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2019/09/20

桂文我『雪の戸田川~お紺殺し』他(2019/9/19)

「桂文我独演会」
日時:2019年9月19日18時30分
会場:紀尾井小ホール
<  番組  >
開口一番・桂福丸『そば清』
桂文我『子別れ』
文我&福丸『SPレコードで名人がよみがえる』
桂文我『雪の戸田川~お紺殺し』
~仲入り~
桂文我『珍品落語集』

桂文我が、東京版と上方版で同じネタを二夜連続で口演するという企画。この日は東京バージョン。
往路は四ツ谷からソフィア通りを歩いて会場へ、帰路は弁慶橋を渡って赤坂見附へ出た。

福丸『そば清』
元は上方の『蛇含草』を東京に移したネタなので、これは逆輸入ということになろうか。
落ち着いた爽やかな高座は好感が持てる。

文我『子別れ』
東京の『子は鎹』をそのまま上方弁で演じた。細かな違いは、息子の亀吉が父親の近くに住みたいと言って、別れた母子は隣町の長屋に住んでいた。だから再会が出来たのだ。母親が亀吉の頭をゲンノウで打つと脅かした時に、亀吉が死んだら母親も後を追うと言う所は東京とは異なる。
文我の高座はあまりお涙頂戴にならず、スッキリとした中にも親子の情が描かれ好演。

文我&福丸『SPレコードで名人がよみがえる』
高座の上にレコードプレイヤーが置かれ、貴重な音源が披露された。
1903年の初代圓右、グラモフォンに初めて落語のレコードを出させた初代快楽亭ブラック、関東大震災の体験を語る初代小文治、落語家が浪曲や都々逸を吹き込んだ珍品、幻の3代目柳好の『棒鱈』など、マニアにとっては垂涎の的だ。

文我『雪の戸田川~お紺殺し』
【あらすじ】
下野の国の越後屋治郎兵衛の倅・治郎吉は道楽三昧で、佐野のヤクザ・布袋屋一太郎の娘・小染と深い仲になる。布袋屋は以前に賭場で治郎吉の姿を見ており、度胸の良さをかって二人に所帯を持たせ、江戸で商売するよう元手を渡す。
江戸に出た治郎吉だが博打好きはおさまらない。負け続けで元手もすってすっからかん。そのうち小染のお腹が大きくなってきた。困った治郎吉は、賭場仲間の熊五郎と組んで、博打で大儲けしていた浪人者の門堂平左衛門を殺害し、200両を奪う。
急に大金が入った治郎吉をお染が怪しむと、この噂が父親の布袋屋の耳に入ったらタダでは済まないと思った治郎吉はお染を殺して死体は川に流してしまう。
独り身になった治郎吉は相変わらずの博打ざんまい。ある日急な雨で一軒の家の軒先で雨宿りしていると、奥から声がかかり家の中に入っていいと言う。声の主は元は江戸節お紺と呼ばれていた売れっ子の芸者で、今は犬神軍太夫という一刀流の道場主のお囲い者。それが縁で治郎吉とお紺が出来てしまった。これが犬神の耳に入るが、これが犬神の耳に入るが、意外に物分かりが良く、お前にくれてやると家財、家付きでお紺を治郎吉に渡す。本来なら恩義に感じる所だが、治郎吉は犬神を脅して手切れ金までふんだくる。
金が出来た治郎吉は又もや博打に現を抜かしスッテンテン。そのうち、お紺の右の目の淵に小さなおできポツッとできた。痒いといって掻きむしる間に段々だんだん大きなって、終いに顔の右半面が紫色に大きく腫れあがってしまった。
治郎吉はお紺の治療費を工面するために知り合いを尋ね歩き、ようやく金が手に入ったのが10日後、長屋に戻るとお紺の姿が見えない。近所の者に聞くと、前日に杖にすがりながらお紺が家を出て行ったという。
もうここにはいられないと治郎吉は、佐野の布袋屋の親分の所に戻り、娘の小染が病死したと嘘を言って居候になる。
近くに大きな田畑を持つ百姓がいたが、夫が突然の死で働き手がない。そこで布袋屋の世話で、後家のお小夜の元に治郎吉は入り婿となる。当初は真面目に働き、二人の間には治郎太郎という男の子もできた。そのうち治郎吉の博打の虫が湧いてきて博打ざんまいの生活が始まり、田畑を全て手放す。悲観したお小夜は縊首して自害。母親の遺体にとりすがって泣く幼児を見て、ここで初めて治郎吉は目が覚める。
それからは人が変わった様に夢中で働きだし、まとまった金が出来ると米相場に手を出すが、これが大当たり。今では関東一円に手広く商いを拡げた大店の主になっていた。今では困っている人を助ける寄進者にもなっていた。
歳の暮には各地に掛け取りに行くが、他の地は奉公人たちに任せ、江戸だけは治郎吉が掛け取りに回る。用事が終わって佐野に向かう途中、雪がちらつきだした。戸田の渡しまで来ると川原の小屋から女乞食がはい出して来た。髪の毛は抜け落ち、顔中が腫れ上がっている。情け深い治郎吉は金を恵んでやるが、その乞食が「お前は治郎吉だな」とむしゃぶりついて来た。変わり果てたお紺だったのだ。
苦労したことを聞いて涙ぐむ治郎吉はお紺と佐野に行くことを約束し、取り敢えずこの先に宿を取っているので一緒に泊まろうと誘う。手足があまりに汚れているので、戸田川で洗うよう言う。お紺が川辺で手足を洗っている隙に、治郎吉は背後から襲いお紺を川の中へ突き落す。なお棒杭につかまって必死のお紺を治郎吉は刀で斬り殺す。
この後、治郎吉は蕨の馴染みの宿へ上がると、部屋にお紺の幽霊が現れる。治郎吉は刀を振り回すと柱にあたり、その反動で自らの首に刃が刺さり絶命する。
その頃佐野では、次郎兵衛の息子・治郎太郎改め次郎左衛門が炉端でつまずき、炉の中へ頭から突っ込んで顔を焼いてしまう。この子が成長の後、吉原百人斬りを行う。歌舞伎『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』の発端である。

名前や場所に間違えがあるかも知れないが、ご容赦を。
講釈『戸田の渡し・お紺殺し』を八代目林家正蔵が落語に脚色。正蔵から教わった露の五郎兵衛が『雪の戸田川』として演じた。また、桂米朝は『怪談市川堤』として演じている。
文我の高座は分かり易く要所は締め、時々笑いを散りばめながら長講を語りきった。

文我『珍品落語集』
仲入り後は珍しい小噺をいくつか。文我によれば、フルコースの後のコーヒータイムだそうで、煙草の吸い分け、水の飲み分け、飯の食い分けなどの軽いネタを演じてお開き。

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