「人形の家 Part2」(2019/8/9)
PARCOプロデュース2019「人形の家 Part2」
日時:2019年8月9日(金)19時(上演時間:1時間45分)
会場:紀伊國屋サザンシアター
脚本:ルーカス・ナス
翻訳:常田景子
演出:栗山民也
< キャスト >
永作博美/ノラ
山崎一/夫・トルヴァル
梅沢昌代/乳母・アンネ・マリー
那須凜/娘
イプセンの戯曲「人形の家」が上演されたのが1879年で、本作品ではノラが家に帰ってきたのが15年後ということだから、時代は19世紀末ということになる。
ノラが15年ぶりに家に帰ったのは、家族との再会のためではなく、ある用事があったから。
ノラは、今では女性の自立をテーマとして本を書き、ベストセラーにもなっている。処が、その本を読んだ読者の女性が離婚し、怒った夫がノラの素性を確かめると、戸籍上ノラは未だトルヴァルの妻であることを突き止め、世間に公表するとノラを脅迫する。
ノラは、家を出るときに離婚届けを出すようトルヴァルに頼んでいて、自分は独身であることを信じ、本の中でもそのことを書いていた。もし事実が世間に知れれば、ノラは社会的に抹殺される。そこで、トルヴァルに会って、約束通り離婚届けを出すよう催促に来たのだ。
しかし、ノラの申し出をトルヴァルは一蹴する。お前が勝手に出て行ったんだから離婚はしないと主張する。
仕方なくノラは、乳母や、今は立派に成長した娘にトルヴァルへの説得を依頼するが、15年間行方不明だったノラは死亡したことになっていた。そのことを前提にトルヴァルとその家族は長いあいだ生活をしてきていたので、今さら離婚届けを出すわけには行かないという理由があった。
困惑するノラ、果たして解決の道は開けるだろうか・・・。
本作品のテーマも女性の自立だ。
舞台は5場構成で、各場が「ノラvs.乳母」「ノラvs.夫」「ノラvs.娘」といった具合に、2人芝居が連続した形で進行するディスカッション・ドラマだ。
本来は19世紀末の時代設定のはずだが、議論されているテーマは今日的であり、現在進行形である。
終始、緊張感あふれる舞台は、休憩なしの1時間45分の長さを感じさせない。
4人の出演者はいずれも熱演で、初日にも拘わらず完成度の高い演技を見せていた。
ノラを演じた永作博美は2度目だが、演技はもちろんのこと、魅力的で舞台映えする女優だ。
公演は、9月1日まで
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