が次第に奪われる。どうしたらいいか? それはAIに訊いてみよう。というのが秀逸。

たま『死神』
『寝床』同様にかなり端折った内容になった。
このネタの最も肝心な所は、医者で大儲けした男が女狂いで一文無しに落ちぶれ、追い詰められた末に金持ちの大店の主を助けて大金を得る為に、病人の布団を半回転させて死神を騙してしまう点にある。だから後で死神からしっぺ返しを受けるのだ。そうした人間の業を描いているからこの物語の意味があるわけで、そこを除いてしまうと気の抜けたビールになってしまう。
今回の古典2席は、いずれも疑問の残る高座となった。

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コメント

4席というのがちょっと無理だった?

佐平次様
『寝床』や『死神』を15分ほどで演じることに無理があったようですが、ネタに対する解釈に不十分な所があったように見受けられました。

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