「スカイライト」(2018/12/8)
「スカイライト」
日時:2018年12月8日(土)13時
会場:新国立劇場 小劇場 THE PIT
脚本:デイヴィッド・ヘア
翻訳:浦辺千鶴
演出:小川絵梨子
< キャスト >
蒼井優:キラ・ホリス
葉山奨之:エドワード・サージェント
浅野雅博:トム・サージェント
あらすじ。
トムは外食企業の経営者で、キラはかつてトムの会社の従業員。トム夫妻もトムの息子エドワードもキラを信頼していたが、キラとトム二人は長いあいだ不倫関係にあった。しかし、不倫がトムの妻に知られてしまい、キラは行方をくらます。キラに去られ、妻をガンで失ったトムは打ちひしがれ、エドワードとの関係も悪化してゆく。
今ではキラはロンドン中心部から離れた質素なアパートに住み、貧民街の子どもたちに勉強を教える教師となっていた。
そこへエドワードが突然キラのアパートを訪ねてきて、不安定なままの父親トムを助けてほしいと言い残し、彼は去る。
その夜、トムもまたキラの元を訪れる。三年前に不倫関係が明るみになった日以来、初めて再会した二人は、夜更けまでこれまでのことを語り合う。お互いへのいまだ消えぬ想いと、解けない不信感、共有する罪の意識の間で大きく揺れ動く二人。
よりを戻し二人で新たな生活を始めようと迫るトムに対し、貧しい子供たちへの教育に生きがいを見出したキラ。二人の会話は、やがてそれぞれの価値観の違いが鮮明になり・・・・・。
この物語の背景に、イギリスの階級社会の存在がある。
解説によればイギリスの階級は、上流、中の上、中の中、中の下、労働者層、貧困層に分かれているようで、お互いに生活環境が全く異なり、階級が違う同士はプライベートの付き合いが無いそうだ。
キラもトムも恐らくは中の中クラスに属すると思われるが、トムは自社の事業拡大が人生の目標であるのに対し、キラは貧困層の子供たちの成長を助けることが使命を燃やしている。これが二人を決定的に隔てている。
別離に至った経緯についても、二人の言い分は大きく食い違っている。
舞台はキラのアパートの部屋、登場人物は3人だけで、これといった出来事があるわけでもないのだが、お互いの火の出る様な会話のぶつかり合いは迫力がある。
タイトルの「スカイライト」とは「天窓」で、観客席の谷間で演じる俳優たちの演技を、観客はまるで天窓から覗くような気分で観られる仕掛けになっている。
出演者3人の熱演も見もの。
公演は24日まで。
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