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2019/06/08

国立6月上席(2019/6/7)

国立演芸場6月上席・7日目

前座・柳家小ごと『道具屋』
<   番組  >
古今亭志ん吉『道灌』
柳家喬之助『初天神』
アサダ二世『奇術』
五明樓玉の輔『お菊の皿』
柳亭小燕枝『青菜』
─仲入り─
ニックス『漫才』
柳亭左龍『おしくら』
翁家勝丸『曲芸』
むかし家今松『水屋の富』

国立演芸場の6月上席は落協の芝居で、渋めの顔づけ。この日から梅雨入りという天候もあってか、やや寂しい入りだった。
お目当ては久々の今松。

小ごと『道具屋』
一琴の弟子。これは上手くなりそうだ。

志ん吉『道灌』
八五郎が隠居に「歌人」や「帰城」の意味を質問したが、「歌道」の意味は尋ねなかった。落としてしまったのか、それともこういう型なのか。サゲに直接係わる所なので気になった。

喬之助『初天神』
高座に上がっただけで客席まで明るくなるってぇのは得だね。
飴や団子をねだる時の金坊の表情が良い。あれじゃ買ってやらないといけなくなっちまう。

玉の輔『お菊の皿』
この人らしい軽快な運びだったが、クスグリが多用され散漫な印象になってしまった。このネタは真っ直ぐに演じても十分に面白いのだが。

小燕枝『青菜』
声とリズムが良すぎるせいか、眠ってしまった。

ニックス『漫才』
頑張ってるのは伝わってくる。ツッコミ役のキャラ立てが何か欲しい所だ。

左龍『おしくら』
「おしくら」とは宿の飯盛り女のことで、つまり昼も夜も接客するという女性。このネタは左龍の独走状態で、噺を聴いていて左龍と「おしくら」の顔が重なってくる。見事な顔芸。

今松『水屋の富』
マクラで江戸の飲料水事情の説明があった。玉川上水と神田上水が設置されて「水道の水で産湯を使った」のを自慢した江戸っ子だが、本所や深川は水質が悪く、神田・玉川上水の余り水を舟に積み運び、水売り(水屋)が天秤棒で売り歩いた。水屋が休んだりしたら住民の死活問題になるので、何があっても休むわけにはいかない。一方、水屋は一年中水の桶を天秤棒に担いで売り歩かなくちゃならない。歳を取ったらとても続けられない。
ここまでの説明があって、グッとこのネタが分かり易くなる。
この水屋は、他の商売の元手を作るために富籤を買うと、これが千両富に当たってしまった。 大喜びするが、さて困ったのは商いに出掛けた際の金の置き場だ。色々迷った挙句、袋に小判を詰めこみ床下にぶら下げることにした。こうしておけば誰も気づくまいと。朝晩は竿で突いて金が無事か確かめることにした。処が、表に出ると通りがかりの人間が皆怪しく見えてしまう。その度に気になって家に戻る。そのため水を届けるのが遅くなり、毎日客から怒られる。夜になれば、強盗に入られて刺されたり首を刎ねられたする夢にうなされ、眠ることも出来ない。その内、水屋の向いに住む博打うちが、水屋が朝晩必ず床下を竿で突くのをみてきっと大事なものを隠しているに違いないと、水屋が商いの出ている内に家に忍び込み、床下につるした金を全部盗んでしまう。帰ってきた水屋が金を盗まれた事を知り、「ああ、これでゆっくり眠れる」でサゲ。
『壺算』という落語にも出てくる「一荷(いっか)」だが、天秤棒で担いで歩ける量を指す。推定だが水で20リットルの桶を前後にして、総重量で約50kgだとしよう。これで一軒の分量。家によっては二荷だと二往復することになる。一人の水屋が恐らくは数十軒の客を持っていただろうから、夏も冬も雨の時も風の時も、これを毎日続けるというのは大変な仕事だ。だから千両富に当たった時は天にも昇る気分だったに違いない。処が、替りの者が見つかるまでは水屋をやめることが出来ない。金が盗まれないかびくびくしながら仕事を続けるうちに、水屋は心身共に疲れ果ててしまう。
この水屋の姿を今松は丁寧に描いて見せた。マクラの前説を含め、今まで聴いたこのネタではベストの高座だった。
余談だが、私より1歳下の今松、高座姿がパリッとしている。やはり芸人は違うね。

 

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コメント

古典落語名作セレクションですか(笑)
小燕枝は、いつぞや高座で先輩の談志から「話すテンポを早くしろ」と何度も諭されたと述懐していました。
柳家の底力を見せるベテランですね。

福様
この日はどこかで眠りそうな気がしていたので、一番端っこの席を取っていて正解でした。

左龍、今松、聴きたかったな、かわら版をやめてから情報のチエックをしないから落語に行く機会が減りました。
それほどのファンではなかったと云うことですね。

佐平次様
今松の『水屋の富』は一年に数回会えるかどうかという高座でした。こういうのに巡り合うと又行きたくなります。

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