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2019/08/17

国立8月中席(2019/8/16)

国立演芸場8月中席・6日目

前座・三遊亭金かん『道灌』
<  番組  >
柳亭小痴楽『芋俵』
三遊亭王楽『読書の時間』
瀧川鯉昇『犬の目』
ナイツ『漫才』
三遊亭小遊三『百川』
~仲入り~
桂枝太郎『源平盛衰記』
江戸家まねき猫『動物ものまね』
三遊亭円楽『ねずみ』

国立の8月中席は芸協の芝居で、病気で入院していた円楽の高座復帰の芝居でもある。
この席は、かつて歌丸がトリで圓朝作品などの長講を掛けていたが、今年は円楽が『唐茄子屋政談』『ねずみ』『死神』『藪入り』『浜野矩随』の中より一席を演じるという趣向。
本来はお盆興業のトリとなれば、協会の幹部や実力者が務めるのが本筋だろうが、客員の円楽に頼らざるを得ないという事情は、芸協会員にとっては忸怩たるものがあるだろう。

小痴楽『芋俵』
今秋9月下席より、一本で真打昇進が決まった期待の若手だ。この日のそうだが、軽い滑稽落語が上手いのだが、披露興行では40日間一人でトリを務めるわけで、これからの精進が大変になるだろう。今から楽しみにしている。

王楽『読書の時間』
こちらも円楽一門の期待の若手。久々だったが、すっかり場慣れしてきたという印象で、マクラで客席を引き込むのも巧みになった。文枝作のこのネタも近ごろでは東京でも演じられることが多いが、王楽は声とリズムの良さで聴かせていた。
細雪、金色夜叉、武者小路実篤、若い人には読みづらいだろうね。「細と書いてささめと読むんだ」に「奥のささめ道」には笑った。

鯉昇『犬の目』
お馴染みの軽いネタも鯉昇の手にかかるとこれほど面白くなるものか、という高座。この人の独特の「間」で、笑いのスイッチが入ってしまうようだ。

ナイツ『漫才』
芸能スキャンダルネタを、塙が指先だけで表現するという芸には感心した。客席からは、この日一番受けていた。

小遊三『百川』
マクラですべった感があり、ここまでの流れを止めてしまった。USAをYMCAと言い間違えていたのを最後まで気づかなかったようだ。
ネタに入ってもリズムが悪く、演者も客席も乗り切れぬまま終わってしまった。

枝太郎『源平盛衰記』
この人のモッチャりとした喋りや訛りが、このネタに合っていない気がした。クスグリも今一つ。本人が面白がるほど、こちらは面白くなかった。

まねき猫『動物ものまね』
小猫の芸に慣れていると、技量の差を感じてしまう。

円楽『ねずみ』
「帰って来る所があるって幸せですね」という第一声に実感が籠っていた。入院から復帰して、馴れている筈の噺の筋が追えなくなったり、声が思うように出なくなったりと。5日目でようやく声が出るようになってきたと。それでも胸にピンマイクを付けての高座だった。
冒頭で左甚五郎が江戸を経て仙台に来るまでの経緯を説明したが、このネタを初めて聴く人には親切だ。
ねずみ屋の主・卯兵衛が、女房と番頭の計略にはまり、親子ともども追いだされる身の上話は胸を打つ。一度は死まで考えたが、息子の励ましで自立に至る経緯を聴き、甚五郎はこの親子を助けようと決心する過程を丁寧に演じていた。
甚五郎、卯兵衛と卯之吉親子の人物像がくっきりと描かれ、良い出来だった。
復帰できた喜びが客席にも伝わってきた、渾身の高座。

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寄席・落語」カテゴリの記事

コメント

圓楽も一皮二皮むけたのかもしれないですね。

佐平次さん
圓楽はかなり久々でしたが、昨日は気迫を感じました。未だ病いは完治していないので、当分治療は続くようです。

私が行った12日も圓楽はやはりねずみをかけていました。高座に上がるなり、「戻る場所があるのはありがたい」としみじみ言った後に前座に湯呑みを持って来させていました。前座に対して、「悪いね、俺があらかじめ言わなかったのが、悪いんだ。」と言っていました。因みにこの日の番組は以下の通りでした。久しぶりに談春が聴けたこともあり、充実の番組だったと思います。
<開口一番>  やかん/幸七
       古事記/竹千代
       親子酒/竜楽
      千早ふる/鯉昇
        漫才/ナイツ 
     三方一両損/談春
     仲入り
        片棒/談幸
        俗曲/うめ吉
       ねずみ/圓楽

ぱたぱたさん
2日目は最強メンバーでしたね。私がチケットを取った7月1日時点では6日目の出演者が未定でしたが、結果オーライです。

首相の出身派閥も、ささめ田派ということになりましょうか(笑)
円楽は1年ほど前、TVで「自分の落語は評価が低い」と嘆いていました。
しかし、そこはそれ、嘆くにも東京っ子らしいさっぱりした感じはありました。
『ねずみ』は先代三木助の十八番でしたね。語るには骨の折れる噺で、病身には大変だったろうな、と推察します。

福さん
円楽は上手いとは言えないです。この日の高座で言えば、全力でネタにぶつかっていたことが客席に伝わっていました。

円楽師は上手いではなく、上手(じょうず)言う感じですかね。
ネイティブの東京弁を話せる師匠とも思います。

蚤とり侍さん
この日の高座で、円楽は名人の手前の上手になりたいと言ってました。自分を嫌ってる人がいることも自覚しているとも。TVなどメディアで名前を売ることも大事ですが、ある年齢に達したら落語に専念して欲しいですね。古くは米朝、志ん朝、談志、小朝、皆そうでした。私が円楽や歌丸に厳しいのもそうした理由からです。

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