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2018/12/11

「三三・左龍の会」(2018/12/10)

第89回「三三・左龍の会」
日時:2018年12月10日(月)19時
会場:内幸町ホール
<  番組  >
『オープニングトーク』三三、左龍
前座・春風亭与いち『手紙無筆』
柳家三三『粗忽の釘』
柳亭左龍『人形買い』
~仲入り~
柳亭左龍『釜泥』
柳家三三『夏の医者』

今季一番の冷え込みの日、前回は交通事情で流れたこの会だが、この日も一杯の入り。
オープニングトークで、いま入門したのは良いが人数が多すぎて前座になれず見習のまま待機している人が20名ほどいるそうだ。噺家ってそんなに魅力のある仕事だろうか。世の中、人手不足だというのに、困ったものだ。

三三『粗忽の釘』
三三の特長というのは、本筋から少し外した所で笑いを取る点だろう。
釘を壁に打ち込んで隣家に詫びに行った男が、煙草を吸いながらいきなり女房との馴れ初めを語りだし、初めは優しかった女房が次第に強くなり・・・、と言いながら泣き出す。それでもと言いながら姿勢を正して、「今は幸せです」。ここで客席からワッと笑いが起こる。
男の似顔絵が書かれた回覧板が町内を回っていたとか、
「金はどこへしまった?」
「箪笥の中よ」
「箪笥にゴーン」
と言ったクスグリが受けていた。

左龍『人形買い』
この噺は短い中にいくつもの場面転換がある難しいネタだ。
①月番の男が買い物上手の兄いに同行してもらって買い物に出かける。ここで長屋から集めた5円を1円浮かして二人で一杯飲もうと約束する。
②人形屋で店の若旦那とのヤリトリで人形の値段を10円から4円に値切る。
③太閤秀吉と神功皇后の二つの人形jの荷を担いで付いて来た店の小僧が、この人形がタダ同然の品だったことをばらす。
④さらに小僧が先ほどの店の若旦那と女中との怪しい間柄を喋る。
⑤長屋の易者に意見を求めると、早速易を立て神功皇后を選ぶのだが、見料50銭を取られる。
⑥続いて長屋の講釈師に意見を求めると、太閤記を語りだし「豊臣家は二代で滅んだから、縁起がよろしくない。神宮皇后がよろしかろう」と言って、木戸銭を50銭取られてしまう。ここで二人の残金はゼロになる。
⑦最後にお祝いの神功皇后の人形を神道者に届けると、「そも神宮皇后さまと申したてまつるは、人皇十四代仲哀天皇の御后にて……」と講釈を並べ立てる。二人は慌てて、「講釈料は長屋へのお返しからさっ引いてください」でサゲ。
こうした筋立てを整然と語るのはかなりの力量が要るのだが、左龍の高座は過不足なく随所の笑いを散りばめながら客席を引き込んでいた。

左龍『釜泥』
盗まれるのを防ぐため釜の中に入った豆腐屋の亭主に、女房は釜の蓋を閉め切ったり、下から火を焚こうとしたりと亭主を脅かす。そのヤリトリが何とも可笑しい。左龍の軽妙な喋りが活きていた。

三三『夏の医者』
具合の悪い父親を早く診て貰いたいと急ぐ息子と、万事ノンビリとした医者との対比を描いた高座。
なかでも下剤を掛けられグッタリした蟒蛇の表情が良かった。

この会は、恐らくは三三のファンが多いと思われるが、芸の中身としては左龍が一歩リードしている様に見えた。

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コメント

うむ、左龍を聴きたくなりました(三三も)。

佐平次様
左龍はここ数年で芸がグッと伸びました。古典をそのまま演じて受けさせる力を身につけています。

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