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2019/08/19

「盗撮法」「盗撮罪」の創設は問題が多すぎる

「盗撮」の定義は次の通り。
①当人に知られないように、撮影すること。ぬすみどり。
②被写体、または対象物の管理者に了解を得ずにひそかに撮影を行うこと。
この定義を厳密に解釈すれば、私たちが普段カメラなどで撮影している行為も「盗撮」と見做される可能性がある。

スマホなどにカメラやビデオ機能がつき、超小型カメラが簡単に入手できるようになり、猥褻目的の悪質な盗撮が跡をたたない。そうした画像をネットで公開したり、販売したりするケースも増えている。
被害にあった人たちは、場合によっては一生怯えて暮らすことにもなる。
そうした盗撮を防ぐための法律は、今のところ自治体による条例のみで、全国一律に規制できる法律がないため抜け穴が出来てしまう。
そのため、盗撮法、盗撮罪の創設を訴える声が法曹界の一部にある。
また、議会でもそうした法案を議員立法で提出しようという動きもあった(例えば2005年に自民党がわいせつ目的の盗撮や盗撮ビデオなどの販売を禁じる「盗撮防止法案」を検討)。
こうした法律が制定されれば、盗撮による被害は減少し、被害者が救済されることが期待できるので、一見すると歓迎すべきことの様に思える。

ただ、翻ってみれば私たちは日常的に盗撮を受けている。それは全国に張り巡らされた防犯カメラ、監視カメラによる撮影だ。私たちに了解なしに撮影されているのでこれも盗撮だ。
いや、防犯や監視用のカメラが「設置中」「作動中」と表示していれば、そこを通過する人は撮影されることを了解したものと見做すという説もある。
しかし、現在の様にあらゆる金融機関、スーパーやコンビニなど店舗、公共施設、そして何よりほとんどの道路のどこかにカメラが設置、作動しているので、「強制的に了解させられている」のが実情だ。
個人の盗撮は禁止するが、防犯カメラは野放しというのは理屈に合わない。

盗撮した映像を公開や販売した場合に罪になる、というのはどうだろうか。
ここで思いつくのは、政治家などの不正行為やスキャンダルを暴いた写真が問題となる。これらの映像は100%盗撮だ。公開や販売が罪になるとしたら、撮影したカメラマンや出版社は全て有罪になってしまう。
個人が撮影した映像をSNSなどで公開した場合も、被写体が承諾していないと主張し盗撮と判断されれば罪に問われることになる。
正しい盗撮と正しくない盗撮をどう線引きするかという課題もある。
もし盗撮法や盗撮罪が法制化され、それを権力者側が恣意的に運用するようになれば、それはとても恐ろしい事態を招きかねない。

盗撮は憎むべき行為であるが、それを規制するための立法化は慎重であらねばならぬ。

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