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2019/05/05

名作落語の夕べ(2019/5/4)

第200回にぎわい座「名作落語の夕べ」
日時:2019年5月4日(土)18時
会場:横浜にぎわい座 芸能ホール
<  番組  >
前座・三遊亭遊七『たらちね』
三遊亭兼好『三枚起請』
入船亭扇遊『付き馬』
    《仲入り》
立川生志『木乃伊取り』
柳家さん喬『幾代餅』

出囃子にも使われている俗曲「梅が枝の手水鉢」の中にこんな文句がある。
♪お互いの胸と胸
合わせて子どもが出たときは
もしもその子がいい子なら
そのときゃお役者 そーれ頼む
もしもその子が変な子なら
そのときゃ落語家 そーれ頼む♪
つまり、器量のいい子なら役者、悪けりゃ落語家というわけだ。
近ごろは、特に女流は器量のいい子が多いね。噺家には勿体ない。
『明烏』のセリフじゃないが、「あんたがた、他にやるべきことが無いんですか!」。こんなこと書くと、また女性蔑視だのとお小言を頂戴するかな。近ごろはウルセエ奴が多いからね。

この小屋は、開演前にナントカ言うオジサンが出てきてネタの解説をするが、あれは余計だね。落語は想像する芸だから。

兼好『三枚起請』
マクラで鳥の物真似をして会場を沸かせネタに入る。こういう所はさすがだ。
ただ、起請文というのが分かりづらいので、説明をしておいた方が親切だったのでは。、正式な起請文は熊野三所権現発行の午王の宝印に書き付ける。宝印には熊野権現のお使いの烏をかたどった文字で呪文が記してあり、嘘をつくと熊野の烏が血を吐いて死ぬと言う。
これがサゲに使われている。
兼好が描く花魁は可愛らしくて、あれじゃ男は騙される。最後に居直って啖呵を切る所も良く出来ていた。

扇遊『付き馬』
扇遊のこのネタは今年に入って2度目だが、今回も素晴らしい出来だった。何より完成度が高く、一分の隙もない。
最初に、男が上から下までゾロリとした身なりをしていたことを述べるが、だから妓夫太郎はこの身なりで男を信用してしまう。
湯豆腐で一杯飲んだ代金が95銭という金額も妥当だ。3円とか4円とする演者もいるが、それでは揚げ代が26円50銭との辻褄が合わない。
後半の早桶屋の主人と妓夫太郎の珍妙な掛け合いも良い、妓夫太郎がようやく勘定を受け取れるワクワク感から燥ぐ姿が良く表現されている。
今や、このネタは扇遊がベストだ。

生志『木乃伊取り』
毎度思うのだが、この人のマクラはピリリと風刺も利いていて面白い。
だが、ネタに入るとマクラに比べテンションが下がる気がするのだ。
このネタの勘所は、飯炊きの清蔵が角海老に乗り込んで、若旦那に家に戻るよう説得する場面だ。懇願する清蔵に、若旦那は生意気な口をきくからと暇を出すと命じる。ここで清蔵は居直って、本気で怒りをぶつける。この気迫に若旦那も押され、帰宅すると言い出す。生志の高座では清蔵の気迫は足りないのだ。村相撲では大関だったと胸を叩いたりして見せるが、気迫とは別物にしか見えない。
ここが物足りないので、清蔵が花魁のかしくの手練手管に篭絡される最後の場面が生きない。

さん喬『幾代餅』
非の打ち所がない、と言いたい所だが、同じ事の繰り返しが多いと間延びした印象になってしまう。丁寧というより諄いのだ。
もっと簡潔に演じた方が、山場の清蔵が幾代に真実を打ち明ける場面で、客はより感情移入出来ると思うのだが。

 

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コメント

にぎわい座はそんなことをするようになったのですか。
扇遊もしばらく聴いてないなあ。

佐平次様
扇遊は、いま最も脂が乗っている噺家の一人です。
高座も以前に比べ華やかさを増してきました。

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