東西交流落語会(2019/8/27)
第5回「東西交流落語会」
日時:2019年8月27日(火)19時
会場:横浜にぎわい座 のげシャーレ(小ホール)
< 番組 >
柳亭小痴楽『岸柳島』
桂佐ん吉『七度狐』
春風亭昇也『馬のす』
笑福亭鉄瓶『茶屋迎い(不孝者)』
~仲入り~
桂二乗『鹿政談』
三遊亭朝橘『死神』
昨日、新山ひでやの訃報に接した。
「新山ひでや・やすこ」の夫婦漫才として寄席で活躍していた。「最高!最幸!」が観ることができなくなってしまった。
ご冥福を祈る。
さて、「東西交流落語会」は若手中心の会で、出演者は東西3人ずつ。一杯の入りで、これだけ集まるなら上の芸能ホールでも良かったと思えるほどだ。
それに応えて各演者の熱演が続いた。
小痴楽『岸柳島』
9月下席からの真打昇進披露興行で頭が一杯なんだろう。一本で昇進は名誉なことだが、40日間の寄席のトリは精神的にも肉体的にも経済的にも大変な負担かと察する。
この日感じたのは、この人は目の使い方が上手い。各人物の演じ分けも出来ていたし、船中での町人たちのガヤガヤの描き方も良かった。
佐ん吉『七度狐』
お目当ての一人。毎度のことながら実に上手い。一つ一つの所作が丁寧で、しかもリズミカルだ。ハメモノとの呼吸もピッタリだった。実力派揃いの吉朝一門の中でも頭一つ抜けてると思う。
昇也『馬のす』
富士登山の大して面白くもないエピソードを引っ張りすぎてダレてしまった感がある。ネタは数分程度のもので、挟み込むギャグが勝負だと思うが、中身が古臭い。アメリカの列車のチケットで"to,for,eight-eight"のギャグは、私が小学生の頃の寄席で使われていたよ。
鉄瓶『茶屋迎い(不孝者)』
番頭が帳面を付けているところへ若旦那が現われ、集金に回るといって請求書の束を懐に入れて店を飛び出すが、5日経っても帰ってこない。親旦那が番頭に問いただすと、どうやら新町の茨木屋に居続けているらしい。手代やら番頭やらと次々に迎えに出すが、いずれも行ったっきり戻ってこない。仕方なく親旦那自らが茶屋に迎えに行くが、若旦那らがいる2階座敷ではなく、1階の小さな部屋で待たされる。そこに部屋を間違えたという芸者が現れると、それがなんと8年前まで親旦那が世話をしていた女だった。事情があって別れたが、互いのことはずっと気にしていた。焼け棒杭に火がついて二人がイチャイチャ始めると、「若旦那がお帰り!」の声。「この親不孝者めが!」でサゲ。
東京では『不孝者』のタイトルで演じられているが、上方のオリジナルは初見。そして圧倒的に上方版の方が面白い。堅物と思われていた親旦那が実は遊び人で、好きな女を隣に座らせると胸に手を入れる癖があるようだ。
鉄瓶の高座は人物の演じ分けもしっかっり出来ていたし、親旦那と再会した芸者とのしっとりとしたヤリトリも良かった。
二乗『鹿政談』
外連味のない本寸法の高座で、ネタのせいもあるかも知れないが芸に品がある。奉行の凛とした描写も良かった。
朝橘『死神』
三遊亭圓橘の末弟で一昨年真打に昇進している。
悪くはなかったが、主人公と死神以外の人物の描写が雑に感じた。主人公の消えかけた蝋燭を息子の蝋燭を使って火を移すというのは初めて観た。自分で火を消して死ぬというサゲも含めて、評価の分かれる演出だった。
総じて上方の噺家の方が上手だった。
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