にほんばし寄席(2019/8/30)
第5回「にほんばし寄席」
日時:2019年3月30日(金)19時
会場:日本橋社会教育会館ホール
前座・春風亭枝二『浮世根問』
前座・春風亭朝七『たらちね』
< 番組 >
隅田川馬石『臆病源兵衛』
瀧川鯉昇『茶の湯』
~仲入り~
古今亭文菊『転宅』
柳家小満ん『二階ぞめき』
寄席の入場料が10月から3000円になるようだ。当ブログがスタートした14年前には、落語会の入場料が3000円というと高く感じたものだが、今では安い方になってしまった。最近では4000円を超す会も少なくない。落語家の生活が向上するのは結構な事だが、こちとらの財布には痛い。
この会は4人の出演者が持ち時間30分ずつという中身の濃い会だ。
馬石『臆病源兵衛』
雲助一門の御家芸ともいうべきネタだが、馬石が面白い。この人の真面目なんだか不真面目なんだか分からないフワッとした芸風がネタに合っている。自分が死んだと思い込んでフラフラ歩き回る八五郎の姿が、馬石本人と重なるのだ。
滑稽噺、人情噺両方イケてるとこは師匠に最も近い。
鯉昇『茶の湯』
お馴染みの扇風機のマクラからネタに。
以前に聴いたものとだいぶ中身を変えていた。青黄粉だけでは抹茶の色が出ないからと青色の絵の具を加え、泡立ては洗剤を使う。孫店の住人を招いてお茶を飲ませる場面はカットしていた。
改変は一之輔に任せて、以前のオリジナルに近い演じ方の方が良かったのでは。
文菊『転宅』
得意のネタでこの人らしい丁寧な高座だったが、お菊の目つきがネットリし過ぎているのでは。
泥棒の方は、前半の有頂天から後半の落胆という表情変化はよく描かれていた。
小満ん『二階ぞめき』
数ある廓噺の中でも、吉原を素見(ひやかす)だけを趣味とする若旦那が主人公の異色のネタだ。ストーリーは無く、家の二階にこさえて貰った吉原のモデルタウンを、若旦那が自身や花魁、妓夫らとの会話や喧嘩を一人で演じて楽しむという趣向だ。観客に、きっと吉原ってとこはこういうとこだったんだなと納得させる手腕が必要で、小満んの様な粋な遊び心を持った演者でなければ表現しえないネタだ。実に楽しそうに演じていたし、その楽しさが客席に伝わってきた。
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コメント
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『茶の湯』『転宅』『二階ぞめき』
非日常の独特な空間を舞台にしている噺ですね、偶然でしょうが。
よく達者な落語家を褒めるときに「その場面が目に見えるようだ」と評しますが、たしかにそう感じることがあります。
投稿: 福 | 2019/09/01 06:53
福さん
吉原に素見にいくときは、袖のない着物をきる。喧嘩の際に拳固が袖に引っかかると先に殴られるから。小満んのそうした細かな描写が堪りません。
投稿: home-9 | 2019/09/01 07:03
その小満んも吉原の実体験はないのですものね。
浪人中の孫が寄席に連れて行って欲しいと言ってましたが、はて、こういうのが分かるかどうか。
投稿: 佐平次 | 2019/09/01 10:32
佐平次さん
小満んは実体験はないですが、観客に想像させる力があるのが強味です。私が親に連れられ始めて寄席に行ったのは7歳でしたが、また行きたいとせがんだ位ですから、お孫さんもきっと楽しめると思います。
投稿: home-9 | 2019/09/01 11:43