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2019/10/10

『どん底』(2019/10/9)

シリーズ「ことぜん」Vol.1『どん底』
日時:2019年10月9日(水)13時
上演時間:3時間(休憩含む)
会場:新国立劇場 小劇場 THE PIT
脚本:マクシム・ゴーリキー
翻訳:安達紀子
演出:五戸真理枝
<   キャスト   >
山野史人/ミハイル・イワーノヴィッチ・コストゥイリョフ(木賃宿の亭主)
高橋紀恵/ワシリーサ・カールポヴナ(その女房)
瀧内公美/ナターシャ(ワシリーサの妹)
原金太郎/メドヴェージェフ(ワシリーサとナターシャの叔父、巡査)
立川三貴/ルカ(巡礼者)
廣田高志/サーチン
釆澤靖起/ワーシカ・ペーペル(泥棒)
伊原農/アンドレイ・ミートリイチ・クレーシチ(錠前屋)
鈴木亜希子/アンナ(その妻)
クリスタル真希/ナースチャ(売春婦)
泉関奈津子/クワシニャー(肉饅頭売りの女)
小豆畑雅一/ブブノーフ(帽子屋)
堀文明/俳優
谷山知宏/男爵
永田涼/アリョーシカ(靴屋)
長本批呂士/クリヴォイ・ゾーブ(荷かつぎ人足)
福本鴻介/ダッタン人

20世紀初頭のロシア。社会の底辺に暮らす人々が集うサンクトペテルブルクの木賃宿。ペテン師、泥棒、病人、娼婦、彼らは希望の持てないままカードと酒に浸る。
そこへ巡礼のルカが現れ、宿の住人たちに説教を垂れる。虚実判然としないその説教に耳を傾ける者もいれば、冷笑する者もいる。
やがて宿の主人とその妻、妻の妹、妻の情夫で妹との結婚を夢見る泥棒との間で騒動が持ち上がり、泥棒が宿の亭主を殺害する事件が起きる。妻と泥棒は捕まり裁判にかけられ、怪我をした妹は病院に送られるが逃亡する。
誰一人幸福になることがなく、どん底にいる市民たちは、歌と酒だけを娯楽に日々の生活を送っていく。

夜でも昼でも 牢屋は暗い
いつでもオニめが あああ
えいやれ 窓からのぞく

のぞことままよ 塀は越されぬ
自由にこがれても あああ
えいやれ 鎖は切れぬ

ああ この重たい鉄の鎖よ
ああ あのオニめが あああ
えいやれ 休まぬ見張り

 

絶望しかない宿の住人たちだが、過去に殺人を犯し出獄してきたサーチンの言葉、
「人間はよりよき者のために生きてるのさ」
「人間、これこそが真実だ」
が胸に響く。
だから終幕で住人全員が合唱する上記の「どん底の歌」が人間賛歌の様に聞こえてくるのだ。
舞台装置を敢えて工事現場に仕立てた意図は、現在私たちが抱えている「どん底」に対する演出家の問いであろう。

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