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2019/04/05

「立川志の輔 独演会」(2019/4/4)

「立川志の輔 独演会」
日時:2019年4月4日(木)18時30分
会場:銀座ブロッサム
<  番組  >
前座・立川志の大『二人癖(のめる)』
立川志の輔『ハナコ』
~仲入り~
マグナム小林『バイオリン漫談』
立川志の輔『百年目』

4月1日に新元号として「令和」が発表されたようだ。2日の夕方になって知った。出典がどうのと解説されているようだが、所詮は元号なんて記号の様なものだ。面倒だからいっそ西暦に統一した方がいい。
元号は日本の伝統とか言ってるが、明治の改暦(明治6年/1873年)でそれまでの旧暦(天保暦)を西暦(グレゴリオ暦)に代えてしまったので、その時点で連続性は失われている。

志の輔『ハナコ』
「予めお断りしておきますが」がテーマの新作落語。こう言っておけば、後からクレームになることが避けられる。最近、電器製品など買うと、実に細かな注意書きが付いてくるのも、その手合いだ。そのくせ「詳しいマニュアルはウエブで」なんてね。
ストーリーは。
3人の男の客、がある旅館に泊まりにくる。源泉かけ流しの温泉と、黒毛和牛食べ放題に惹かれたのだ。宿に着くといきなり女将が、従業員の一人が休んでいると言い出す。理由を訊くと、人手が足りないと迷惑をかけるからと言う。温泉に入りたいと言うと、外へ連れ出され長い坂を上るとそこには源泉が噴出している。確かに源泉が旅館に引かれていることを示すためだ。
さあ、いよいよ黒毛和牛だと客がワクワクしながら待っていると、そこに牛飼いの男が現れ、引いてきた牛に向かって「おい、ハナコ。これからお前がこのお客さんたちに食べて貰えるんだぞ」と語りかける。客が女将に怒ると、確かに黒毛和牛であることを証明するためだと言う。すっかり和牛を食べる意欲を無くした客に、「それならオーストラリア産の牛肉ならあります。名前はメリー」。こんな風に何でも先回りして訊きもしないことを説明する女将だが・・・。
志の輔の新作は、現代のある風潮を切り取ってそこを強調し笑いを取るのが特長だが、この作品も同様だ。
これで客席を終始沸かせるのも、志の輔の話芸の巧みさだ。

志の輔『百年目』
桜が満開の時期のネタでタイムリーな選択。
冒頭の番頭が他の奉公人に小言をいう場面はあっさりと。芸者を「車が迎えに来ることのか(迎車)」と返すのが独自のクスグリ。
番頭が芸者や幇間を伴って向島に花見に向かう所から主人と鉢合わせするまでは通常の運び。
番頭が先に店に戻り仮病で2階に寝た後で戻ってきた主人が奉公人に、顔を上に向けながら「大事な番頭が風邪なら、医者の5,6人も呼んで来なさい」と大声で怒鳴るのだが、主人が怒っていることを殊更に協調して見せていた。
翌朝、主人が番頭を部屋に呼んでからが、通常とかなり変わっていた。
主人が煎茶道を習っているという設定で、番頭を前にして長い時間をかけて煎茶をたてる。敢えて長い間を置いてから、主人が例の「旦那」の語源を話し始める。続いて、初めて店の帳簿を検めたが、針ほどの穴も見つからなかったと語り、番頭の遊ぶ金は番頭の客が出したものだろうと指摘した。金の出所を明確に指摘する演じ方は初めて聴いた。
ここから主人は、今まで番頭の商才に気付かなかった事を詫び、1年先に暖簾分けすることを約束し、それまでは従来通り店の番頭を続けて欲しいと要請する。
もちろん番頭は感激し主人の要請を有り難く受け容れるのだが、これを主人が喜び、もし断られたらどうしようと一晩中悩んでいたと明かす。
だが、これは変だ。
なぜなら、番頭の方から辞めるという選択肢が無いし、申し出る必然性もない。番頭としてみれば醜態の責めを免れただけでも御の字であり、引き続き雇用が継続されるようになったのだから言う事なしである。
主人の方が悩む必要など一切無い。
せっかくの熱演も、この結末で台無しにしてしまった。

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コメント

志の輔の『百年目』、私が以前テレビで見たPARCOの高座と大きく変わっていないようですね。
拙ブログのURLを貼りました。
ほめ・くさんから、コメントをいただいておりました。

旦那が、番頭に辞めないでくれと懇願する、なんてのは、こ噺の本質を台無しにする演出です。
一晩中眠れないのは、番頭の方。
旦那は、泰然としていて欲しいものです。

小言幸兵衛様
志の輔がどういう意図でこうした改変を行ったのか、理解に苦しみます。これではまるで「百日の説法屁一つ」です。

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