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2019/03/26

笑福亭鶴瓶が2018年度芸術選奨の文部科学大臣賞を受賞

2018年度芸術選奨の文部科学大臣賞の大衆芸能部門で、落語家の笑福亭鶴瓶が選ばれた。
鶴瓶のタレント活動しか知らない人は意外に思うだろうが、高座を実際に観たことのある人はこの受賞をある程度納得するのではなかろうか。
私は、2013年4月13日の「大手町落語会」での『お直し』の高座に接し、この人がこれほど上手いとは思わなかったので驚いた記憶がある。
当ブログでは、毎年年末に『My演芸大賞』として、その年に聴いた演芸の中で特に優れたものを数点選び発表しているが、鶴瓶の高座は【優秀賞】として選んでいる。


その時の感想を以下に再録する。

笑福亭鶴瓶『お直し』
今年に入って今日で30回目の高座、ねえ落語、頑張ってるでしょうと鶴瓶。
人気タレントの鶴瓶だが、10年ほど前から本業に力を入れ始めたようだ。ちょうどその頃、自前の新作「青木先生」の高座を観たが、まだトークの域を出なかった。だから今回「お直し」を聴いて驚いた。


このネタは元々が東京なので、舞台を吉原から大阪最大の遊郭だった新町に置き換えている。
ストーリーは、売れなくなった遊女と見世の若い衆が深い仲になる。もちろん御法度だが、主人が所帯を持つことを許し、男はそのまま牛太郎、花魁の方はオバサンとなって共稼ぎ。
二人で稼いで家財や蓄えができたら、今度は亭主が飲む打つ買うの道楽で元の木阿弥。スッカラカンで職も失い借金だけ残る。
亭主はこうなったらケコロ(最下層の遊女)をやるしかないと、嫌がる女房を説得し営業を始める。
この商売は線香一本で200文の世界。いかに客を引き付けておいて、「お直し」「お直し」を重ねさせて金をむしり取るかがコツ。
だから女房の方は客に取り入り、色仕掛けで夫婦約束までしながら客をつなぐ。
傍で聞いている亭主は気が気じゃない。ついつい本気にしてヤキモチを焼き、挙げ句の果てに痴話喧嘩。それでも惚れた同士、最後は仲直りするしかない。
遊び好きなくせに生活力に乏しい男、半分愛想がつきながら最後はそんな男に惹かれていく女、今でも続く永遠のテーマだ。


この噺の聴かせどころは、
1.夫婦が同じ店で働く時の、若い衆の客引きとヤリ手の呼吸
2.主人が二人が所帯を持つのを許す場面
3.亭主が女房にケコロをしてくれと説得する場面
4.ケコロになった女が酔っ払い客を口説く場面
5.嫉妬に狂う亭主と女房との痴話喧嘩と仲直り、サゲ
そのいずれのシーンいおいても鶴瓶の話芸が光った。
1ではオバサンが客を裸にして足袋まで脱がせて金を取る場面を加え、2では見世の主人のハラを見せ、3ではケコロを受け容れる女房の覚悟を見せ、4では口先だけで客を籠絡させる女の口説き術を披露し、5では切ないまでの男女の情愛を表現していた。


このネタは志ん生・志ん朝親子が極め付けだが、鶴瓶の高座はそれに迫る。

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コメント

やっと開通しましたね。
女でなくてもヤクザでも根は臆病者が多いのじゃあないかなあ。
だから虚勢を張ってまたは山菱の紋かなんかつけて相手が怯えると嬉しくてやめられなくなる?

そのうち、酒の匂いが気に食わないから、酔った人は入店禁止とか特別料金を払えなんて言う時代になるかも。

佐平次様
ようやくまともに記事やコメントが公開されるようになりました。
厳しくなる一方の世の中、もうちょっと余裕があってもと、ついつい思ってしまいます。

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