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2019/11/20

『通し狂言 孤高勇士嬢景清』(2019/11/19)

『景清』という落語があるのはご存知の方が多いと思う。盲人の定次郎が赤坂の日朝さまに願掛けして目があくというストーリーだが、このタイトルがなぜ景清なのか、以前から不思議に思っていた。
昔から平家の勇将である悪七兵衛景清が活躍するという「景清物」と呼ばれる芝居があり、平家再興のために頼朝の命を狙うが、後に断念して自ら目を突いて盲目になるという一連の物語を指す。だから当時の人は景清といえば盲人だと分かったのだろう。
今回、国立劇場で上演された芝居もその「景清物」の一つだ。なお、景清の名は平家物語にも出ているので実在の人物と思われる。

通し狂言『孤高勇士嬢景清(ここうのゆうしむすめかげきよ)』 四幕五場
西沢一風・田中千柳=作『大仏殿万代石楚』
若竹笛躬・黒蔵主・中邑阿契=作『嬢景清八嶋日記』 より
序幕  鎌倉大倉御所の場
二幕目 南都東大寺大仏供養の場
三幕目 手越宿花菱屋の場
四幕目 日向嶋浜辺の場、日向灘海上の場
<   主な配役   >
悪七兵衛景清:中村吉右衛門
源頼朝/花菱屋長:中村歌六
肝煎左治太夫:中村又五郎
仁田四郎忠常:中村松江
三保谷四郎国時:中村歌昇
里人実ハ天野四郎:中村種之助
玉衣姫:中村米吉
里人実ハ土屋郡内:中村鷹之資
和田左衛門義盛:中村吉之丞
俊乗坊重源/花菱屋遣手おたつ:嵐橘三郎
梶原平三景時:大谷桂三
秩父庄司重忠:中村錦之助
景清娘糸滝:中村雀右衛門
花菱屋女房おくま:中村東蔵

時は鎌倉時代。源平合戦で勝利した源頼朝は、仏の教えを守ることが国家安寧の基礎と説き、平家によって焼き討ちされた東大寺大仏殿の再興を図る。ここでは頼朝の名将ぶりと慈悲深さが示される。
落慶供養の日を迎えた奈良の東大寺では、鎌倉から頼朝一行が訪れ、いよいよ大仏殿で読経が始まる。その時、悪七兵衛景清が現れ頼朝に挑もうとする。しかし景清は、平清盛の非道を説く頼朝の言葉に返答を詰まらせる。頼朝は景清に臣従するよう求めるが、景清は自らの目を剣で刺し盲目となる。
駿河国手越宿にある遊郭・花菱屋に、景清の14歳の娘・糸滝が遊女を斡旋する肝煎の左治太夫と共に現れる。糸滝は花菱屋の夫婦を前に、身を売らなければならない訳を切々と語る。父の窮状を救おうとする糸滝の健気さにうたれた花菱屋が、糸滝と左治太夫に餞別を渡し、二人は日向へ出立する。
日向国の浜辺では、亡君・平重盛の位牌を供養しながら貧しく暮らしている景清のもとへ糸滝が訪ねて来る。二人は再会を喜び合うが、糸滝が大百姓に嫁いだと聞いた景清は、激高して娘を追い返す。しかし、娘を乗せた船が沖に出ると名残惜しそうに見送り、娘の幸せを願う本心を明かす。さらに残された手紙から糸滝の身売りを知ると驚愕し、娘を犠牲にしたことに我が身を責める。
景清は娘を身売りから救うため源氏に帰順することを決意し、船中から海へ平重盛の位牌を投下し祈りを捧げる。

この芝居には、勇壮な立廻りが楽しめる二幕目、一転して庶民の人情を描く世話物風の三幕目、親子の情愛を綴る四幕目と、場面ごとに見どころがある。
最大の見所は、中村吉右衛門の熱演と奮闘ぶりだ。武士としての信念と娘への情愛の間に揺れる心を見事に描いて見せる。
対して、観客の入りが寂しいのが残念。
脇では以前から注目している中村米吉の可憐で一途な玉衣姫の演技が印象に残った。10年以上前に見たときは、未だセリフも少ない村娘の役だったが、段々良い女形になってきた。

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コメント

糸瀧が、いささか年を取り過ぎていたのがミスキャスト、あとは楽しめました。

佐平次さん
糸瀧の14歳が少々無理がありました。あの役は中村米吉でも良かったんじゃないでしょうか。

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