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2019/03/15

国立3月中席(2019/3/14)

国立演芸場3月中席・4日目

前座・三遊亭馬ん次『千早ふる』
<  番組  >
雷門音助『鈴ヶ森』
鏡味よし乃『太神楽曲芸』
三遊亭遊雀『熊の皮』
マグナム小林『バイオリン漫談』
雷門助六『長短』
~仲入り~
三遊亭遊之介『河豚鍋』
桧山うめ吉『俗曲』
三遊亭遊三『柳田格之進』

国立演芸場3月中席は芸協の芝居。交互出演で音助と遊雀が出る4日目に出向く。開演直前に行ったらほぼ満員だったので驚いた。どうやら学生の団体が入っていたようだ。

落語は大半が会話で成り立っている。大家/店子、隠居/八(熊)、亭主/女房、主人/奉公人、兄貴分/弟分、店員(花魁)/客、など組み合わせは様々だ。演者はそれぞれの人物や相互の人間関係をセリフや表情で表現させる。こうした「演じ分け」が出来るかどうかで噺家の芸が上手いか下手かが決まる、最も大切な部分だ。

音助『鈴ヶ森』、期待の二ツ目で久々だったが、この日の出来は感心しない。この噺の泥棒の親分と子分の会話は、漫才でいえばボケとツッコミの関係になると思う。これを典型的に演じていたのは亡くなった喜多八だった。音助の高座では、この二人の会話が同じリズムになっているので面白さが湧いてこない。

よし乃『太神楽曲芸』、健気に演じる。

遊雀『熊の皮』、昔からこのネタは得意としていて、久々に聴いたがやはり面白かった。亭主/女房、医者/亭主の演じ分けが上手い、だから面白い。赤飯のお礼にと女房から命じられしぶしぶ医者宅に伺った甚兵衛、医者が「わざわざ来なくてもいいのに」というと、甚兵衛は「あっしもそう思って女房に言ったんですけど」っと答える。医者が病人を治したと言うと甚兵衛が「そりゃ、珍しい」。医者が「あたしはお前さんの事が大好きなんだよ」と言うと甚兵衛は「あっしは先生の事はあんまり好きじゃないんです」と答える。この会話のテンポや間が良いのだ。
最近の若手がこのネタを演じるのを聴くと、遊雀の高座が一つのモデルになっている気がする。

マグナム小林『バイオリン漫談』、バイオリンを弾きながらタップを踏むというバカバカしい芸が売りで、「暴れん坊将軍」や「ラデツキー行進曲」の演奏で会場を盛り上げていた。こうした色物の芸人がいるのが芸協の強みだ。

助六『長短』、マクラのつもりだろうがつまらない世間話を延々としゃべり、ネタはサゲまで行かずに途中で切り上げる。かといって操り踊りを披露するでも無し。毎度の事ながら、仲入りにも拘わらずこうした手抜きの高座を見せるから客が離れるのだ。

遊之介『河豚鍋』、初見。この噺は、出入りに主人の所へ幇間が訪ねてきて二人で向かい合って河豚鍋をつつくという設定だ。会話は、旦那/幇間という風になるのだが、それらしく見えない。

うめ吉『俗曲』、寄席の音曲師と見た場合、この人の欠点は声が細いのと低音が弱いこと。まあ、そこは器量の良いとこでカバーして。

遊三『柳田格之進』、唯一のネタ出しで、10日間同じ演目を掛ける。この人の喋りは押したり引いたりが無いのが特長だと思う。会話の部分では、柳田/店の主人、柳田/店の番頭、柳田/娘、それぞれの演じ分けはきちんとなされていた。

昨日、蝶花楼馬楽の訃報が伝えられた。
寄席で何度か高座に接したが、昔気質の芸風と、時に寄席の踊りを披露していたのが印象に残っている。
ご冥福を祈る。

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コメント

「長短」は先代小さんのオハコだったそうですが、一見堅物の小さんがあやしき辺りをどんな風に演じたか、興味あるところです。
つい最近ではTVで志らくのを聴きました。NHKということもあってか、志らくにしては大人しい一席でした。

福様
小さんの『長短』はCDを持っていますが絶品です。長さんのセリフを時間をかけて言う所が大事で、だから浅い出番では演ってはいけないと言っていたようです。
助六の『長短』は先代譲りの型で、長さんを上方の甚兵衛に置き換えて演じるのが特長です。

喜多八の不在を感じることが多いです。
遊三は好きです。

佐平次様
そうですね、何かが欠けているなと思ったら、そうか喜多八がいなくなったんだと思い起こすこと、しばしば。

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