「一天四海ー龍志・扇遊・鯉昇・正蔵」(2019/9/3)
「一天四海ー龍志・扇遊・鯉昇・正蔵の会ーコスモスの刻(トキ)」
日時:2019/9/3(火)18時30分
会場:国立演芸場
< 番組 >
前座・入船亭扇ぽう『元犬』
林家正蔵『秋刀魚火事』
瀧川鯉昇『船徳』
-仲入り-
入船亭扇遊『棒鱈』
立川龍志『小言幸兵衛』
週刊誌の広告に「弱きをくじき強きにひれ伏す安部外交」と、ウマイこと言うもんだ。米国からいわれりゃ戦闘機からトウモロコシまで買いまくり、竹島の実効支配には抗議するがロシアの北方領土の実効支配は黙認、中国に配慮して香港デモには沈黙。
メディアはメディアで、韓国が米国から批判されたと鬼の首でも取ったように報道する。いいじゃないか、それぞれの国の考え方もあるんだろうから。
それより私たちは日本の国を心配した方がいい。
日本の労働生産性は先進各国で最下位(日本生産性本部)となっており、世界競争力ランキングは30位と1997年以降では最低となっている(IMD)。平均賃金はOECD加盟35カ国中18位でしかなく、相対的貧困率は38カ国中27位、教育に対する公的支出のGDP比は43カ国中40位、年金の所得代替率は50カ国中41位、障害者への公的支出のGDP費は37カ国中32位、失業に対する公的支出のGDP比は34カ国中31位(いずれもOECD)など、これでもかというくらいひどい有様だ。
日本が輸出大国であるという話も、過大評価されている面がある。2017年における世界輸出に占める日本のシェアは3.8%しかない。
(以上、「Newsweek」の記事より引用)
ちょいとマクラが長くなってしまったが「一天四海」、以前の喜多八がいた頃の「睦会」には足繁く通っていたが、この会になってからはお初。先日の龍志の高座をみて来る気になった。小雨そぼ降る国立は9分の入り。
正蔵『秋刀魚火事』
初代林家正楽の新作落語。長屋の連中がケチな油屋のことで相談に来る。先日も近くの空き地に油屋のお嬢さんが簪を落としたので、探し出した者には褒美を与えるという番頭の言葉で、長屋総出で先ず草刈りをして探したがとうとう見つからなかった。すると油屋の主人が番頭に、タダで草刈りが出来たと褒めていた。万事がこんな具合で、なんとか油屋に仕返しをしたいという相談だった。大家は、相手は油屋だから家事を最も恐れるから、長屋中でサンマを焼いて煙を出して騒げば、家中大慌てになると教える。長屋の連中が一斉にサンマを焼くと、油屋の店の者一同は煙をおかずにご飯を食べていた。
珍しいネタではあったが、正蔵はただ喋っている感じだった。メンバーの中では他の3人とあまりに実力の差が大き過ぎる。人選を変えた方が良い。
鯉昇『船徳』
前方の正蔵が持ち時間を10分も余らせて下りたと、落語協会にもああいう人がいるんだとイジッテからネタに。
冒頭の所を『湯屋番』と似た出だしで、若旦那が船頭になるまでが長めになっていた。徳が二人の客を船に乗せて大川に漕ぎ出す場面では、膝立ての格好で竿や櫓の漕ぎ方を丁寧に演じて見せ、45分の長講。鯉昇奮闘口演の態だった。
扇遊『棒鱈』
どの噺家にも旬の時期がある。中には生涯を通して旬がない人もいるけどね。扇遊は今が旬だと思う。脂が乗りきっていて、何を演じても高水準の高座を見せてくれる。元々上手い人だったがそれに華やかさが加わり、この日もマクラからサゲまで一分の緩みもない。
この時期の扇遊をみておかないと落語ファンとして後悔しますよと、言いたくなるほどの充実ぶりである。
龍志『小言幸兵衛』
良かったねぇ、こちらもマクラからサゲ(珍しくサゲを付けていた)まで間然とする所がない。しかも人物描写が丁寧だ、今これだけの『小言幸兵衛』を演じられる人は、東京全体でもあまりいないだろう。
実は、出がけにチケットを家に忘れてきてしまい、金を払って入場するかどうか迷ったのだが、観て正解だった。
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龍志が続きましたね。
私も、数年前初めて聴いて、唸りました。
談四楼いわく立川流の「ら族」には、聴く価値のある人が少なくない。
元々実力があるし、寄席を経験していることも大きいですね。
投稿: 小言幸兵衛 | 2019/09/04 15:14
小言幸兵衛さん
立川流の「ら族」ですか、確かに。龍志の『小言』は圓生の演出を基本にしながら、随所に工夫が凝らされ良い高座でした。
投稿: home-9 | 2019/09/04 16:16
私も先日、扇遊を国立名人会での青菜で聴きましたが、とにかく楽しく、充実の高座でした。来月三田落語会でも扇遊を聴くので楽しみにしています。
投稿: ぱたぱた | 2019/09/04 19:39
こぶ蔵以外は・・・・・ですね
鯉昇師の滑稽噺は言わずもがな、扇遊師は軽い噺から大ネタ迄◎。
立川流には縁が無いので、マメに落語会を当たってみます。
投稿: 蚤とり侍 | 2019/09/04 21:27
ぱたぱたさん
私も三田落語会の扇遊を聴きに行きます。吉坊との二人会楽しみにしています。
投稿: home-9 | 2019/09/04 21:37
蚤とり侍さん
こぶ平から正蔵になり現在に至るまでをずっと見て来ましたが、本人は相当な努力をしました。そこが弟とは大違いです。芸も上達しましたが、もうこれ以上は望めないと思います。龍志は機会があったら是非。
投稿: home-9 | 2019/09/05 01:48