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2019/09/22

こまつ座『日の浦姫物語』(2019/8/21)

こまつ座第129回公演『日の浦姫物語』
日時:2019年8月21日(土)13時(公演時間:休憩含め2時間55分)
会場:紀伊國屋サザンシアター
脚本:井上ひさし
演出:鵜山仁
<  主なキャスト  >
朝海ひかる:日の浦姫
平埜生成:稲若/魚名(太郎)
たかお鷹:藤原宗親
辻萬長:説教聖
毬谷友子:三味線弾きの女
石川武、沢田冬樹、櫻井章喜、粟野史浩、
木津誠之、赤司まり子、名越志保
川辺邦弘、宮澤和之、越塚学、岡本温子

【あらすじ】
平安時代、説教聖という人間が町や村を回り、昔あった出来事を物語って暮らしていた。ただここに登場する赤子を背負った説教聖は三味線弾きの女を伴い、なぜか「日の浦姫物語」だけを語る、
奥州は岩城国の米田庄、両親をを失った双子の兄妹、稲若と日の浦姫が仲睦まじく戯れている。二人がおかしたたった一度の過ち、姫は懐妊し一人の男の子を産む。兄の稲若も亡くなり、唯一の血を受け継ぐ日の浦姫が領主を受け継ぐことになる。罪に苦しむ姫は、幼児の魚名を砂金と手紙を入れた袋と共に舟にのせて海に流し、無事に助けられるようを祈る。
魚名は漁師に助けられ、太郎という名で寺の和尚に育てられて18年後には立派な青年に成長する。太郎は都に出て武士になることを目指し村を出る。途中、米田庄に通りかかると、隣の領主が日の浦姫に懸想し、姫と領土を手に入れようと米田庄内の武将たちを次々倒していることを耳にする。正義感に燃えた太郎は、隣の領主と弓矢で争い倒してしまう。
独身を通してきた日の浦姫は領主として婿取りを迫られていて、周囲の声と姫自身の希望により、太郎を婿に迎える。夫婦は仲睦まじく姫は懐妊する。
しかし、姫が偶然に太郎が持っていた手紙を読んでしまうと、それは過去に自身が書いたものだ。姫は自分の子とまぐわい懐妊したことを知り、その事実を太郎(魚名)に伝えると・・・。

テーマは近親相姦であり、それをめぐる悲劇だ。
日の浦姫は実の兄とまぐわい男の子を産むが、やがてその子と夫婦になる。
物語りを伝える説教聖もまた、背負っている赤子は実の妹である三味線弾きの女との間にできた子だ。
井上ひさしは本作品を執筆するにあたり、教皇グレゴリウス1世の一生や、古事記や今昔物語を参考にしたようだが、古今東西、近親相姦は文学の大きなテーマの一つだ。
本作品は、このテーマを悲劇で終わらせるのではなく、そうした中でも逞しく生きる姿を通して、私たち観客を励ます内容になっている。
深刻なテーマを扱っているにも拘わらず、いかにも井上作品らしい歌や踊りと笑いに満ちた楽しい舞台に仕上がっていた。
元々は文学座の杉村春子への「当て書き」として書かれた脚本だったそうだが、今まであまり再演されなかった(こまつ座としては今回が初演)のが不思議に思えるほど、完成度の高い舞台だった。

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