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2018/12/15

「通し狂言 増補双級巴―石川五右衛門―」(2018/12/14)

「通し狂言 増補双級巴(ぞうほふたつどもえ)」 四幕九場
三世瀬川如皐=作
国立劇場文芸研究会=補綴

発端 芥川の場
序幕 壬生村次左衛門内の場
二幕目 第一場 大手並木松原の場
第二場 松並木行列の場
三幕目 第一場 志賀都足利別館奥御殿の場
第二場 同 奥庭の場
第三場 木屋町二階の場
大 詰 第一場 五右衛門隠家の場
第二場 藤の森明神捕物の場

<    主な配役    >
石川五右衛門:中村吉右衛門(播磨屋)
壬生村の次左衛門:中村歌六(播磨屋)
三好修理太夫長慶:中村又五郎(播磨屋)
此下藤吉郎久吉後ニ真柴筑前守久吉:尾上菊之助(音羽屋)
大名粂川但馬:中村松江(加賀屋)
大名田島主水/早野弥藤次:中村歌昇(播磨屋)
足柄金蔵/大名白須賀民部:中村種之助(播磨屋)
次左衛門娘小冬:中村米吉(播磨屋)
大名天野刑部/小鮒の源五郎:中村吉之丞(播磨屋)
大名星合兵部/三二五郎兵衛:嵐橘三郎(伊丹屋)
呉羽中納言氏定/大名六角右京:大谷桂三(十字屋)
足利義輝:中村錦之助(萬屋)
傾城芙蓉/五右衛門女房おたき:中村雀右衛門(京屋)
義輝御台綾の台:中村東蔵(加賀屋)

国立劇場12月歌舞伎公演は「通し狂言 増補双級巴」、芝居や映画、ドラマ、落語でもお馴染みの石川五右衛門の物語だ。
石川五右衛門は実在の人物だったようで、安土桃山時代の盗賊の首長。文禄3年(1594年)に捕えられて京都三条河原で煎り殺され、親族も全員が極刑に処されている。
但し、処刑の事実だけははっきりしているが、彼の所業や人物像は全く分かっていない。それだけに後世の作者は自由に描けるわけで、沢山の作品が生まれている。
本作も古典の狂言である「釜淵双級巴」と「木下蔭狭間合戦」をつなぎ合わせて創作を加えた書き換え狂言だ。
いずれの場も数十年ぶりの上演となるようだ。

配役に屋号を加えたが、吉右衛門を中心とした播磨屋の芝居だ。
序幕での五右衛門の出生の秘密が明かされる場面から始まり、大詰では五右衛門の家族をめぐる苦悩が描かれていて、全体に世話物の色を濃くしている。
「木屋町二階の場」は有名な「楼門五三桐」の中の「山門」のパロディになっていて、ここでも五右衛門と久吉(秀吉)とのヤリトリも世話物風にしている。
宙乗りでの「葛籠抜け」という珍しいアクロバティックな演出や、大詰での派手な立ち回りなど娯楽色の舞台は理屈抜きに楽しめる。
中村吉右衛門奮闘公演の名に相応しい舞台だ。

五右衛門の息子・五郎市(安藤然/醍醐陽のWキャスト)という子役が活躍するのだが、これが健気で可愛らしい。
五右衛門の妹役を演じた中村米吉、数年前から注目している若手の女形役者だが、可憐な娘役を演らせたら当代一ではなかろうか。姿が美しいし声が良く、上品な色気がある。次代を背負う女形になると期待している。

公演は26日まで。

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コメント

観てきました。
これが歌舞伎、というような見栄など満載でしたが、それほど感心もせず、一等席の値段ほどの満足は得られませんでした。
少し歌舞伎は控えようかな。

佐平次様
国立の歌舞伎はしばしば数十年ぶりの上演という演目が演じられますが、それは作品としては少々難ありということでしょう。
私は芝居そのものが好きなので、単純に楽しめました。

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