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2019/09/28

民藝『異邦人』(2019/9/26)

劇団民藝『異邦人』
日時:2019年9月26日(木)18時30分
上演時間:休憩含め2時間25分
会場:紀伊國屋サザンシアター
脚本/演出:中津留章仁
<  主なキャスト  >
小杉勇二:村本哲夫(洋食屋の主)
樫山文枝:村本早苗(その妻)
齊藤尊史:村本涼太(長男でコック)
中地美佐子:村本有紀(長女で役場勤務)
佐々木梅治:遠藤晋平(農家の主)
金井由妃:遠藤明日香(その孫)
神敏将:グエン・ヴァン・クアン(農家で学ぶベトナム人実習生)
本廣真吾:石島透(工場の主任)
吉岡扶敏:大川幹雄(工場の副工場長)
岩谷優志:ファム・ミン・チェン(工場で学ぶベトナム人実習生)
細川ひさよ:海原智恵美(ベトナム人実習生の監理団体の職員)
平野尚、近藤一輝、高木理加、長木彩、伊木瑠里

ここの処、昔懐かしい劇団の最近の公演を観て歩いている。文学座、俳優座、そして今回の民藝。かつて民藝の芝居を観たのは、未だ滝沢修や宇野重吉が舞台に立っていた頃だから、昔昔のその昔。出演者の顔ぶれをみても、樫山文枝以外は知らない人ばかり。
タイトルの『異邦人』だが、有名なカミュの作品とは無関係だ。

【あらすじ】
村本早苗と哲夫の夫婦は、ある地方の小さな町で洋食屋を営んでいる。娘の友紀は役場に勤め、息子の涼太はいずれ店を継ぐため東京から戻りコックとして哲夫の下で修行中だ。
この地方でも外国人労働者が増え、店の近くにある工場の寮に住むベトナム人たちの騒音やゴミ出しに村本夫婦は悩まされている。
さらに最近オープンしたばかりのネパール人カレー屋に人気が集まり、村本らの店は客足が減るばかり。
常連客に近くで農家を営む遠藤晋平がおり、後継者がいないためベトナム人実習生のグエンの力を借りて農作業を続けている。
そのグエンのアイディアで、村本の店でベトナム人向けのカレーをメニューに加えて客を呼び込むことになり、企画が当たって沢山のベトナム人が店を訪れるようになった。
一方、近くの工場で働くベトナム人実習生のファムは、日本人の上役と衝突し会社を辞めると言い出す。ファムの上司の主任はファムの反抗的な態度に怒りをぶつけるが、ファムに辞められると困る副工場長や、ファムを派遣した監理団体の担当者は懸命にファムをなだめ、思いとどまらせようとする。
そんな時、農家の主の遠藤晋平が大怪我をしてしまうが・・・。

テーマはずばり共生である。
今回の舞台で語られるベトナム人技能実習生の実態はこの様だ。
先ず、ベトナム国内で日本に実習生に就きたいと思う人を募集する企業がある。応募すると日本語の学習を始め、必要な手続きをしてくれる企業がある。そのための費用は日本円でおよそ100万円、うち40万円は保証金で3年間無事に実習を終了すれば返金される。途中で辞めたり帰国した場合は返金はされない。
日本側では、監理団体がベトナム人実習生を受け入れ、企業などに派遣する。従って、実習生が勝手に途中で辞めたり職を変えたりする自由はない。実習という名目の労働も予めその範囲は決められており、ベトナム人が自由に選ぶことはできない。
もし彼らがどうしても派遣先の仕事を辞めたい場合は、監理団体が他の仕事を探して紹介することになるが、相手先は簡単に見つからない場合がある。
監理団体から契約を打ちきりになった途端に、実習生は不法滞在者になってしまう。そこから転落して、悪事の道に踏み込む者も出てくる。
日本とベトナムの国民性の違いもあるようだ。
日本のサラリーマンは社畜という言葉に表現されるように、上司の命令には逆らわない風潮がある。
対してベトナムでは、議論を闘わせて結論を得るという。
この点は、私も僅かな経験ではあるが、中国で感じた。
いま、日本の至るところ、特に地方の生産や建築現場、農業などの分野では、外国人労働者によって支えられている。その人たちは労働者でもあるが、生活者でもある。
外国人と日本人が共生してゆくための法整備や、人間関係の在り方を真剣に考えてゆかねばならない。
そういう事が実感できる芝居である。

公演は10月7日まで。

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コメント

民藝、懐かしいなあ。
学生時代に何度か行きました。
宇野重吉とか滝沢修を見られたのは、志ん生を見たようなものかな。

佐平次さん
民藝なら宇野重吉や滝沢修、俳優座なら千田是也、文学座なら杉村春子、ガラ芸ですね。

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