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2019/04/13

ワザオギ落語会(2019/4/12)

第17回「ワザオギ落語会」
日時:2019年4月12日(金)18時45分
会場:国立演芸場
<   番組   >
三遊亭わん丈『近江八景』
入船亭小辰『紋三郎稲荷』
桂宮治『壺算』
~仲入り~
笑福亭たま『バーテンダー』
春風亭正太郎『愛宕山』

第17回ワザオギ落語会は、従来と趣向を変えて若手、それも二ツ目が中心の顔づけとなった。
主催者のオフィスエムズの加藤浩さんによれば、早ければ後10年でこの人たちの時代が来るとのこと。誰か忘れてはいませんかと柳亭小痴楽に言われそうだが。
続いて加藤さんは面白い事を書いている。それは「私の好みの噺家は、今回の番組には一人もいません。他に好きな若手の噺家は沢山います。」と。ということは、好みではなく、将来売れるであろう人たちを基準に選んだということだろうか。
私の場合は雑食系なので、比較的好き嫌いは少ない方だと自認しているが、それでも嫌いなタイプというのはいる。今回の出演者の中にもいますね。

わん丈『近江八景』
紹介によれば、元ミュージシャンでバンドをやっていたそうだ。
3代目三遊亭金馬が得意としていた噺だったが、近ごろは演じ手がなく残念に思っていた。
このネタを選んだのは出身が滋賀県だからだそうで、マクラで「近江八景」の説明があったのは良かった。近江八景が、膳所から見た風景だという事を初めて知った。この知識がないとサゲが理解できない。
花魁から客へ近江八景を織り込んだ恋文を、易者がやはり近江八景を織り込んで混ぜっかえすという洒落たネタで、わん丈のリズム感が活きていた。

小辰『紋三郎稲荷』
二つ目で花形演芸会の銀賞を受賞したのだから、実力は折り紙付きだ。
この日は師匠の十八番を演じたが、口調から間の取り方まで師匠そっくりだ。悪くはなかったが、自分の持ちネタにするのは未だ時間が要りそうだ。

宮治『壺算』
桂宮治の高座を初めて観たのは2012年のまだ前座時代からで、今までに10回以上ナマで聴いている。だが、あの「ガツガツした」芸風はどうも好きになれない。嫌悪感があるのだ。
一度だけ、マクラ抜きで古典を静かに演じた事があって、その時だけはこの人の実力を感じた。だから、いつもあんな風に演じればいいのにと思ってしまう。
この日は、瀬戸物屋に来て兄いが店員に、買った壺は天秤棒で担いで行くから手間はかけないから負けろというのだが、家を出る時に天秤棒を持って来る仕込みを忘れている。これでは平仄が合わない。

たま『バーテンダー』
マクラで、部分麻酔で失神してしまった事や、和歌山出身の桂文福の切れるエピソードで予定時間がオーバーして、『鰍沢』に入りかけて途中で新作の『バーテンダー』に切り換えた。こういう例は過去に喬太郎の高座で経験したことがある位で、珍しい。
ネタは、バーテンダーと酔客との珍妙な会話を描いた小品だったが、せっかく『鰍沢』のために仕込んだマクラが生かせなかったのは誤算。
なお、「身延山」を「みのぶやま」と呼んでいたが誤りだ。「山号寺号」の基本を怠ってはいけない。

正太郎『愛宕山』
二つ目が演じた『愛宕山』としては高評価できる内容だった。人物の演じ分け、特に幇間の一八が良く描かれていた。カワラケ投げから一八が谷底に落ちるまでの運びも良かったが、谷底で小判を拾う所から先が息切れしたのか緊迫感に欠ける憾みがあり、最後の山場の客席の反応がいま一つだった。

この日の演者5人はいずれも発展途上にあり、この日の高座にしてもそれぞれの課題が見え隠れしていた。
冒頭の加藤さんの言の様に、この人たちが次の次の時代の落語界を引っ張って行く人たちになれるかどうかは、今後の鍛錬次第ということになるだろう。

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コメント

ほんとにほめくさんはマメですね。
私は一人でもいやな人がいると出かけません。
中座してまで聴きたくないのです。

佐平次様
私は女性と噺家に対しては、相手を選ばない主義なんです。もっとも、女性については年齢制限がありますが。

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