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2018/10/28

一之輔五夜(2018/10/27)

「一之輔五夜」千穐楽
日時:2018年10月27日(土)17時
会場:よみうり大手町ホール
<  番組  >
柳家小太郎『のっぺらぼう』
春風亭一之輔『代脈』
春風亭一之輔『粗忽の釘』
~仲入り~
ペペ桜井『ギター漫談』
春風亭一之輔『中村仲蔵』

2014年からスタートしたこの企画は、最初の年は1夜、2年目は2夜という具合に増やしていって、今年5年目は5夜、合わせて15夜という趣向だ。毎回必ずネタ下ろしの1席をネタ出しするというのが最大の特長だ。
以下に、15回のトリのネタを紹介する。
1夜 文七元結
2  三軒長屋
3  百年目
4  三井の大黒
5  睨み返し
6  柳田格之進
7  猫の災難
8  文違い
9  心眼
10  二番煎じ
11  ねずみ
12  付き馬
13  帯久
14  意地くらべ
15  中村仲蔵
いずれも大ネタであり、これらをネタ下ろしで演じてきたのには相当の苦労があったものと思われる。
この日が千穐楽で、終演後の挨拶で一之輔のホッとした表情が印象的だった。
例によって寸評。

小太郎『のっぺらぼう』
ネタが短かったので、マクラで『芝浜』や自作と思われる『舞浜』を披露していた。それ自体は悪くなかったが、客席に媚び一之輔に媚びる。もっと堂々と演じれば良いのに、卑屈に見えて不快だった。

一之輔『代脈』
このネタは寄席でも頻繁に掛かるのだが、大して面白い噺ではない。だからお茶うけの羊羹のクスグリなどで笑いを取るのだろう。
一之輔の高座にしてえは客席の反応も鈍かった。

一之輔『粗忽の釘』
十八番であり、自家薬籠中のネタと言っていい。
何度か高座にも接しているが、粗忽の夫婦が行水していて盥の底が抜けて二人で「土星踊り」をする所と、伊勢谷の娘の愛犬ペロが行方不明になり探す過程でチン事件が起きるという、2か所のクスグリは初めて聴いた。場内は爆笑。
隣の連れが「これ、新作?」と訊いてきたが、そう感じたのも無理はない。

ペペ桜井『ギター漫談』
ますます元気。一之輔がこの人を人間国宝にと言っていたが、気持ちは分かる。

一之輔『中村仲蔵』
一口に言えば、ストーリーを語るという点では申し分ない。
だがこの噺の肝心なところは、客席全体を仲蔵の舞台へ引き込むことにある。仲蔵の苛立ちや焦り、初日に向けての苦労や意気込み、そしてしくじったと思い込んだ後の絶望から大団円に至る過程に、いかに観客の共感が得られるかが勝負なのだ。
この点では大いに不満が残るものだった。
仲蔵と女房のセリフに陰影がなく、平板に流れてしまった。
仲蔵が初日の舞台での演技に客が反応しなかった時の失望感が、もう一つ伝わってこなかった。
「芸人が舞台で失敗すると・・・」といったクスグリを挟んでいたが、あれは失敗だ。客がここで地に戻り、緩んでしまうのだ。
これから再演を繰り返すものと思われるが、こうした点に一層磨きをかけて欲しい。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

一之輔『粗忽の釘』
私も二ツ目時代に聞いたことがあります。
この噺はおおげさにいえば、空間概念、距離感の把握が主題になっていて、聴きながら庶民の住空間を想像することに楽しみがあります。

福様
一之輔の今回の高座では、この夫婦の引越しは2回目という設定にしていました。サイドストーリーで笑いを取るという演じ方です。

>この点では大いに不満が残る
そうなんですよね、爆笑につぐ爆笑というのはいつか飽きます。

佐平次様
そうなんです、仲蔵の様なネタは演者と客席の間に緊張感を作り上げることが肝要で、余計なクスグリを入れるとぶち壊しにしてしまうんです。

一之輔の『中村仲蔵』は、改善の余地あり、とのことですね。
『粗忽の釘』の夫婦を引きずったかなぁ。
それにしても、この会は、なかなか野心的な試みですね。
もうすっかり一枚看板。
にぎわい座の地下、のげシャーレで当日券でも入ることのできた頃を遠く感じます。
三三、白酒、兼好、そしてこの人が東京の落語会の将来を担っていくことでしょう。

小言幸兵衛様
『中村仲蔵』の様なネタはいかに観客を噺の中に引きずり込んで持続させてゆくかが肝心です。一之輔の高座では、仲蔵の苦悩も落胆も伝わってこないんです。ネタ下ろしでしたから、今後の精進に期待したい所です。

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