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2019/10/18

落語でおなじみ『天竺徳兵衛韓噺』(2019/10/17)

10月の国立劇場の歌舞伎公演は、落語『蛙茶番』でおなじみの『天竺徳兵衛韓噺』。
落語では、素人芝居の舞台番(一段高い所に座り客席で騒ぎが起きた時に鎮める役)を頼まれた半公、意気込みは良かったが慌てて褌を着けるのを忘れてしまった。粋がって着物の裾をくるっとまくって胡坐をかき、大はしゃぎ。半公の異様な姿に気付いた客が「ようよう、半公、日本一! 大道具!」と大向う(掛け声)をかけたので、調子に乗った半公は客席の方に乗り出していく。
芝居は『天竺徳兵衛韓噺』の真っ最中、大盗賊の徳兵衛が忍術の極意を伝授されるという見せ場。ここでガマの登場になるはずが、ガマ役の定吉が舞台に上がろうとしない。
番頭が「おいおい、定吉! 早く出なきゃだめだよ」
定吉は「いいえ、ガマは出られません」
「なんでだ?」
「あすこで、青大将が狙ってます」 でサゲ。
さて、芝居の方は。

四世鶴屋南北=作
国立劇場文芸研究会=補綴
通し狂言『天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)』三幕六場
・序幕 北野天満宮鳥居前の場
同 別当所広間の場
・二幕目 吉岡宗観邸の場
同 裏手水門の場
・大詰 梅津掃部館の場
同 奥座敷庭先の場
<    主な配役    >    
天竺徳兵衛/座頭徳市/斯波左衛門:中村芝翫
梅津掃部:中村又五郎
梅津奥方葛城:市川高麗蔵
山名時五郎/奴鹿蔵:中村歌昇
下部磯平:大谷廣太郎
銀杏の前:中村米吉
佐々木桂之介:中村橋之助
侍女袖垣:中村梅花
石割源吾/笹野才造:中村松江
吉岡宗観/細川政元:坂東彌十郎
宗観妻夕浪:中村東蔵

主人公の天竺徳兵衛は実在した人物で、江戸初期の商人で寛永年間に御朱印船に乗船し、シャム(タイ)と天竺(インド)に渡った人物。
芝居では、異国を漂流して歩いた難破船の船頭である天竺徳兵衛が吉岡宗観の息子であるという設定になっている。その吉岡宗観が実は日本に侵略された恨みを晴らすために密かに来日し、足利幕府転覆を狙う朝鮮国の臣下・木曽官だと天竺徳兵衛に語る。
だが父の吉岡宗観は、宝剣「浪切丸」を紛失した疑いで謀反の罪をきせられ切腹する。天竺徳兵衛は父の遺志を継ぎ、父から授けられた蝦蟇の妖術を使い足利幕府の転覆を狙うという壮大なストーリーとなっている。
そうした物語より、徳兵衛が大蝦蟇に乗って大屋根の上に現れ、屋敷を押しつぶす「屋台崩し」や、座頭の徳市から上使斯波左衛門義照(両者とも徳兵衛の変装)に水中での早替わりといった、ケレンが見せ場の芝居。
舞台は中村芝翫が出てないとダレ気味になり、あまりいい出来とはいえない。
劇中で蛇が悪役として使われるので、落語の『蛙茶番』のサゲは良く考えられている。
余談になるが、現在の歌舞伎界では立女形の人材が不足気味だ。10年ほど前から中村米吉(今回は銀杏の前)という若手の女形に注目している。姿と声が良いので、これからが楽しみだ。

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