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2019/10/07

三田落語会「扇遊・吉坊」(2019/10/5)

第59回三田落語会・昼席「扇遊・吉坊」
日時:2019年10月5日(土)13時30分
会場:文化放送メディアプラスホール
<   番組   >
前座・金原亭乃ゝ香『牛ほめ』
入船亭扇遊『片棒』
桂吉坊『胴乱の幸助』
~仲入り~
桂吉坊『江戸荒物』
入船亭扇遊『小言幸兵衛』

三田落語会が会場を仏教伝道センターから文化放送に移してから、次回の前売りはチケットぴあでの扱いになっていたが、今回から元に戻して会場で購入できるようになった。仲入りで抽選で番号札を引き、終演後に番号に従ってチケット購入するという方式。これだと以前の様に長蛇の列を作る必要がなくなった。
昼席は東京のベテランと上方の若手という組み合わせ。

前座の金原亭乃ゝ香は夜席でも開口一番を務めていたが、昼夜通しのお客も多いなかでは前座は交代させた方が良い。

扇遊『片棒』
10月だっというのに気温が33℃に達したこの日の陽気は芸人泣かせだ。着物の選択に困るらしい。気候変動は落語家にも影響している。
扇遊は1席目は東京落語らしい演目を披露。ネタは聴かせ所の祭囃子の手捌きと口真似で沸かす。木遣りの一節も結構でした。

吉坊『胴乱の幸助』
落語の中には音曲の素養がないと出来ないネタがあるが、『胴乱の幸助』もその一つ。中盤で浄瑠璃『桂川連理柵(通称お半長)』の帯屋の段の冒頭部分を師匠が弟子に語って聞かせる場面があるので、ここは本物らしく義太夫が語れなくてはならない。腕に覚えがある吉坊は、ここを長めに語ってみせ拍手を浴びていた。
前半の男同士の偽喧嘩を幸助が仲裁する場面、中盤の「お半長」をめぐる幸助と義太夫の師匠や弟子とのヤリトリ、後半の京都の帯屋での番頭と幸助の会話、どれをとっても吉坊は完成度の高い高座を見せた。聴いていて幸助の人物像が目の前に浮かんでくる。
周囲で「上手かったね」「上手ねぇ」という声が聞こえたが、吉坊は初めてという人もいたようだ。
一時期、私の上司だった人が5か国語は辞書なしで読めるという才能の持ち主だったが、世間に疎い人だった。ある時TVを一緒の見ていたら、「てんちしんり、って誰?」と訊いてきた。画面には当時大流行りの「天地真理」の姿が。こういう人っているんだよね。

吉坊『江戸荒物』
東京落語に『金明竹』があるが、あれは上方の人には評判が良くないと。上方弁で口上を述べるのだ、東京の噺家だと上方弁とは異質なものと映るらしい。
このネタは『金明竹』をひっくり返した様な運びで、大阪の人間が江戸弁をしゃべるというもの。
東京産の瀬戸物が良く売れるというので、隠居に江戸弁を教えてもらった男が「東京荒物」の看板を掛けて商売を始めるが、教えて貰った江戸弁というのが「おう、阿魔、しばち(火鉢)にし(火)がねえじゃねえか。し(火)をもってきな。」などと怪しいもの。地元の客が来ても江戸弁は通じず、本物の江戸っ子が来ると江戸弁をまくしたてられて男の方が混乱し、タダで品物を売ってしまう始末。そこに田舎言葉丸出しの娘が縄を買いにくるが、店に縄が置いてない。そこで江戸弁で断ろうと、「縄はないます。ないます。」と言うと、娘は「あれ、今から縄のう(綯う)てたら間に合わんがのう。」 でサゲ。
こういう軽いネタを演じても吉坊は達者だ。

扇遊『小言幸兵衛』
珍しくサゲまで演じた。長屋の連中や豆腐屋、仕立て屋に対してあれほど小言を言ってた大家が、最後の鉄砲鍛冶の男には一方的に言われ通しになるというのが面白い。
扇遊らしいキッチリとした高座だったが、大事な所で言い間違えがあったのが残念。
少々お疲れに見えたが、気のせいかな。

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コメント

私もこの会に行っておりました。二人とも噺のリズムがテンポよく、耳に心地よかったです。やはり、あまた多くの落語会のなかでもレベルが高いと思いました。

投稿: ぱたぱた | 2019/10/07 18:57

ぱたぱたさん
演者よし、客よし、三田落語会は毎度充実しています。この日は昼夜とも良かったです。

投稿: home-9 | 2019/10/07 21:33

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