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2019/02/22

映画『金子文子と朴烈』(2019/2/22)

Fumiko
『金子文子と朴烈』
監督/イ・ジュンイク 
脚本/ファン・ソング
<   主なキャスト   >
チェ・ヒソ:金子文子
イ・ジェフン:朴烈(パク・ヨル)
キム・インウ:水野錬太郎(内務大臣)
山野内扶:布施辰治(弁護士)
キム・ジュンハン:立松懐清(予審判事)
金守珍:牧野菊之助(裁判長)
配給/太秦 PG12
2月16日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開中

映画館に行くのは年に1回あるかないかだが、韓国映画『金子文子と朴烈』という作品を観に、渋谷の宮益坂上近くの小さな映画館「シアター・イメージフォーラム」に出向く。
金子文子と朴烈についてはその事件とともに、多くの資料や評論、小説やノンフィクションでとり上げられていて、最近もある月刊誌で金子文子の生涯についての連載記事が載っていたことから興味を覚えたのだ。
登場人物は全て実名である。

1923年の東京。アナーキストらが集うおでん屋で働いていた金子文子は「犬ころ」という詩に心を奪われ、この詩を書いた朝鮮人の朴烈に出会う。彼に共鳴した文子は直ちに同志、そして恋人として生きる決心をする。二人は、日本人や在日朝鮮人による「不逞社」を結成するが、その直後の9月1日に関東大震災が発生する。
震災の混乱に乗じて、「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れ、火を放っている」というデマが流され、自警団による朝鮮人虐殺事件が各地で起き、犠牲となった朝鮮人は数千人に及ぶといわれている。
朝鮮人大虐殺を招いた内務大臣・水野錬太郎は国際世論をかわすために、朝鮮人たちが爆弾を使って皇太子(その後の昭和天皇)の暗殺を企てたという筋書きを作り、そのスケープゴートに選ばれたのが朴と文子だった。
二人は水野がでっち上げた「大逆罪」をあえて認めることで法廷に立ち、大日本帝国の権力者たちを糾弾し、文字通り命懸けの闘いに挑む。特に天皇制に対する批判は峻烈だ。
この法廷闘争により、関東大震災時の朝鮮人虐殺が国際的にも知られるようになる。
しかし二人は、予審判事や弁護士の助力にも拘わらず死刑判決を受け、その後恩赦で終身懲役に減刑されるが、文子は獄死(自殺という説もある)してしまう。

韓国の作品だが、金子文子と朴烈二人は事件に関与していないと確信した予審判事が罪を軽くするよう腐心したり、困難な中で弁護活動をした布施弁護士らの活躍や、法廷に提出するため文子の書いた文書を添削してくれた刑務官がいたりと、決して日本人を一方的に悪人として描いていない。
出演者では文子を演じたチェ・ヒソの知的で凛とした美しさが光る。
ただ作品の中で、金子文子がなぜ死を賭してまで日本の権力者と闘わざるを得なかったのか、その背景がもう一つ描き切れていなかった憾みがある。

不都合な事実は「無かったこと」にしようとする昨今の日本の風潮に一石を投じる作品として注目されよう。

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コメント

これは見よう。

佐平次様
良い映画です。
一般に「朴烈事件」と称されていますが、むしろ文子の一途な思いが朴烈を動かしたとも思われます。
残念なのは、こうした作品が日本で制作されなかったことです。

リンクさせていただきました。悪しからず。

佐平次さんが引用されたお陰でアクセスが増えました。

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