« 恵比寿まめかな寄席(2018/12/19) | トップページ | 【演劇部門】2018年、この1作 »

2018/12/24

雲助浅草ボロ市「雲助・白酒」(2018/12/23)

「雲助浅草ボロ市」
日時:2018年12月23日(日)13時
会場:浅草見番
<  番組  >  
前座・春風亭一猿『弥次郎』
桃月庵こはく『湯屋番』
五街道雲助『幇間腹』
桃月庵白酒『馬の田楽』
~仲入り~
五街道雲助『文七元結』

一昨年までは「雲助蔵出し」というタイトルで雲助の独演会形式で行ってきた会だったが、昨年から模様換えして助演を加えた「雲助浅草ボロ市」という名称に変わった。
この日は助演に白酒を迎え、親子会の形となった。
冷たい小雨がぱらつく中、外国人観光客でごった返す仲見世をすり抜けて会場の浅草見番へ。
会場向かって右奥に折り畳み椅子が並べられ、椅子席を好む人には以前より便利になった。

落語にはしばしば若旦那というのが登場するのだが、これが例外なく遊び人だ。花街に入り浸り、果ては店の金まで使いこみ勘当となるのが相場だ。
こうした若旦那を演じるにあたり、大事なのは「遊び人風情」を醸し出すことにある。これが出せなければ若旦那モノは演じられない。

こはく『湯屋番』
若旦那モノの代表作だ。処が、こはくもそうだったが、若手が演じると単なる好色で軽薄だけの人物になってしまう。「遊び人風情」が抜けているのだ。
ストーリー展開にはキズが無いのだが、そこが欠けている。

雲助『幇間腹』
「タイコモチ上げての末のタイコモチ」という句がある通りで、幇間の多くは遊び人のなれの果てだったようだ。
『幇間腹』というネタでは、3代目柳好が当時の評論家たちから絶賛されていたようだが、その理由は柳好の演じる幇間にリアリティがあったからだ。それもその筈で柳好は若い頃に幇間をやっていた。その後は向島で芸者置屋の主人だった。
だから柳好演じる若団那も幇間も「遊び人風情」が出ているし、加えてその果ての身を落とした幇間の哀しみも演じることが出来る。
さて雲助の『幇間腹』だが、さすがで、若団那も幇間にもその遊び人風情が出ていた。針を打たせようと迫る若旦那に対して、何とか座を持たせながら苦境を脱しようと腐心する幇間の鬩ぎあいが巧みに描かれていた。
若手の手本となるような雲助の高座だった。

白酒『馬の田楽』
マクラで「博多・天神落語まつり」の打ち上げでの落語家の生態をいじってからネタに。
白酒の特長の一つは「顔芸」にあると思う。得意としている『浮世床』では表情だけで客席を爆笑させている。だから白酒は観る落語である。
このネタではセリフで馬の表情変化が頭に浮かんでくる。悪ガキは顔を見るだけでいかにも悪さをしそうな雰囲気を表出させていた。
相変わらずのセリフのリズムと物語のテンポの良さで楽しませてくれた。

雲助『文七元結』
暮れの定番ネタで、以前にも雲助のこの高座は何度か観ている。
雲助の『文七元結』で特に優れているのは佐野槌の女将の描き方だ。凛とした姿勢、長兵衛や娘お久に対する優しさと同時に、この世界で生きてきた人間の厳しさが表現されている。
貸した50両を持って帰ろうとする長兵衛に向かって、娘に礼を言わせるが、ここが肝心なのだ。敢えて長兵衛のプライドを傷つけ恥をかかせることにより、長兵衛が本気で博打をやめるよう念押ししている。
それだけに身投げしようとする文七に50両を渡すには大きな迷いがあった。「誰かこねえかな?」という長兵衛の一言にその心情が示されている。
1年の締めくくりに相応しい雲助の高座だった。

|

« 恵比寿まめかな寄席(2018/12/19) | トップページ | 【演劇部門】2018年、この1作 »

寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

>佐野槌の女将の描き方
やはり雲助はうまいんですね。
「そんときはあたしも商売だからね・・・」
凛とした姿勢、厳しさとはこのあたりでしょうか。

投稿: 福 | 2018/12/25 06:47

福様
佐の槌の女将の行為は美談の様に映りますが、実態は無利子担保付(娘のお久)融資なわけで、50両が返済されようとされまいと損はしない仕組みです。けっこう強かですね。

投稿: ほめ・く | 2018/12/25 11:18

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 恵比寿まめかな寄席(2018/12/19) | トップページ | 【演劇部門】2018年、この1作 »