国立8月上席(2019/8/5)
国立演芸場8月上席・中日
前座・金原亭乃ゝ香『牛ほめ』
< 番組 >
金原亭馬久『強情灸』
金原亭馬玉『幇間腹』
東京ガールズ『音曲バラエティ』
金原亭世之介『船徳(序)』
桂藤兵衛『お化け長屋』
─仲入り─
マギー隆司『奇術』
三遊亭歌武蔵『漫談』
鏡味仙三郎社中『太神楽曲芸』
金原亭馬生『包丁』
国立8月上席は落協の芝居で、トリの馬生が日替わりでネタ出ししている。中日が『包丁』だったのでこの日に出向く。入りは平日の国立としてはマアマアだった。
乃ゝ香『牛ほめ』
前回聴いた時よりは多少サマになってきた。
馬久『強情灸』
素直な芸は好感が持てる。
馬玉『幇間腹』
悪くないんだけど、印象が薄いんだよね。
東京ガールズ『音曲バラエティ』
小糸(左)と小夏(右)の女性邦楽ユニット。『勧進帳』はお見事、貴重な存在なので頑張って欲しい。
世之介『船徳(序)』
船頭の失敗を親方が叱る所で切っていたが、なんとも中途半端。
若い頃はTVで売れ、レコード(CD)を出したり、本を書いたりと多才だが、噺家としてはどうだろうか。
ここ十数年、この人の高座で感心したことは一度もない。この日もそうだが、なんか中途半端なのだ。このままで終わらせる心算だろうか。
まあ、大きなお世話だけどさ。
藤兵衛『お化け長屋』
本寸法の高座で前半を締める。
歌武蔵『漫談』
白鵬の土俵入りが綺麗じゃないとか、貴景勝は横綱になれないとか、さすが大相撲の解説になると的確だ。
馬生『包丁』
このネタ好きなんだけど演じ手が少ない。難しいんだろうね。
女たらしの久次、その女房で清元の師匠であるおあき、金欲しさに久次の片棒を担ぐ羽目になる寅。この3人の人物像や心の動きが表現できるかが勝負だ。
「寅」、自分は苦労しても失敗ばかりで目が出ないのに、久次はおあきの元に入り込み気楽なヒモ暮らし。あまつさえ、若い女と一緒になるためにおあきを騙し、田舎芸者に売り飛ばし一儲けを企んでいる。金欲しと言いながら、どこか久次には反発する気持ちがある。実際におあきに会ってみれば、これがいい女だ。そう思うと、おあきに対する同情心も生まれてくる。最終的には寅は久次を裏切るのだが、その伏線は寅の心理状態にあったんだろう。
「おあき」、婀娜で鉄火な年増だが、堅物である一方、男無しには生きていけない可愛らしい女として描かれる。最初は蛇蝎のごとく嫌っていた寅だが、全てを打ち明けてくれた正直さに惚れ、この男なら一緒になってもいいと心に決める。久次とは正反対の男を選んだことになる。
馬生の高座はこうした人物たちの心の綾を描いて、好演だった。
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