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2019/03/28

「人形町らくだ亭」(2019/3/27)

第83回「人形町らくだ亭」
日時:2019年3月27日(水)18時50分
会場:日本橋劇場
<  番組  >
前座・柳家寿伴『平林』
春風亭昇也『寄合酒』
春風亭一朝『蒟蒻問答』
~仲入り~
柳家喬太郎『うどん屋』
柳家小満ん『盃の殿様』

長年、寄席や落語会に通っているが、志ん朝亡き後はファンと呼ぶような好きな噺家は持っていない。食い物と同じでなんでも食べる雑食系だ。ただ注目している人というのはいる。この「人形町らくだ亭」にはその注目している噺家がよく出演するので、自然と出席率が高くなる。
この日はレギュラーの小満んと一朝に、ゲストとして珍しく喬太郎が出た。

寿伴『平林』、歯切れが良い、二つ目が近いんだろう。

昇也『寄合酒』、この会には有望な二つ目が出る。昇太の独身ネタはそろそろ賞味期限切れだろう。本人ももう60だぜ。第一、今どき独身なんて珍しくない。噺家だって他にも大勢いるんじゃないの。
ちょっとカミカミするのが難点だが、明るい陽気な高座は好感が持てる。ただ、客席に拍手を求めるのは感心しない。

一朝『蒟蒻問答』、彦六から先代柳朝を経て今は一朝の十八番。演者によって細部が異なるバージョンがあるが、やはり本家が一番面白い。このネタは、切れのいい江戸弁が勝負で、そうした意味でも一朝はニンだ。

喬太郎『うどん屋』、これも喬太郎の十八番で、『時そば』と並んで高座に掛ける回数が多い。
最初の酔っぱらいの客がこの日の婚礼の模様を話す時、花嫁がまだ幼かった頃の思い出を語りながらあ泣き笑いになる場面が秀逸だ。客が同じ話を繰り返すのでうどん屋が先回りすると、客が「それはお前言われたくない」とか「そこは俺が言いたかった」と返すタイミングがいい。まるで漫才のボケとツッコミだ。
風邪ひき男が、鼻をすすりながらアツアツのうどんを食べる仕草にリアリティがあり、思わずこっちの腹の虫が鳴きだした。

小満ん『盃の殿様』
マクラ抜きでネタに。
大名も太平の世ではやることもなし。隔年で国許と江戸で暮らす日々に、殿さまもすっかり気鬱になってしまう。気晴らしに茶坊主が花魁の錦絵を見せると、その美しさに心を奪われる。吉原に行ってみたいと言い出すが、御意見番の家老からとんでもないと一蹴され、頭痛がぶり返し部屋に引きこもってしまう。困った家老たちは医師に相談し、共揃えで殿様を吉原に送り込む。
茶屋の2階で花魁道中を見ていた殿様は、太夫の花扇にすっかり見惚れ部屋に呼んで言葉を交わすと、そのまま一夜を過ごす。その日から連日花扇に通い詰め。
やがて参勤交代で国許へ戻らねばならなくなった殿様は花扇の襠を所望し、七合入りの豪奢な盃で一献酌み交わし、最後の別れを過ごして江戸を発った。
国へ帰った殿様、思うは花扇のことばかり。そこで殿様は三百里を十日で走る足軽に命じ、花扇に盃を届けて返盃をもらってくるよう命じる。
七合入りの盃をかついだ足軽は吉原に向かい、届いた盃を見た花扇は喜んで一気に飲み、殿様にご返盃と。足軽はまた盃を持って東海道を国許へ戻るが、その途中に箱根山で大名行列の供先を切って捕らえられてしまう。足軽が事情を説明すると、その大名がまた粋な人で「大名の遊びはさもありたし。そちの主人にあやかりたい」と、盃を借りて一気に飲み干した。
国許に着いた足軽からこの事を知らされた殿様、その大名にもう一献差しあがて来るよう足軽に命じる。さて足軽、あいにくどこの大名だったか聞き忘れたので尋ねようがなく、未だに探し続けている。

非現実的なバカバカしい噺だが、それだけに客を楽しませるには演者の腕が要る。
このネタのキーワードは「粋」だ。この「粋」の世界を描かしたら、小満んの右に出るものはおるまい。
花扇が最初に殿様に会った時、わざとすげない素振りを見せて太夫としての風格を示す場面、殿様が上客だと知ると、媚びる態度はせず目だけで相手を篭絡する場面。花扇が殿様からの盃を一気に干し返杯する場面。それぞれに上品な色気が漂う。
野暮と粋が同居しているような殿様の造形も見事だ。
小満んの実力を示した高座、結構でした。

 

 

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コメント

喬太郎の魅力に対話性があります。
客席の思いを感じ取って、即座に噺に裁ち入れるなど。
漫才のボケとツッコミというご指摘もそうかな、と感じます。

投稿: 福 | 2019/03/31 06:59

福様
喬太郎のこの日のマクラは、秋田で食べた珍しいソバの話題で、ここで客席をつかみネタに入りました。こういう入り方が上手いですね。

投稿: home-9 | 2019/03/31 10:33

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