三遊亭遊雀独演会(2019/3/5)
ぎやまん寄席「三遊亭遊雀独演会」
日時:2019年3月5日(火)18時45分
会場:湯島天神 参集殿
< 番組 >
前座・橘家門朗『天災』
三遊亭遊雀『花見の仇討』
~仲入り~
三遊亭遊雀『淀五郎』
久々に遊雀を観たくなって湯島天神へ。湯島といえば梅、暖かい気候に誘われて少し散りかけていたが、梅見ができた。せっかくの写真だが手振れでボケてしまったのでご勘弁を。
「湯島の白梅」といえば、かつて男女の漫才コンビの定番だった。最近お目に掛かれないのは、ストーリーを知らない人が増えたせいか。
前座の門朗、「落語協会の煽り運転」という綽名で呼ばれている文蔵の弟子。この日は遊雀から25分演ってくれと命じられたとのことで、前座にしては珍しい『天災』を掛けた。小里んから稽古されたようだが、まだ粗削りながら先代小さんのネタを忠実に演じた。
遊雀の1席目『花見の仇討』
古典落語にも流行り廃りがあり、近ごろでは桜の季節になるとこのネタが多くなる。『長屋の花見』もよく掛かるが、反面『花見酒』や『花見小僧』が高座に掛かる機会はめったにない。両方とも良く出来た噺なので大切にして欲しい。
さて、遊雀だが『花見の仇討』は得意としている。過去に2度ほど聴いているが、今回のものが一番出来が良かった。時間をタップリかけたせいか、各場面が丁寧に描かれていた。
例えば、仇討の稽古をする場面で巡礼が敵にめぐりあって驚くシーンや、浪人者に扮した男が遅れた仲間をイライラしながら煙草を吸う仕草や、助太刀に現れた侍が巡礼役に「目をつぶって相手に刀を突きだせ」と命じるとその通りに実行するので浪人役が慌てて避けるといった工夫を加えていた。
遊雀は持ち前の眼力を活かして会場を終始沸かせていた。
遊雀の2席目『淀五郎』
以前に『四段目』は聴いた覚えがあるが、芝居噺はそう得意じゃないといたので意外な選択だった。
このネタは大きく分けて二つの演じ方があり、一つは圓生の型で思い詰めていた淀五郎を中村仲蔵が懇切丁寧に演技指導するというもの。もう一つは志ん生の型で判官の心得だけを指摘するものだ。遊雀の高座は志ん生の型に近かった様だが、判官切腹の場の描写は圓生に近い。
分からないのは、判官役の淀五郎の演技に納得いかず、由良助役の團蔵が花道で肩を落として首を振る仕草をしたことだ。いくら淀五郎の演技に不満があったにせよ、役者が舞台の上であからさまに態度で示すだろうか。全体としては決して悪い出来ではなかったが、この不自然さが気になってしまった。
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季節と芸事の合致・調和なんていう境地は現代ではなかなか味わえないと思いきや、梅咲く頃、湯島の天神様、落語と来ると、ようございますね。
遊雀の「持ち前の眼力」は前師匠譲りでしょうか?
投稿: 福 | 2019/03/07 06:35
私も昨日国立で門朗、紀伊国屋に続いて。
きのう「道潅」はちょっと投げやりに聴こえました。
投稿: 佐平次 | 2019/03/07 10:26
福様
梅見、花見、紅葉狩りなど、同じ様に花を見るにも日本語の表現は豊かです。落語もこの先しばらくは花見のネタが続くでしょう。
投稿: ほめ・く | 2019/03/07 18:04
佐平次様
私も昨日は国立演芸場でした。
投稿: ほめ・く | 2019/03/07 18:15