「志ん陽・正太郎」(2019/10/1)
らくごカフェ火曜会「志ん陽・正太郎」
日時:2019年10月1日(火)19時30分
会場:らくごカフェ
< 番組 >
春風亭正太郎『強情灸』
古今亭志ん陽『錦の袈裟』
~仲入り~
春風亭正太郎『ねずみ』
10月1日といえば、国慶節?都民の日? そうではない、古今亭志ん朝の命日だ。親の命日は忘れても志ん朝の命日は憶えている。あの時はショックで1週間ぐらいボーとしてしまった。一門の噺家は午前中に墓参りを済ませたと志ん陽が言っていた。
らくごカフェでの火曜会というのは毎週の火曜日に、わさび、正太郎、一蔵、市弥、小辰、わん丈、文吾、馬太郎、あお馬、のレギュラーの中から、週替りで2名ずつ出演するという企画。1週目と3週目はレギュラーとOBが一人ずつ出演する。
この日はレギュラーの正太郎とOBの志ん陽の二人会だったが、消費税増税の影響なのか客の入りは「つばなれ」。ちょいと出演者には気の毒だったね。
正太郎『強情灸』
今の二ツ目の中で噺が上手いといえば、この正太郎と小辰の二人だろう。二人とも真打と言って可笑しくない芸の持ち主だ。小辰が師匠に似て楷書の芸風に対して、正太郎は明るく豪快な芸風だ。マクラで、マッサージ師の話を15分ほど喋ったが、これだけもたせられるのも芸の力だ。
ネタでは江戸っ子らしい啖呵の切れを見せていた。通常は兄いが灸を我慢しながら「五右衛門を見ろってんだ、八百屋お七なんざあ・・・」を何度か繰り返すが、正太郎の高座では一度だったのは、何か考えがあったんだろうか。
志ん陽『錦の袈裟』
大きな期待を背負いながら、やや足踏みしている印象だ。いずれ「化けて」くれるだろうと、そう思っている。
袈裟輪について、カミさんが与太郎におしっこをする時にひっかけない様に輪に通してと解説するが、あれは圓生や志ん朝が演じた様に、店の主(又は女将)が与太郎を殿様だと断定する時に使い方を解説する方が説得力がある。事前に言ってしまうと、袈裟輪=殿様という理由付けの効果が薄れるのでは。このネタのポイント部分なので変えない方がいいと思う。
正太郎『ねずみ』
各登場人物の演じ分けが出来ていて、全体としては好演だった。
気になったのは、ねずみ屋の主が甚五郎に身の上話しをする際に、時折り「筆は立つけど腰は立たない、笑っていいですよ」などとクスグリを入れていたが、あれは感心しない。ネタの肝心部分で、客をグッと引き込む場面で無理に笑いを誘う所ではない。却って、観客に水をさすことになる。
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