国立名人会(2019/1/26)
第425回「国立名人会」
日時:2019年1月26日(土)13時
会場:国立演芸場
< 番組 >
前座・柳亭市若『道灌』
三遊亭天どん『初天神』
蜃気楼龍玉『もぐら泥』
林家種平『居残り佐平次』
―仲入り―
三遊亭歌武蔵『宗論』
翁家社中『曲芸』
五街道雲助『火事息子』
こういう会はいきなり真打が登場してくるので、前座はもっと上手い人を選ぶべきだろう。
天どん『初天神』
いかにも天どんらしく古典をひねって、男親と息子の買い物は全て長屋の中という設定。天神がでてこない初天神。最後は上方落語の『鷺捕り』に似た展開だった。天どんの高座は今まで数回観てきたが、この日初めて面白いと思った。
龍玉『もぐら泥』
龍玉らしい丁寧でリアルな仕草で演じた。ただ、滑稽噺を演じる時はもっと「軽み」が欲しい。
種平『居残り佐平次』
高座で出会うのは2度目で、前回は軽い新作ものだったのであまり印象に残っていない。
結論から言うと、なかなか結構な高座だった。
こうした大ネタは、どうしても演者に力が入ってしまい熱演になりがちだが、種平は終始軽く演じてみせた。そうか、この噺は主人公の佐平次の様に風が舞うごとく演じるのが本寸法なのかも知れない。
若い衆にお勘定とせっつかれれば、その場その場で適当な事を言っては煙にまく。
居残りになれば、あちこち座敷を渡り歩いては小遣い稼ぎ。
おまけに、借金を棒引きにして自宅に帰るようすすめる見世の主人には大ウソこいて、金と着物をせしめる。
終いには、「おれは居残り商売の佐平次てんだ、よく覚えておけ!」なんて凄んで見せる。
こうした捉えどころのない人物象を、種平はそのまま演じ、年輪を重ねた芸を見せてくれた。
歌武蔵『宗論』
ネタを並びを意識してか、お馴染みのマクラを長めにふってネタへ。
かなりオリジナルを戯画化していて、終りも、浄土真宗とキリスト教の喧嘩の仲裁に入った番頭が「この壺を買えば幸せになります」でサゲた。
雲助『火事息子』
数ある落語の中でも、勘当した息子と両親の再会を描いたのはこの噺ぐらいではなかろうか。
息子と再会して手放しで嬉し泣きする母親に対して、最後までこみあげる感情を押し殺し息子に接する父親の心情を、雲助は見事に描いて見せた。
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昨日、NHKの志らくナビの演芸番組、落語は龍玉でした。
『ぞろぞろ』を演ったんですが、雲助に口調と所作が酷似していて、つくづく師弟というものは、と考えさせられました。
投稿: 福 | 2019/01/28 06:36
福様
龍玉は語りは一番師匠に似ていますが、愛敬に欠ける所が師匠との大きな違いです。
投稿: ほめ・く | 2019/01/28 11:54