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2019/08/25

雲助・馬生『お富与三郎(通し)』(2019/8/24)

第13回「らくご古金亭ふたたび」
日時:2019年8月24日(土)18時30分
会場:お江戸日本橋亭

前座・金原亭小駒『粗忽の釘』
<  番組  >
雲助・馬生リレー口演『お富与三郎』
金原亭馬生『木更津見染め』
五街道雲助『赤間の仕返し』
~仲入り~
金原亭馬生『玄冶店~稲荷堀』
五街道雲助『島抜け』

『お富与三郎』は、長唄の四代目芳村伊三郎が木更津で若い頃に体験した実話をもとに、一立斎文車(乾坤坊良斎)や初代古今亭志ん生が講談や落語に仕立てたと言われる。近年では10代目金原亭馬生が得意としていた。古今亭一門には縁の深い演目で、現在は雲助や弟子の馬石によって通し口演が行われている。
今回は、10代目馬生の兄弟弟子である雲助・馬生がリレー口演で高座にかけるという趣向。最初で最後の企画とあってか会場は満員の盛況。

馬生『木更津見染め』
江戸横山町の鼈甲問屋「伊豆屋」の若旦那・与三郎、今業平といわれた色男だが、ちょいとした間違いを起こし、木更津で紺屋をしている伯父に預けられる。
木更津のやくざの親分・赤間源左衛門は江戸で博打で勝ちに勝ってその大金で江戸一と言われた深川のお富を身請けして連れ帰り女房同様にしていた。
木更津の祭の晩、料理屋でお富と与三郎が偶然に顔を合わせ、惹かれ合った二人は親分の留守に逢瀬を重ねる。

雲助『赤間の仕返し』
江戸から木更津に戻った源左衛門は、子分からお富と与三郎の密通を知り、与三郎を捕らえて柱に縛り、お富の目の前で顔中、体中30数か所を切る。たまらずお富は木更津の海に身を投げてしまうが、近くにいた船の多左衛門に運よく引き上げられて江戸に戻り、多左衛門の妾となる。
与三郎も行李に詰められ、100両で伯父の家に戻されて命だけは助かる。

馬生『玄冶店~稲荷堀』
江戸に戻った与三郎だが、顔中傷だらけでは人目に出られなくなり、家に閉じ籠もるようになった。
気晴らしに両国の花火を観に出かけたが、帰り道でお富を見かけ声をかける。お富は与三郎を住んでいる玄冶店に連れ帰り、実の兄と称して一緒に住むことになる。そこに伊豆屋の番頭が訪れ実家に戻るよう与三郎を説得するが、与三郎が拒否したので勘当となり無宿者になってしまう。
多左衛門は目玉の富八から二人は兄妹ではなく男女の関係だと聞かされ、25両をお富に渡し手を切る。それを聞いた与三郎が稲荷堀(とうかんぼり)で目玉の富八を襲いお富が止めを刺す。
殺害の一部始終を目撃していた蝙蝠安が二人を強請ったため、二人から殺害されてしまう。

雲助『島抜け』
二人の悪事がばれてお富は永牢、与三郎は佐渡に島流しになり、冬でも法被一枚で金鉱で水汲みをさせられた。遊び人風情ではとうてい体力がもたず生きて帰れる見通しはない。生きて江戸に戻りお富に一目でも会いたい。二人の仲間と相談して嵐の夜に逃げ出し、丸太を筏に組んで荒海に乗り出す。
与三郎が気が付くと、筏は岸に乗り上げていた。後ろを向くと佐渡が黒く浮き上がっていた。ここから江戸は陸続きだと、与三郎はお富会いたさに江戸に向かって駆け出した。

この物語はまだ続きがあり、与三郎はそのころ品川にいたお富に再会するが、疎ましく思ったお富は与三郎を殺害し、打ち首になる。
本作品を舞台化した三代目瀬川如皐脚本の『与話情浮名横櫛』(よわなさけうきなのよこぐし)とは筋が大きく異なる。
雲助と馬生のリレー口演という企画は成功だったと思う。洒脱な馬生に対して重厚な雲助。もし雲助一人の通しだと客は疲れたろうし、馬生一人では島抜けの迫力は出せないだろう。
馬生が演じる与三郎はワルと言っても所詮はお坊ちゃん育ち、どこか甘さがあり殺しでも躊躇してしまう。反対にお富は冷酷で、あっさりと止めを刺してしまう。陰惨な場面も軽く演じてみせ、馬生らしい高座だった。
雲助は、赤間の仕返しではサディスティックな描写を演じてみせ、島抜けの緊迫した場面では客が思わず息をひそめて聴き入っていた。
最初で最後というこの企画、聴けた人は幸せだ。

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コメント

二人の持ち味が相乗効果を生じた、さだめしよかったのでしょうね。

投稿: 佐平次 | 2019/08/26 11:10

佐平次さん
こうしたネタの通しは通常何回かに分けて演じられますが、一度に、それも複数の演者でというのはあまり例がないと思います。雲助、馬生それぞれの持ち味が生きて良い企画でした。

投稿: home-9 | 2019/08/26 17:19

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