変わらない、大相撲の体質
付け人に対し2度の暴行問題を起こした十両貴ノ富士(千賀ノ浦部屋)が9月27日、文部科学省で弁護士同席のもと会見を行った。
貴ノ富士は会見の冒頭で暴行や差別的発言を謝罪した上で、「今回の処分(引退勧告)はあまりに重く受け入れられません。私には相撲しかありません。暴行という愚かな行いを反省し、自らを戒め、土俵に戻って相撲道に精進したい」と、現役続行したいと述べた。暴行も軽いもので、自分としては「指導」と思ってやってしまったとも。
その可否はともかく、もっと驚いたのは差別発言だ。若い衆が仕事で失敗した際にもの覚えが悪いとして、「ニワトリ」、「ヒヨコ」、「地鶏」と呼び、「おい、ニワトリ」と声を掛け、「はい」と返事をすると、「はいじゃない、コケと言え」と強要したという。本人によれば、こうした行為は以前から千賀ノ浦部屋で行れていたとも。
図らずも大相撲の暗部が明るみに出てしまい、国技だの公益法人だのという表看板との落差があまりに激しい。
6代目三遊亭圓生が落語『花筏』のマクラで、明治時代の相撲取りについて面白いエピソードを語っている。
相撲といえどもお金を取って興行しているんだから、これは芸人と同じだから鑑札を受けよということになり、「遊芸稼ぎ人」という鑑札が与えられた。しかも、その肩書が「裸手踊り」となっていた。これはいくらなんでも酷い。
もう一つ明治政府から、これから外国の人が来るのに裸ではまずいと言うことで、上下のシャツを着てその上から褌を締めるよう命令された。処が、取り組み中にしょっちょうシャツが破けて引き分けになったので取りやめになったようだ。
大相撲もそういう時代から徐々に近代化してきたが、未だに旧態依然とした状況が残っていることを、今回の件で露呈してしまった。
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