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« 米国の若者の「左傾化」 | トップページ | 人形町らくだ亭(2018/10/5) »

2018/10/05

五派勢揃い「ケチと強欲のはなしの会」(2018/10/4)

日時:2018年10月4日(木)18時30分
会場:お江戸日本橋亭
<  番組  >
古今亭志ん吉『もう半分』
立川ぜん馬『夢金』
桂春若『京の茶漬』
~仲入り~
笑福亭羽光『ケチ実話』
三遊亭圓橘『位牌屋』

「ケチと強欲」をテーマとした落語会で、珍しく東西の落語団体五派が勢揃いした。顔ぶれも決して悪くない。だが客の入りが悪い。この小屋で半分程度の入りだった。出演者には気の毒に思えた。
少し前から落語ブームだ寄席ブームだと言われているが、本物じゃない。一部の人気者が出演すると開演前に行列ができるほどだが、それ以外は客足が悪く、客席が閑散としていることさえ少なくない。
まだまだブームの底が浅いのだ。

志ん吉『もう半分』
良い出来だった。このネタに関しては真打と言っても可笑しくない。
粗末なを酒屋訪れる棒手振りの爺さん、1合の酒を半分の5勺づつ飲むのが唯一の楽しみ。共に社会の底辺にあって、何とかそこから這い上がろうともがいている。そのぶつかり合いの中で起きた悲劇だ。
志ん吉はそうした人間像を明確に描いていた。
殺しの場面を芝居仕立てに演じて、凄惨さを強調した演出も効果的だった。

ぜん馬『夢金』
立川流の中で最も上手い人として、ぜん馬の名前をあげる者もいる。私もその一人だ。
数年前から重い病を得て声はかすれがちだが、この日もその実力をいかんなく発揮していた。
寒中に大川に船を漕ぎ出す船頭の寒さが客席にまで伝わってくる。
強欲と江戸っ子の心意気とが同居している船頭の姿、結構でした。

春若『京の茶漬』
初見、3代目春団治の弟子。
同じ関西弁でも大阪と京都では違うというのをこのネタで実感できる。
京都の人は客が帰りかけるとお茶漬けをすすめるが、これは客が断ることが前提となっている。そこである大阪の男が京都の知り合いを訪れ、帰りがけにお茶漬けをすすめられたら食べることにする。
色々と謎かけしてお茶漬けにありつこうとする客と、ご飯の残りが少ないのでお茶漬けををすすめられないお上さんとの駆け引きが見せ所。春若の高座は、お上さんの困惑ぶりが描かれていて好演だった。
このネタはナマで観ないと面白さが分からない。

羽光『ケチ実話』
内容を紹介するのも憚れるような、ショモウナイ話だった。
企画した主催者の意図が分からない。

圓橘『位牌屋』
略歴は以下の通り。
1966年3月 - 3代目三遊亭小圓朝に入門
1973年11月 - 小圓朝の死に伴い5代目圓楽門下に移籍
ケチを扱った落語は多いが、このネタのケチな主人は相当に悪質だ。
子どもが生まれたのに、金がかかると渋い顔。
芋売りを呼び込んでわずか5厘で小さな芋を買い、いま小僧を煙草を買いに行かせたからと芋屋の煙草を借りて、世間話を繰り返しながら煙草の葉を袂に入れてしまう。芋俵から覗かせている芋を見せろと言い、形がいいから置物にすると言いながら勝手にしまってしまう。
怒った芋屋が帰ると、主人は小僧を呼んで仏師屋に位牌を受け取りに行かせる。
その小僧は先ほどの主人の手口を真似て、仏師屋から煙草を借りて葉を袂に入れてリ、棚にあった小さな位牌を置物にすると言いながら勝手に持ち帰ってしまう。
店に戻った小僧が主人から頼まれた位牌と、勝手に持ち帰った小さな位牌を主人に差し出すと、
主人 「馬鹿野郎、なんだもらうにことをかいて子どもの位牌を、一体何にするんだ」
小僧 「夕べ生まれた坊ちゃんのになさいまし」
でサゲ。
店の主人の吝嗇ぶりと、小僧が仏師屋で主人そっくりの口真似をする処が見せ場。
圓橘の高座は、それぞれの人物をきちんと演じ分けられていた。
貫禄の一席。

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コメント

>圓橘
先代圓楽の弟子で顔のみ知って噺いまだし、の人が沢山おりますが、この方も。
両国を活動場所としているのは存じているんですが。
ぜん馬といい、垣根を取り払って、寄席に皆が出られるのはいつなのでしょうか。

福様
最近、芸協の高座に円楽一門のメンバーが助演しているのを見かけますが、良いことだと思います。合同の動きになるのか注目しています。

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