鈴本10月下席・昼(2019/10/28)
鈴本演芸場10月下席昼の部・8日目
前座・春風亭与いち『手紙無筆』
< 番組 >
林家つる子『やかん』
翁家社中『曲芸』
三遊亭歌橘『紙入れ』
林家正蔵『松山鏡』
林家楽一『紙切り』
桂文雀『鴻池の犬』
三遊亭歌武蔵『漫談』
ニックス『漫才』
桃月庵白酒『短命』
─仲入り─
ダーク広和『奇術』
柳家はん治『妻の旅行』
橘家圓太郎『真田小僧』
江戸家小猫『ものまね』
桂ひな太郎『幾代餅』
八千草薫が10月24日に亡くなった。
もう20年ほど前になるが、大分空港の待合室でご本人を見かけたことがある。直ぐ前の席でおしゃべりしている声に聞き覚えがあったので、そっと顔をうかがうと彼女だった。相手はおそらくマネージャーか付け人だったと思うが、まるで友人同士の様に楽しそうに話し合っていた。
私の兄が彼女の大ファンで、八千草が親子ほど年の離れた谷口千吉と結婚した時は、なんであんな年寄りとと言って怒っていたことを思い出す。
鈴本の10月中席は台風などの影響で4日も休席になったが前代未聞だろう。
天気に恵まれた8日目、会場は8分の入り。
つる子『やかん』
講釈の出来栄えはまあまあだったが、セリフの間が悪い、間に関しては前方に上がった前座の方が上だ。
翁家社中『曲芸』
普段見慣れているので何も思わなかったが、先日の圓楽一門会での下手な曲芸を見ると、普通に演じることの難しさが理解できる。
歌橘『紙入れ』
初見、この人の登場でようやく客席が落ち着いてきた。
正蔵『松山鏡』
浅い出番でもきちんっと演じる点は好感が持てる。
楽一『紙切り』
お題は「月に帰るかぐや姫」「紅葉狩り」「バレリーナ」など。
文雀『鴻池の犬』
寄席には足繁く通っているように思っているのだが、未だ一度も高座に
出会ったことがない人も少なくない。文雀もその一人でこの日のお目当て。上方のネタを東京に移して、内容の一部とサゲを変えて演じた。語りの確かさは実感できたので、機会があったら独演会に行ってみようと思う。
歌武蔵『漫談』
定番だがよく受けていた。
ニックス『漫才』
観客の印象に強く残るような何かインパクトが欲しい。
白酒『短命』
お馴染みのネタだったが、この日の客席の反応はイマイチだったかな。
ダーク広和『奇術』
ますますマニアック、ますます趣味の世界に入ったかな。テクニックは素晴らしいのだが。
はん治『妻の旅行』
桂三枝作のネタで、口うるさくて自分勝手、おまけに料理べたという女房の愚痴が延々と語られる。こういう噺ははん治にはニンで面白い。聴いていて段々身につまされてくる。
圓太郎『真田小僧』
このネタをこれほど面白く聴かせるんだから、大した技量だ。
小猫『ものまね』
相変わらず上手いもんだ。
ひな太郎『幾代餅』
トリの出番の前に前から2,3列目のグループと思われる20名ほどの客がいっせいに退場した。時間の都合もあっるのかも知れないが、ああいうのは避けて欲しい。演者にも他の客にも失礼である。
ひな太郎を見る度に思うのだが、落語に出てくる若旦那ってこういう風貌の人なんだろうなと。
現在の亭号は桂だが、芸は生粋の古今亭。この日も古今亭のお家芸ともいうべきネタを、清蔵の喜怒哀楽に表現してお開き。
改めて落語協会の芝居を観て思ったのは、人材の豊富さだ。10月中席でいえば末広亭、浅草演芸ホール、鈴本と分散しているにも拘わらす、これだけの顔付けが出来るのだから。
« 「五代目圓楽一門会」(2019/10/25) | トップページ | 「南光・扇遊 二人会」(2019/10/29) »
「寄席・落語」カテゴリの記事
- (続)この演者にはこの噺(2023.09.03)
- 素噺と音曲師(2023.08.30)
- 落語『永代橋』(2023.08.05)
- 小三治のモノマネ(2023.07.30)
- 祝!人間国宝「五街道雲助」(2023.07.22)
コメント
« 「五代目圓楽一門会」(2019/10/25) | トップページ | 「南光・扇遊 二人会」(2019/10/29) »
ぴっかりの後輩格がつる子ですね。
声が甲高いので、落語の枯れた世界を表現するときに難しいでしょうが、そこはそれ、あの一門のこと、プロ意識は備わっていると思います。
新作も高杉並みにやります。
投稿: 福 | 2019/10/30 06:40
福さん
つる子は雲助の独演会にたびたび前座として出ていたので何度も高座は見ていましたが、あまり進歩は感じなかったです。これからどうなるか、でしょうか。
投稿: home-9 | 2019/10/30 09:35