憧れのボストリッジ、再び(2019/1/22)
〈歌曲(リート)の森〉~詩と音楽 第24篇「イアン・ボストリッジ」
日時:2019年1月22日(火)19時
会場:トッパンホール
イアン・ボストリッジ(テノール)
サスキア・ジョルジーニ(ピアノ)
< プログラム >
ロベルト・シューマン:
《子供のための歌のアルバム》Op.79より
ジプシーの歌Ⅰ&II/てんとう虫/歩きまわる鐘/牛飼いの別れ/時は春/松雪草/塔の番人リンツォイの歌
《子供の情景》Op.15[ピアノ・ソロ]
《5つの歌曲》Op.40
においすみれ/母親の夢/兵士/楽師/露見した恋
ベンジャミン・ブリテン:
《冬の言葉》 Op.52
11月のたそがれ/真夜中のグレート・ウエスタン鉄道/セキレイと赤とんぼ/古い小机/聖歌隊長の葬式/誇らしげな歌い手たち/アップウェイの停車場ににて/生まれる前とそのあと
《この子らは誰か》Op.84より
悪夢/殺戮/この子らは誰か/子供達
民謡編曲第2集《フランスの歌》より
愛の園の美人/こだま、こだま/父の家にいたとき
アンコール
ブリテン:スコットランド民謡《オー・ワリー・ワリー》
他2曲
イアン・ボストリッジ(Ian Bostridge)、1964年ロンドン生まれのテノール歌手。
2008年にここトッパンホールでコンサートを聴いていて、その時はハイリッヒ・ハイネの詩に、シューマンとブラームスが曲を付けたものを中心にしたプログラムだった。その声の美しさに圧倒された。
今回はシューマンとブリテンの歌曲が中心のプログラムで、数か月前からチケットを買って楽しみにしていた。
ボストリッジは長身で痩身、風貌は歌手というより学者に近い。
それもその筈で、学歴からすれば歴史学者と言っても不思議ではない。
【学歴】オックスフォード大学セント・ジョンズ・カレッジ(歴史学)卒;ケンブリッジ大学大学院修士課程修了;オックスフォード大学コーパス・クリスティー・カレッジ(歴史学)博士課程修了 学位博士号(1990年)
学位取得後、歌手活動をスタートさせた様で、1996年にはシューベルト「美しき水車小屋の娘」でグラモフォン賞を受賞している。
この他、多数の受賞歴があり、特にシューベルトの歌曲を収めたディスクは高い評価を得ている。
音楽評論家の宇野功芳は、著書(1998年刊)の中でボストリッジについて次の様に書いていた。
「彼はイギリスの新鋭テノールだが、まさに歌心のかたまりである。歌を聴く喜び、楽しさ、醍醐味がここにある。リリックな美声の持ち主で、繊細かつ初々しく、どの曲も表情たっぷりに歌ってゆくが、少しも嫌味にならず、うっとりと酔わせてくれる。」
この宇野の批評は非常に的確で、現在50代半ばの年齢にもかかわらず、また体調があまり良くないように見えたが、突き抜けるような高音の美しさ、繊細な表現力を私たちに示してくれた。
素晴らしい!! の一言。
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F=ディースカウ、プライ、シュライヤー3巨匠の後に続く歌曲歌いとして、リリックで詳細な表現の彼は第一人者だと思います。
今回、マーラー(「子どもの魔法の笛」@文化会館)、シューベルト(「冬の旅」@王子ホール)を聴きましたが、登場した頃の、なんとなくの食い足りなさをやはり感じました。それは同じ義太夫でも、文楽に馴れた耳に歌舞伎の竹本では満足しきれないのと似ているかもしれません(ドイツ語のせいかも知れませんね)。
眼を瞑って聴いていた「冬の旅」は表現力濃く幻想的でありました。凸版ホールでもピアノ伴奏者(美人!)は紙の楽譜ではなくタブレットを見て弾いていましたか?
投稿: Yackle | 2019/01/24 12:42
Yackle様
普段はクラシックとはあまりご縁がなく、トッパンホールと言う空間が好きで偶に聴きに行く程度です。ディースカウ、プライ、シュライヤーはCDでしか聴いたことがありません。
ジョルジーニはタブレットで弾いていました。ピアノは2008年のドレイクの方が息が合っている様に見えました。
投稿: ほめ・く | 2019/01/24 16:57