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2019/08/29

「権太楼・龍志 二人会」(2019/8/28)

みなと毎月落語会「柳家権太楼・立川龍志二人会」
日時:2019年8月28日(水)19時
会場:赤坂区民センター 区民ホ-ル
<  番組  >
前座・立川らくぼ『牛ほめ』
柳家権太楼『短命』
立川龍志『五貫裁き(一文惜しみ)』
~仲入り~
立川龍志『六尺棒』
柳家権太楼『佃祭』

お目当ては立川龍志、今回が初見。龍志によれば権太楼と同じ高座に並ぶのは40年ぶりとか、今回が最後になるだろうとのこと。

龍志の1席目『五貫裁き』
ケチな人間は死ぬと暗闇地獄に落ちる。真っ暗だから動くことが出来ないが、一人歩いているのがいた。見たら爪にともした灯りを頼りにしている。顔を覗き込んだら、談志だった。
あの人は良い人だと言われる人にはお金が貯まらない。
この二つをマクラに振っていたが、いずれもネタに関わっている。こういうマクラは気が利いてるが、近頃どうでもいい話をダラダラと喋る噺家がいて閉口する。三三じゃないが、マクラの長い噺家にロクなのはいない。
このネタのポイントは、八五郎の長屋の大家の描き方だと思う。八が吝嗇の徳力屋の主から煙管で打たれて額から血を流して帰ってきた段階で、これ以降の筋書きが頭で描き、結果はその通りとなった。正直者の様でいてなかなかの策略家なのだ。
むろんフィクションの世界ではあるが、大岡越前守という奉行は法より情を尊重するタイプであり、徳力屋に厳しい措置がなされることを大家は読んでいた。
通常は、大家の指示で徳力屋から大枚の示談金をせしめて、目出度し目出度しで終わるのだが、龍志の高座は師匠の談志譲りで、その後が付け加わる。徳力屋の世話で八五郎は立派な八百屋の店を開き大繁盛。その評判で気を良くした徳力屋は方々に施しをした挙句、店が潰れてしまう。八五郎は持たない大金を持ったばかりに博打にうつつを抜かし破綻してしまう。関係者も皆亡くなり、今ではこの物語を伝える者は誰もいない、で終了。
龍志の高座は各場面や人物像を丁寧に描きながらスピーディーな運びで好演。実力は評判通りだった。

龍志の2席目『六尺棒』
落語家の2世の話題になり、志ん朝が周囲から若旦那と呼ばれていて、それが又ピッタリだった。でも正蔵や三平は若旦那とは呼びにくいと、マクラを振ってネタへ。
冒頭でこの若旦那は深夜に人力俥で帰宅し、俥屋に多分の祝儀を渡していた。ここまでで若旦那が相当な放蕩息子であることが観客に分かる。帰りを待ちかねた父親が息子を説教するが、息子は謝るどころか居直り、家に火をつけると脅かす始末。堪忍袋の緒が切れた父親は六尺棒を持って息子を追いかける。「ちゃんと謝れば許してやったのに」という父親のつぶやきは、息子への情を感じさせる。
短いネタだが、この父子の関係が窺われる工夫がなされていた。
この人が定席に出てくれれば、きっと若手の良い手本になるのだろうにと、そこが惜しまれる。

権太楼の2席は寄席でもお馴染みのネタ。
1席目の『短命』では、隠居の暗示にようやく気付いた八五郎が、こうなってこうなってと手を動かすと、「手はやめなさい、それは浅草でやりなさい」。
2席目の『佃祭』、本人も途中で言ってたが『短命』と「悔み」でツイテしまった。ネタの選択を間違ったのかな。
少しカットしていたが、佃の渡し場を中心とした人情噺風の場面と、治郎兵衛宅での葬儀のドタバタを手際よく描いていた。
高座に上がったのは8時34分で、9時には終わらせますと宣言して噺に入ったが、終わって幕が下りたのが9時ピッタリだったのには感心した。さすがはプロだ。

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コメント

「短命」は隠居の暗示が聴かせどころ。
一般に短詩型文学は暗示・象徴に生命がありますが、たしか3つ示される川柳が面白くて好きです。

福さん
権太楼は川柳は一つだけで、「何よりも傍(そば)が毒だと医者がいい」で、「じゃ、ウドンにすりゃいいんだ」と受けてました。

談志といえば、「野ざらし」のなかで柳好の真似をしているというので、ひとり会のCDを聴きました。
ちょっとだけ、やって見せましたが、改めて談志を聴くのは心地よくないなあと痛感。
早口の江戸っ子のタンカが、一朝とああまで違って聞こえるのかと思いました。

佐平次さん
談志の『野ざらし』はナマの高座で聴いたことがありますが、下品で嫌でした。談志は評価の大きく分かれる人です。

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