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2019/09/11

文楽公演『心中天網島』(2019/9/10)

近松門左衛門作
『心中天網島(しんじゅうてんのあみじま)』
 ・北新地河庄の段
 ・天満紙屋内の段
 ・大和屋の段
 ・道行名残の橋づくし
日時:2019年9月10日(火)11時
会場:国立劇場 小劇場
<太夫・三味線>
「北新地河庄の段」
・中
三輪太夫(みわたゆう)
清志郎(せいしろう)
・奥
呂勢太夫(ろせたゆう)
清治(せいじ)
「天満紙屋内の段」
・口
津國太夫(つくにだゆう)
團吾(だんご)
・奥
呂太夫(ろだゆう)
團七(だんしち)
「大和屋の段」
・切
咲太夫(さきたゆう)
燕三(えんざ)
「道行名残りの橋づくし」
・小春  
芳穂太夫(よしほだゆう)
宗助(そうすけ)
・治兵衛
希太夫(のぞみだゆう)清丈‘(せいじょう)
小住太夫(こすみだゆう)寛太郎(かんたろう)
亘太夫(わたるだゆう)錦吾(きんご)
碩太夫(ひろたゆう)燕二郎(えんじろう)
<主な人形役割>
紀の国屋小春:和生(かずお)
江戸屋太兵衛:文司(ぶんじ)
五貫屋善六:清五郎(せいごろう)
粉屋孫右衛門:玉男(たまお)
紙屋治兵衛:勘十郎(かんじゅうろう)
女房おさん:勘弥(かんや)

人形浄瑠璃をご存知ない方のために出演者の名前をズラリと記したが、人形の遣い手ではここに掲げた数倍のもの人が出演している。他に大道具や衣装など沢山の裏方がいるわけで、「文楽」の世界というのは数十年の修行を積んだ熟練の芸人による技芸の集約で成り立っている。
もし落語は好きだけど、人形浄瑠璃は敷居が高いと思われているなら、一度は観ることをお薦めしたい。

近松門左衛門の代表作であるこの物語。
主人公・紙屋治兵衛という男、女房と二人の子どもがありながら、曽根崎新地の遊女・紀伊国屋小春の所へ通い詰め。女房のおさんはグウタラ亭主に代って店を切り盛りし家族の面倒を見る貞女だ。治兵衛と小春が心中でもしないかと心配になったおさんは、密かに小春に手紙を書き、治兵衛とは手を切ってくれるよう懇願する。小春はおさんの気持ちを受け止め、心配で店を訪れた治兵衛の兄の孫右衛門に、もう小春の元に通わないようと頼む。その様子を立ち聞きした治兵衛は逆上し一騒動起こすが、そこは孫右衛門が制止して収まる。
店に戻った治兵衛は、小春を思って昼間から布団をかぶって泣いている。どうしょもない男なんだ、この治兵衛は。そこに孫右衛門ら親類が訪れる。彼らは小春が落籍(ひか)されるという噂を聞き、治兵衛を問い詰めるためにやって来た。治兵衛には身に覚えがないことで、落籍するのは恋敵の太兵衛だと話す。孫右衛門らは納得して帰って行くが、おさんはここで意外な行動に出る。小春が落籍されれば自害するのではと直感し、おさんは治兵衛に金とありったけの着物を渡し、これで太兵衛に先んじて小春を落籍するよう勧める。一件落着かと思われたが、そこに運悪くおさんの父親が現れ、グウタラな治兵衛への怒りからおさんを強引に実家に連れ戻してしまう。
絶望のうえ虚脱状態になった治兵衛は小春の店を訪れ、小春に心中を約束させる。
深夜に二人は蜆川から多くの橋を渡って網島の大長寺に向かい、治兵衛は小春の喉首を刺し、自らはおさんへの義理立てのため首を吊って果てる。

この浄瑠璃、主人公の治兵衛はむしろ狂言回しの様な存在で、テーマは治兵衛をめぐるおさんと小春の義理に張り合い、意地の張り合いだ。
特におさん、グウタラ亭主を何とか立ち直らせようと努力し、小春にも治兵衛と縁を切るよう願って手紙まで出しておきながら、落籍された小春の身を案じて今度は治兵衛に小春を落籍せようとする。この辺りは理解し難い複雑な心境でもある。
「天満紙屋内の段」での太夫、三味線、人形遣いは、この揺れ動くおさんの切ない心を巧みに表現していて、ここが最大の見どころだ。
「北新地河庄の段」では、小春をめぐって恋敵の太兵衛と善六が、口三味線で治兵衛を嘲笑する場面が見どころ。
「大和屋の段」では、治兵衛を探す兄が倅の勘太郎を連れてくるのだが、治兵衛は物陰からじっと見送る場面が印象的だ。
「道行名残の橋づくし」では、二人が歩んできた険しい道のりを、幾つもの橋を通り抜けることによって表現していた。
世話物なので派手な場面こそないが、現代に通じる人間の心理劇として見ることも出来る。

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コメント

午後の部はとれたのに、これは取り損ねました。
国立のシステム変更はほんとに使いにくくなりました。

佐平次さん
迷ったんですが昼の部にしました。この日も客の入りは良かったです。

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