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2019/10/06

喬太郎『真景累ヶ淵~宗悦殺し~』・他(2019/10/5)

第59回三田落語会・夜席「扇辰・喬太郎」
日時:2019年10月5日(土)18時
会場:文化放送メディアプラスホール
<   番組   >
前座・金原亭乃ゝ香『十徳』
柳家喬太郎『家見舞い』
入船亭扇辰『阿武松』
~仲入り~
入船亭扇辰『夢の酒』
柳家喬太郎『真景累ヶ淵~宗悦殺し~』

10月5日に行われた第59回三田落語会では昼夜両方の公演を鑑賞したが、夜席の感想を先に書く。
6日に恒例の「扇辰・喬太郎の会」が予定されていて、そちらでは毎回二人がネタ下ろしを口演することになっている。そのプレッシャーで頭が一杯で、二人とも心ここに非ずの心境だという。だからこちらの高座は「やっつけ仕事」だと宣言していた。
処が、過去の経験からいうと喬太郎はこういう日に限って熱演する事が多いので、どう「やっつける」のか楽しみだった。

喬太郎『家見舞い』
市販のCDにもこのネタは収められており、喬太郎の十八番の一つ。本来は二人の男が兄貴分の新築祝いに行き、お祝いに水甕を贈ることになるが金がない。瀬戸物屋で水甕を安く値切ろうとするが店員を怒らせて・・・という前段があるのだが、そこはカットし古道具屋の店先で肥甕を見つける所から噺に入った。
前半の古道具屋と男たちとの頓珍漢なヤリトリや、後半の甕の水を使った料理への男たちに反応を面白く聴かせていた。

扇辰『阿武松』
大相撲はスポーツじゃなくて興行だという扇辰の意見に賛成。ガチンコに拘っているから、今じゃ病人と怪我人だらけになっている。
いかにも扇辰らしい丁寧な高座だった。

扇辰『夢の酒』
こうした軽い洒落たネタというのは、軽く洒落て演じるのが正解だと思う。扇辰の所々に入る裏返ったような奇声はどうも感心しない。客をニヤリとさせる様なネタだと思うのだが。

喬太郎『真景累ヶ淵~宗悦殺し~』
根津七軒町にすむ按摩の皆川宗悦は、金貸し(江戸時代に盲人は金貸しを営むことが認められていた)で貯めた金で二人の娘を養っていた。
ある歳の暮れ、霙まじりの雪の中、小石川小日向服部坂に住む旗本の深見新左衛門宅に借金の取りたてに行く。なかなか返済しない新左衛門に対し、せめて利息分だけでも返してと迫る宗悦に、酒癖の悪い新左衛門は怒り脅すつもりで誤って宗悦を斬殺してしまう。死体は下男の三蔵に金をやり始末させて、そのまま下総の故郷に返してしまう。現場を見た新左衛門の妻は乱心し、按摩を呼んで針を打たせるが傷口が悪化し痛みで苦しむ日々が続く。そんななか総領息子の新五郎は家出する。、
翌歳の暮れの霙まじりの雪の夜、新左衛門は按摩を呼び肩の療治をさせるが、その按摩の顔がいつしか宗悦に。夢中で斬りかかると、相手は妻。乱心した新左衛門はやがて切腹、家は改易となる。

三遊亭圓朝作の「真景累ヶ淵」の発端で、これから宗悦と新左衛門をめぐる因縁話が複雑に絡まって物語が展開してゆく。
金銭の貸借をめぐる殺人事件というのは今も変わらない。そうした普遍性に加え、江戸末期になると武家は没落、商人や金融業者に金が集まり、それがやがては幕藩体制の崩壊へと進む。
この「宗悦殺し」は時代を暗示したものになっていて、物語後半への布石の仕方といい、非常に良くできている。
喬太郎の高座は冒頭から一気に客席を噺の世界に引き込み、終演まで息が詰まるような緊張感を与えていた。
このネタは今回が3度目になるかと思うが、その迫力においてこの日がベストだ。

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コメント

三田落語会、行かなくなりました。
映画と同じで行かないと行かないのか、それとも喜多八が死んでから熱が冷めたのか。

佐平次さん
三田落語会、私もしばらく中断していましたが前回から参加です。今回は昼夜ともに充実していました。

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