「左龍・甚語楼 二人会」(2019/3/29)
第21回「柳亭左龍・柳家甚語楼 二人会」
日時:2019年3月29日(金)18時30分
会場:お江戸日本橋亭
< 番組 >
『対談』柳亭左龍・柳家甚語楼
前座・柳亭左ん坊『道灌』
柳亭左龍『普段の袴』
柳家甚語楼『棒鱈』
~仲入り~
柳家甚語楼『藪医者』
柳亭左龍『崇徳院』
初参加の「柳亭左龍・柳家甚語楼 二人会」、共に当代の名手を師匠に持ち、着実に力を付けているという共通点がある二人の会。入りは5分といった所か。
冒頭の『対談』、それぞれの師匠のエピソードなどが紹介されたが、ネットには書かない様にという事なので・・・。
左ん坊『道灌』、左龍の弟子で未だ楽屋入りしていないと言うから見習いかな。
左龍『普段の袴』、武士の真似をする男が道具屋の店先でタバコを吸うとき、一服目に火をつけようとして雁首を傾けると中の煙草の葉がポロリと落ちてしまう。慌てて粉になってる煙草や袂クソをかき集め火をつけて吸うと、まるで焚火の煙みたいな味がする。この演じ方は林家(春風亭)とは異なる。柳の演じ方なのか、あるいは左龍の工夫かな。
甚語楼『棒鱈』、通常の演り方あと少し異なっていた。
・通常の寅さんの相手の男が謎かけで芸者を呼んで欲しいという演じ方ではなく、この高座ではいつまでもグズグズ言う男を見て寅さんが察して芸者を呼ぶことにする。
・通常は男が金が無いから芸者を呼べないと言うが、この高座では男が割り前を申し出るが、寅さんはいいからここは俺が払うという。
・二人に部屋に来る女中の年齢が50代としていた。
全体として酒癖の悪い江戸っ子と、野暮な薩摩侍との対比が鮮明に描かれていたのと、薩摩侍の野暮を受け流す女将の素振りが良く出来ていた。
甚語楼『藪医者』 、元は『金玉医者』の前半部を独立させたもので、4代目小さんから5代目小さんに受け継がれ、現在も小さん一門でよく演じられている。
ある医者、藪医者という評判がたたって患者が一人も来ないので、下男の権助が草鞋を作って医者を養っている始末。そこで医者が権助に「どこどこから来ました。ご名医の先生にお越しいただきたい」と玄関先で大声で言えば、聞いた人がこれだけ往診の依頼があればきっと名医に違いないと本物の患者が来るようになると言いつける。
早速、権助が医者の玄関先で大声を発するが、「台所から回ってきました」「それじゃだめだ、もっと遠い所にしろ」「じゃアメリカから」「遠すぎる」「近く、それなら隣から」日本橋にしろ」「日本橋から」「日本橋のどちらから?」「橋の下から来やした」ってな調子でさっぱり上手くいかない。
医者が焦れていると、
権助「お~~頼みますでのォ~。神田三河町、越中屋源兵衛という米屋から参りました」
医者「うまいな。米屋さんですか、どんなご用ですかな」
権助「お米の勘定をもらいに来ました」でサゲ。
二人の珍妙なヤリトリで場内爆笑。
甚語楼は師匠譲りか、滑稽噺が上手い。
左龍『崇徳院』、他の人物は良く出来ていたが、恋患いの若旦那があまり弱弱しく見えなかった。医者から5日ともたないと言われていた程だから、相当に弱っていた筈だ。
そこだけが不満だった。
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